M&A婚活短編小説 第12話 クロージングに向けて①
この小説はエロ系趣味小説です。苦手な方にはごめんなさい🙇
第7回講座が最終回だ。
プロポーズ組の5人は、結局みんなプロポーズを快諾。婚約が成立した。
「そうですか。それは本当におめでとうございます。初回の講座でこれだけの優秀な生徒が成果を出せたことはうれしいことです」
講師も喜んでくれた。
「今回プロポーズまで至らなかった人は、第2クールの講座の割引50%チケットをお渡ししますので、ぜひもう一度講座を受けに来てください。次こそ、一緒に幸せを獲得しましょう」
うわ、営業かけてる。さすが世界最大手の投資銀行プラチナレディーフルート(PF)のMD。抜かりないわぁ……
「そして、婚約がきまった5人は、このあと結婚手続きを経て結婚式を挙げると思います。実は我がPF社はXXXY社とも業務提携をしています」
XXXY社って、最大手の結婚準備プラットフォームだ。
「結婚する前にはぜひ相談してください。割引チケット渡すからね」
……これもPF社に紹介料が落ちる仕組みのようね。本当に、抜かりない……
「さて、冗談は置いておいて」
冗談だったんだ……目は本気でしたけど?
「M&Aでも最終契約がゴールではありません。契約の効力を発生しM&Aを実行すること、これをクロージングといいます。クロージングするまでは気を抜けません」
クロージング?初めて聞くわね。
「クロージングまでには、まだまだ手続きがたくさんあります。許認可の取得、関係する取引先の合意、従業員や債権者保護手続き……これらを全部クリアして初めて、クロージングし法人登記することでM&Aが完了します」
なんか、大変そうな気がしてきた。
「婚活で言うなら、両親や家族親族の許可取得。新居の手続き。これができて、初めて結婚式。そして婚姻届け。すなわちクロージングを迎えるのです」
「先生、わかりました。がんばります」
「ええ、あなたたちならしっかりできるはず。頑張ってね」
なかなか厳しく、ときにいじられて、嫌な講師と思ったけど、今は感謝の気持ちしかない。
ありがとう先生。
絶対に忘れないわ。
……
「あ、あなた、ちょっとまって」
「はい?」
「実はね、M&Aではクロージングする前に、先走って買収作業を前倒しすることをガンジャンピングといって、場合によっては当局から取り締まりされることもあるの」
「そうなんですか」
「婚活においても、結婚前に先走らないように気を付けてね。たまにいるのよ。結婚前にできちゃうって話。あなたは特に注意してね」
……なんで私は『特に』なのよ?
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