連載小説「転生ビジネス・カオスマップ」第七部 第15話 ノンリコ③
やがて、ジョージが口元を緩める。
「ターゲット会社はどこですか?」
「まだ開示できません。
ですが、御行の担当者に同行していただくことは可能ですよ。
ただし、今回は宇宙戦艦でドンパチになるかもしれませんので、
命の保証はできません。
生命保険は御行で掛けてくださいね」
これを聞いて、一気に顔が青ざめたのは、例のヴァーゴ担当の女の子だ。
まったくバカハルトったら、交渉とはいえ、たまーに悪乗りしすぎる癖がある。
「まあ、それは別の機会にしましょう」
流石にジョージも同行せよとは言わなかった。
「しかし、情報開示できないというのは納得しかねますな。
銀行を信用できないということですか?」
ジョージが信頼関係を武器に最後の揺さぶりをかける。
普通、メインバンクから「信用できないのか!?」と問い詰められたら、何も言えなくなるわね。
でも、さすがハルト。
怯まない。
「今回に限っては我々はナーバスになってます。
すでに、弊社の情報がかなり御行に漏れている状況です。
どこから情報を入手されたんですか?」
「……まあ、秘密の情報筋ですな」
ジョージは苦し紛れにかわす。
ハルトは追撃はしなかった。
しかし、これで、ジョージのこれ以上の揺さぶりは封じられた。
ジョージが苦笑いで立ち上がる。
「金利は一般的な水準の75%。
あとは提示される対象会社の事業計画次第。
採算がとれるなら融資をコミットします。
すぐにノンリコローン契約のひな形をお渡しします。
これでよろしいですか?」
ハルトも笑顔で立ち上がった。
「はい、ありがとうございます」
二人が握手。
あー、よかったわ。
これでローン交渉は完結ね。
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