第1話はこちら
「次のページが我々の提案になります」
そこには、今回の買収の形、すなわちストラクチャーに関する提案が書かれていた。
「たとえば御社に66%を買収してもらい、残りの34%は三島建機に継続保有してもらうJV(ジョイントベンチャー)を提案したいと思います」
JVはジェイブイ、もしくはジョイベンという。日本語では合弁会社。
つまり、複数社が株式を持ち合って共同事業を行う会社のことだ。
そのうち、過半数をもつ会社がいれば、そこが親会社となる。
「三島建機にマイノリティで残ってもらうことができれば、彼らも販売を支援し続ける大きな理由にもなります」
「確かに……でもそんなに弊社都合の提案を受けてくれそうでしょうか」
「はい。そこは慎重にアプローチ作戦を考えなければいけませんが……」
高木は力強い表情で続けた。
「三島電機グループは元々100%売り切らずにJVを作ることが多いグループです。三島建機も抵抗感は少ないと思われます」
合弁会社……真奈美は初めての提案にドキドキしていた。
(確かに、三島建機の株主にもまだ三島電機が23%残っているんだもの。可能性はあるかも)
「山根本部長、どうでしょうか?」
真奈美に意見を求められ、山根はゆっくりとうなづいた。
「確かに、本体営業やリース会社まで取り込むことは不可能でしょうし、我々もそこまでの体力はないですので、良い提案だと思います」
「そうですよね。それに、JVを通じて、三島建機さんの他の商材の相互シナジーも見込めるかもしれません」
「なるほど。そう考えると、JVは良い仕組みになるかもしれませんね」
山根と真奈美がJVアプローチへの納得感を受けて、高木は説明をさらに進めた。
「それでは、具体的なアプローチ方法についてご相談させてください」
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