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短編小説 M&Aってお魚買うのと似ているよね 第4話 DD
「ということで、将来生まれるお金を割り引いて積算すれば、それが会社の価格『企業価値』となるんだ」
「ふたつの理由の一つ『将来』はわかったわ。でも、そもそもいくらのお金が生まれるかって誰が決めるの?」
「基本的には事業計画を作って決めるんだよ」
事業計画は当然『不確実』で、場合によっては背伸びもしているから鵜呑みにはできない。
「魚屋さんだって実は痩せているブリでもおいしそうに見えるように上手に切って並べて売るだろ?」
「確かに」
くすっと笑う。
「だからM&Aで買収するときは、事業、法務、財務会計、税務、人事労務体制などあらゆる面から徹底的に調査すんだ」
「へー」
「そう。この企業調査をDD(デューディリジェンス)というんだけど、何百ページもの資料も調べたりとめちゃくちゃ大変だよ」
「うわ、大変そう……そういえば人事部でもたまにDDって言葉を聞くとみんな嫌そうな顔してたわね」
絵夢は軽く肩をすくめた。
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