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とある若頭の高校生活④


色々とあった宿泊学習も終わり、◯◯はこれまで通りの日々を過ごしていた


「今日のホームルームでは、球技大会の競技決めと、新しい学級委員を決めたいと思います」


そう話しているのは現学級委員の秋元真夏


成績優秀で、クラスメイトからポンコツといじられながらも上手くクラスをまとめている生徒である



◯「学級委員?」


日「うん、学級委員の秋元さんが来月から海外に留学することになったんだ。それで新しい学級委員を決めるみたい」


◯「ふーん、なるほどねえ…」


秋「誰が立候補する人はいますか?」


秋元が問い掛けるが、誰も手を挙げない


衛「誰もいないの?みんなこのA組の一員でしょ?この組を仕切る人がいなくてどうするのよ」


◯「組を…仕切る?」


衛「そうよ、学級委員はクラスのリーダーなの。クラスをまとめるっていう経験は、これからの人生で必ず役に立つと思うわ」


◯◯は、統がなぜ自分を高校に行かせたのかを考えていた


◯(ただ馬鹿ってだけなら、他にやり方があったはずだ。わざわざ学校に行かせたってことは、これも組長になるために必要な試練なのか)


◯(だったら…)「はい」


日「えっ…◯◯?」


まさかの人物の挙手にクラス中が驚く


◯「学級委員やります。俺が…この組をまとめてみせます」


こうして、◯◯はA組の組長?になった


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◯「えー、球技大会の競技についてなんですけど、立候補する人はもういませんか?」


クラスでは、友達と喋っていたり勉強をしている生徒がほとんどで、誰も◯◯の話を聞いていない


宿泊学習で絵梨花や白石とは打ち解けたが、他のクラスメイトは頭の悪い◯◯を見下していて非協力的だった


「仕切り悪過ぎ。塾あるから早くしてよ」


「いつまでやってんだよ。早く終わらせろよ」


「真夏の方が全然良かった〜」


◯(ちっ、相変わらずクソみたいなクラスだぜ)


◯◯の怒りは頂点に達しそうだった


衛「もういいわよ、呆れた。そんなにやる気が無いならくじででも決めなさい」


衛藤はそう言い放つと教室を出ていった


◯(ミスったな、こんな事やってても組長になんてなれやしねえ)


組を仕切るという響きに乗せられて、安易に立候補したことを◯◯は後悔していた



学級委員の仕事は、クラスをまとめることだけではない


黒板の掃除や、動物の飼育小屋の掃除といったことまでもが学級委員の仕事である


今は昼休みにウサギ小屋の掃除をしている


◯「くそ、こんなのただの雑用じゃねえかよ…」


生「やってるね〜」


◯「おお、絵梨花か、どうした?」


生「◯◯が苦戦してると思って手伝いに来てあげたんです〜」


◯「そりゃ助かるな。サンキュー」


生「どう?学級委員の仕事は」


◯「どうもこうもねえよ、ただの雑用係だ。正直やってられねえ」


生「あはは、そっか。でも、美彩先生が言ってた通り、きっと◯◯の将来の役に立つと思うよ?」


◯「…だと良いんだけどな」



生「そういえば、◯◯も球技大会バスケだよね?私も一緒なんだ」


◯「ああ、確か勇紀も一緒だったな」


生「放課後一緒に練習しようよ!他のみんなにも声掛けとくからさ!」


正直なところ面倒くさくて断りたかったが、こんな無邪気な笑顔で言われたらさすがに断れない


◯「…分かった、やるよ」


生「さっすが◯◯!やるからには勝たないとね!」


◯(クラスの他の奴らが協力してくれるかどうかは分かんねえけどな…)


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放課後、◯◯と勇紀は先に体育館で練習をしていた


日「◯◯、バスケやったことないの?」


◯「ああ。昔から格闘技は一通りやってたけど、球技はほとんどやったことねえな」


日「だからあんなに喧嘩強かったんだ……」


生「二人ともお待たせ!」


絵梨花は二人の女子生徒を連れ、少し遅れて体育館にやって来た


◯(勇紀、あの二人誰だっけ?)


日(同じクラスの梅澤さんと山下さんだよ。覚えてないの!?)


◯(仕方ねえだろ、お前ら以外とまともに話したことねえんだから)



後から来た三人を加えて練習がスタートした


梅澤は見るからに運動神経が良く、背が高いこともあって即戦力になりそうだ


しかし、


山「ごめん…」


対照的に山下はかなり運動が苦手そうである


生「ドンマイ!次だよ次!」


絵梨花が声を掛けながら練習を続けるが、◯◯が出したパスを山下が取り損ねて、ボールがぶつかってしまう


◯「あ、悪い、大丈夫か?」


山「ごめん、やっぱり私帰るね。下手くそだし、みんなに迷惑掛けちゃうから」


山下は体育館から出ていってしまった



生「私が無理に誘っちゃったから…」


梅「まあ、確かにあんまり運動神経は良くなさそうだったよね」


生「でも今のは仕方ないよ。◯◯のパスだって強かったし…」


◯「…悪い」


生「あ、いや、ごめん…」


梅「みんなごめん、私も今日は帰るね」


そう言うと梅澤も帰っていってしまった



日「二人とも帰っちゃったか。こんなバラバラで大丈夫かな…」


◯(クラスどころか、たった5人もまとめられないのか、俺は)


日「◯◯?」


◯「…ちょっと行くとこあるから俺も帰るわ。悪いな」



◯◯が向かった場所は職員室だった


衛「あら設楽くん、どうしたの?」


◯「すみません、俺に学級委員は無理です。立候補しといて申し訳ないんですけど、辞めさせてください」


衛「…理由を聞かせてくれる?」


◯「俺なりにクラスをまとめようと頑張ってみました。でも全然まとまらないし、協力だってしてくれない。俺には多分無理なんだと思います」


指示すれば言うことを聞いた組員たちとは違い、聞いてくれないクラスメイトをまとめることに限界を感じていた



衛「…話は分かったわ。でも、それはあなたが甘えてるだけよ」


◯「え?」


普段優しい衛藤からの厳しい一言に、◯◯は驚く


衛「確かに宿泊学習の時のあなたは凄かったわ。間違いなく、自分に出来る最善の行動をしていた。例えそれが自分を犠牲にする危険な行動でも」


衛「けど今はどう?ちゃんとクラスメイト一人一人のことを見ているかしら?どうせこうだろうって、勝手に決めつけてない?」


◯「……」


衛「人の心は自己主張だけじゃ動かないわ。相手の気持ちになって心に寄り添うこと。今のあなたはそれをせずただ甘えているだけよ」


自分でも何となく気付いていた核心を突かれた◯◯は、何も言い返すことができなかった


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事務所にて、


◯「なあ岡田さん」


岡「はい」


◯「人をまとめるってのは難しいな」


岡「学校で何かあったんですか?」


◯◯はクラスのこと、そして衛藤に言われたことを話した


岡「…なるほど。クラスを上手くまとめられないと」


◯「ああ。組員たちは、親父の息子ってだけで俺の言う通りにしてた。でもクラスの奴らはそうはいかねえ」


◯「たった数十人のクラスがまとめられない奴が、組長になろうだなんて笑わせるよな」


岡「間違いなく若は成長していますよ。少なくとも、高校に行く前はこうやって悩むことさえ無かったんですから」


◯「…だといいんだけどな」


これまでは何もかも思い通りになってきた◯◯は、壁に直面していた

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それから何日か経ち、◯◯はまたウサギ小屋の掃除をしていた


掃除をする為に除けようと、ウサギを捕まえようとするが、中々捕まえられずに逃げられてしまう


「頑張ってるね、新学級委員さん」


◯「…あんたは」


そこにいたのは◯◯の前任の学級委員、秋元真夏だった


秋「ウサギはね、目が横に付いてるから360°視界を見渡せるんだって。だから私も捕まえるのにかなり苦戦したんだ」


◯「へえ、360°か。ウサギって凄えんだな」


秋「学級委員のことで悩んでるんだって?美彩先生が言ってたよ、設楽くんの相談に乗ってあげてくれって」


どうやらウサギの捕まえ方を教えに来てくれただけではないみたいだ



普段なら弱さを見せない◯◯だったが、藁にもすがる思いで秋元に相談してみることにした


◯「…秋元さんは、どうやってあのクラスをまとめてたんだ?」


秋「私?うーん、特にまとめてたっていう自覚は無かったなぁ…」


◯「絵梨花や勇紀が言ってた。抜けてるところはあったけどクラスのみんなから信頼される学級委員だったって」


秋「う、そこまで知られてるんだ」


秋元は苦笑いを浮かべていた



秋「……別に、無理にクラスをまとめようとしなくてもいいんじゃないかな?」


◯「…は?」


唐突な発言に、◯◯は呆気にとられていた


秋「それよりも、設楽くんはクラスメイト一人一人をもっと見るべきだと思うよ。いくちゃんや日村くんと仲良くなった時、自分より相手のことを考えて行動してたはず」


秋「そうすれば、何かあったらきっと力になってくれる子がいるよ。あと少しだけど、もちろん私もね」


◯「こんな俺に、務まると思うか?」


秋「大丈夫!私でもできたんだし!こうやって悩めるのは真剣にクラスのことを考えてる証だから。設楽くんにできることを精一杯やれば良いんだよ」


◯「…俺に出来ること、か。分かった、ありがとな」


◯◯はそう言うと教室へと戻っていった



秋「ほら、盗み聞きは良くないよ?梅」


梅「…気付いてたんだ」


秋「まあね、長い付き合いだもん」


秋元と梅澤は中学からの親友だった


梅「…私、設楽くんのことちょっと誤解してたかも。正直、クラスのことなんて全然考えてないと思ってた」


秋「私は良い学級委員だと思うな。まっすぐというか純粋というか、普通クラスのことでこんなに悩まないもんね」


梅「そうだね、確かに」


秋「…設楽くんのこと、支えてあげてね。梅は人望もあるし、私も何度も助けられて来たんだから」


梅「真夏…」


秋「球技大会、頑張ってね。私もそれまではまだこっちにいるからさ」


梅「…うん。分かった」


その日から、また放課後の練習に梅澤が参加するようになった


しかし山下は一度も練習に来なかった


それどころか◯◯さえも、前日の練習に姿を現さなかった


そんなこんなで、球技大会当日を迎えてしまった

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梅「結局山下さん来なかったね」


生「うん… 仕方ないよ、4人だけでも頑張ろ?」


◯◯だけは何かを考え込んでいる


日「◯◯?どうかした?」


◯「…何でもねえよ。さあ、行こうか」



球技大会も進み、A組はほとんどの競技で敗退が決まっていた


そう、たった4人で勝ち上がったバスケを除いて


生「まさか4人で決勝まで来られるなんて思わなかったよ」


日「梅澤さんは前から上手かったけど、◯◯も凄い上手くなってるよね」


梅「でも決勝のB組はバスケ経験者も多いみたいだし、さすがに4人じゃ厳しいかも…」


強敵相手に少ない人数で戦わなければならないというのに、◯◯はどこか笑っているように見えた


◯「…大丈夫だ。約束したからな」


日「約束?」


その時、体育館の扉が開いた


◯「…来てくれるって信じてたぜ。山下さん」


そこには、A組のチームカラーである紫のビブスを着た、山下美月の姿があった



◯「へへっ、約束、守ってくれたんだな」


山「あれだけ言われたらね。さすがに破るわけにはいかないでしょ」


日「あの〜、話が全然見えないんだけど」


山「あ、ごめん。じゃあ私から説明するね」

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それは、球技大会前日の放課後のことだった


山下は図書室で勉強をしていた


山(球技大会、4人で大丈夫かな…?でも私なんかが行っても足手まといになるだけだし…)


山下自身、◯◯たちに協力したくないわけではなかったが、みんなの足を引っ張ってしまうのでは?という気持ちがあった

◯「ここにいたんだ、山下さん」

山「設楽くん?」


姿を見せたのは◯◯だった



山「…何の用?球技大会のことなら、私はもう…」


◯「ちょっとさ、頼みがあるんだ」


山「頼み?」


◯「付き合ってくれねえか?」


山「………え?」

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◯「助かるよ、一人でやっててもつまんなくてさ、退屈してたんだ」


山(付き合うってバスケの練習のこと!?危うく勘違いするところだった)


こんなところでも◯◯の鈍感が発揮されていた


◯「俺バスケとか初めてだから本当下手くそでさ、人より練習しねえと追い付けないんだよな」


山「…回りくどいことしてないではっきり言ったら?球技大会に出ろって言いに来たんでしょ?」


あっけらかんとしている◯◯に、山下はつい強い口調で言ってしまう


◯「…俺は別に、山下さんがどうしても出たくないって言うなら無理に誘うつもりはねえよ」


山「だったらどうして…?」


◯「ただ、下手だから足手まといだって思ってるのなら、訂正しておこうと思って」


◯「俺はついこの前まで、『自分がクラスをまとめなきゃいけない』って思い込んで、協力してくれないクラスメイトに苛ついたりもした。でもそれって結局俺の独りよがりで、クラスのことなんて何も考えてなかったんだよな」



◯「バスケも同じだと思う。一人でどうにかしようなんて考えなくてもいい。勇紀に絵梨花、梅澤さんがきっと山下さんをカバーしてくれる。もちろん俺だって」


山「…ありがとう。でも…」


◯「今はまだ信じられないかもしれねえ。けどもし俺らが4人で決勝まで勝ち上がって、山下さんをサポート出来るチームだって証明出来たら、一緒に出てくんねえか?」


山「…分かった。約束する」


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梅「…そんなことがあったんだ」


日「だから◯◯、昨日来なかったんだね」


◯「そういうこと。黙ってて悪かったな」



A組のクラスメイトたちも全員体育館に集合している


「なんで俺たちまで…」


「美彩先が、仲間が勝ち上がってるんだから最後まで応援しろってさ」


そこにはもちろん秋元の姿もあった



そしていよいよ決勝戦開始の時間となった


山下を見ると、やはり少し緊張しているように見える


◯「山下さん!」


◯◯の声に振り向く山下


◯「今度は、ちゃんとパスするから。ウサギみたいに360°広い視野で見渡して、どんなパスだって取ってみせる。仮にミスしたって、俺らが絶対カバーしてみせる。大丈夫、俺ら5人でチームなんだ」


他の3人も頷いている


山「…うん、ありがとう」


生「よし、円陣組もう!◯◯よろしく!」


◯「俺が?」


梅「当たり前でしょ、学級委員なんだから!」


◯「…分かったよ。ようやくチーム5人が揃った。最後の試合、楽しんでいくぞ!」


「おぉー!!!」



球技大会のルールでは1クォーター5分で行われ、試合は既に第4クォーターに突入していた


やはりバスケ経験者の多いB組は手強く、残り1分を切って2点差で負けていた


◯◯がボールを持つが完全に囲まれてしまい、前方へのパスコースも塞がれてしまう


◯(ここでボールを取られたら完全に詰みだ。どうする…?)


その時◯◯は、後方に仲間の気配を感じた


◯(ウサギの目だ。いる!)


◯◯は気配がした方向に、ノールックでパスを出した


山「ナイスパスだよ、設楽くん」


後方にいた山下がしっかりとパスを受ける


梅「山下さんこっち!」


◯◯にマークが付いていたためフリーになっていた梅澤にパスし、しっかりと得点を決める


「よっし!追い付いた!」


「頑張れ!あと少し!」


渋々観戦していたクラスメイトたちも、気付けばいつの間にか声援を送っていた


そんな風景を、衛藤は微笑みながら見守っていた



同点に追い付いた◯◯たちだが、速攻を決められてしまい再び勝ち越されてしまう


日「まずい、もう時間がない!」


日村から◯◯へのスローインで試合が再開するが、その時点で残り時間は10秒を切っていた


残り時間を考えて相手も守りに入り、しっかりと全員にマークが付いている


◯◯がある程度ドリブルで進むが止まってしまい、いよいよ時間がない


生「◯◯!シュート!」


生田の声に弾かれたかのように、◯◯はジャンプしてシュートを放った


その直後に試合終了を告げるブザーが鳴る


ボールは大きく綺麗な放物線を描き、真っ直ぐにリングへと向かっていく


◯「入れぇぇ!」


放たれたボールは、リングにもバックボードにも当たることはなかった

スパッ……


次に聞こえたのはボールがネットを通り抜けた音と、クラスメイトたちの歓声だった


◯「これで同点か… ってことは延長?」


日「◯◯、何やってんの?勝ったんだ!優勝だよ!」


◯「え?まじ?」


◯◯は日村に説明されて、スリーポイントシュートの存在を知った


もっとも◯◯がシュートを打ったのはスリーポイントラインどころか、ほとんどハーフラインの位置だったのだが……



生「◯◯、優勝だね!」


梅「まったくどんな筋力してんのよ…。でも、かっこよかったよ。お疲れさま」


山「設楽くん、誘ってくれてありがとう。すっごく楽しかったよ」


◯(ああ、なんだこの感情… 変な感じだけど、悪くねえ)


◯◯は仲間と共に勝ち取った優勝の喜びというものを噛み締めていた


ふと視線を感じて秋元の方を見ると、笑顔で手を振っていた


秋「お疲れさま、優勝おめでと!これからのA組をよろしくね!」


◯(あんたのおかげだよ。…ありがとな、秋元さん)


口には出さず、ただ黙って手を上げた



「設楽って、意外と良い学級委員なのかもな」


「うん。私たちももっと協力してあげよっか」


衛(ふふ、彼の真っ直ぐな姿勢が、他のクラスメイトにも良い影響を与えたみたいね。これからも頑張りなさい、学級委員)


衛藤は担任として生徒の成長に喜びを感じながら、体育館を後にした

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岡「お帰りなさい、若」


◯「ああ、ただいま」


事務所に帰ってきた◯◯は、疲れてはいたがどこか晴れやかな表情をしていた


岡「球技大会はどうでしたか?」


◯「優勝したよ。頑張ってくれたチームメイトのおかげだ」


自己中心的な考え方しかできなかった◯◯からそんな言葉が出てきたことに、岡田は驚きと喜びを感じていた



◯「なあ岡田さん。なんか俺、学校楽しくなってきたかも」


岡「…そうですか。その言葉、組長もきっと喜ぶと思いますよ」


◯「親父が?…だったら良いけどな」


岡(統… 若は将来、お前を超える組長になるかもしれないぜ)


岡田は、日々着実に成長していく若頭の姿に、統以上の可能性を感じていた


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次の日の学校、


◯◯が教室に入ると、いつもと違う点があった


「お、設楽おはよう!」


「設楽くんおはよう、昨日は凄かったね!」


◯(…おお?)


日「◯◯おはよ」


◯「おう、おはよ。これは一体どういうことだ?」


日「みんな◯◯を認めてくれたんだと思うよ。クラスメイトとして、学級委員としてさ」


◯「…そうなのか?」


白「そうそう、昨日は本当に大活躍だったもんね!」


◯「…あれ?白石さん… なんか久しぶりな気がする」


白「うっ… 宿泊学習編以来初登場なんて言えない…」



生「とにかく、球技大会も終わったし、これでテストに向かっていけそうだね!」


◯「………は?」


ようやくクラスにも馴染んできた◯◯だったが、過去最大のピンチが訪れるのだった

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