師走の足音
僕は十一月の最後の風を吸う、
足元には八月のポスターが風に舞う。
僕が歩いていく通りには
いくつかの種族の人間がたむろし
僕のような人間はそれを横目で歩き去る。
十一月の風が光る、秋の枯れ葉を運んでゆく。
僕の心の一面を白い雪が覆いつくす。
僕の心に師走の風、足元に死に去った真夏、
僕らを新しい年に送り出す最後の月。
*
僕は十一月の最後の言葉を聴く、
足元にはそれが転げ落ち風に吹かれて飛んでゆく。
十一月の最後の日に去りゆく秋の匂いを嗅ぐ、
僕の心のてっぺんをその風が掠め飛ぶ。
僕の心は十二月、足元には死んだ八月、
僕らを新しい年に送り出す
この最後の月。
*
青い空、白い風が匂って
僕らを遠いところへ運んでゆく。
それは僕らの懐かしい場所であったり
僕らが行くだろう未来だったりする。
過ぎてゆくこの年の背中を
眺めていたりする年の瀬に
僕が生まれたこの小都市を
恨めしく思ったりし歩いてゆく!
十一月の風が光る、秋の枯れ葉を運んでゆく。
僕の心を突っ切って遠くまで飛んでゆく。
僕の心に師走の風、足元に死に去った真夏、
僕らを新しい年に送り出す
最後の月。
僕らを新しい年に運んでゆく師走の風!
*
僕は十一月の最後の風の言葉を聴く。
(1996年11月30日〜12月1日)
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