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俺の山月記
ドルジとお酒は切っても切れない縁がある。お酒に救われたこともあるし、失った物も数え切れない。当時まだ若手だったドルジは、取引先との飲み会で緊張からどんどんお酒が進んでいた。飲めば飲むほど場が盛り上がるので、自分のキャパなど考えずにやりたい放題した結果、気が大きくなり無双状態に変貌していた。そんなスーパードルジくんは取引先のお偉いさんとタクシーに同情して二次会会場へと移動していた。お偉いさんがドルジをからかって『まだ何も分かってない新米の癖に生意気だぞ』と言ってきた。いつものドルジならご褒美の言葉に頬を赤らめ、鳥肌を立てて喜ぶのだが、Sモード全開のスーパードルジくんは、カチンと来たのか何か訳のわからない暴言を叫びながら、その場でタクシーを降りて闇の中へかけだした。そして、人目につかない路地裏でアスファルトに寝そべりそのまま就寝してしまったのだ。
数時間経つと、誰が声をかけて肩を叩いてくる。少し酔いの落ち着いたドルジが目を開けると、そこにはボサボサ頭の爺さんホームレスが立っていた。『こんな所で寝てると風邪引くからさっさと家に帰れ。』ホームレスに怒られたドルジは軽く会釈をして家路につくこととした。念の為、持ち物を確認すると財布は無事だ。でも会社の携帯が無い。会社の備品を無くし、お客さんに暴言を吐いたドルジ。だが、まだ酔いが残っているせいか事の重大さに実感がない。それより今は、不衛生な格好をしているホームレスの髪の毛が、何であんなにフサフサなのか気になって仕方ないドルジなのでした。