2019年 小学生部門 優秀賞・ニャーロウ賞
◎優秀賞 盛永 維さん(小6)
読んだ本――『記憶の国の王女』 ロデリック・タウンリー作 布施由紀子訳 徳間書店
【作品】
「読むというすてきな冒険」
「来たぞぉぉぉぉ! 読者だ!」オレンジ色の鳥がそう叫んで、高く舞い上がりました。
「ほぉぉぉんが開くよぅぅ!」ウシガエルがうめくように言いました。「開くよぅぅぅ! ほぉぉぉんが開くぅ!」
登場人物たちは、閉じていた本の中で、持ち場のページを移動して生活していた。彼らは、本を開く読者を待っていたのだ。そして、このかけ声で自分の登場するページに大急ぎ向かって行く。『とてもすてきな大きなこと』という本は、このかけ声で物語が始まる。本の中に出てくる本の主人公シルヴィ姫は、ある日読者のクレアが本を開いたまま眠ってしまった時、その夢の中に入りこんでしまう。そして、クレアのおばあさんでこの本の最初の読者、藍色の目の女の子に出会う。しかし、本は火事で焼けてしまい、シルヴィたちは物語に登場する魚に乗って、再びクレアの夢の中に逃げる。それから、シルヴィたちは藍色の目の女の子に助けられ、山で生活を始める。一方新しい王国では、道化師のピングリーが王になり王国は荒れてしまう。そして、シルヴィたちもクレアの夢の中にだんだんと出てこなくなり、クレアも年老いていく。そこでシルヴィはクレアの心の中に入り、本のことを思い出させる。それから、クレアの娘のリリーの夢の中に入ったシルヴィは、リリーに新しい物語を作ってもらい、新しい王国を作り上げる。
この本を読んで、シルヴィ、藍色の目の女の子、クレア、リリーにとっての『とてもすてきな大きなこと』とはどのようなことか考えてみることにした。
シルヴィは、王国を抜け出して、新しい世界を冒険するのが大好き。クレアの夢の中に入り、いっしょにどろんこになったり、岩から落ちて目の見えないフクロウに助けてもらったり。シルヴィは、本が開くと、生き生きと動き出す。そのため外の世界の危険を知っていても、冒険することが彼女にとって『とてもすてきな大きなこと』なのだ。
『とてもすてきな大きなこと』の最初の読者、藍色の目の女の子は、この本をとても気に入り、何度も何度も繰り返し読んだ。シルヴィはきっとその時読者を本の中から見上げてしまい、きれいな藍色の目が印象に残って、藍色の目の女の子と呼んでいるのだろう。おばあさんになっても、孫のクレアにこの本を読んでもらうのは、小さいころ持っていたシルヴィへのあこがれが忘れられないからだ。そして、クレアがこの本のことを大人になっても覚えていたのは、二人がこの時間をとても大切にしていたからだろう。二人にとっての『とてもすてきな大きなこと』は、この本を読むことだった。それから、クレアの娘リリーもクレアの話を聞いていくうちにこの本を好きになっていった。そして、リリーにとって『とてもすてきな大きなこと』である作家という仕事で改訂版『とてもすてきな大きなこと』を書き、夢に大きく近づくことができた。この本は、長い年月を経て、何代にもわたって家族をつないだのだ。
記憶は、実際に存在する物でも、空想で作り上げた物でも、その記憶の持ち主が、他の人につなぐことができれば、永遠に残される。それでもきっと、初めの持ち主の記憶とは大きく変わってしまっているだろう。けれど、記憶の持ち主が他の人につなぐことができなければ、それまで長い間受けつがれてきた記憶が途切れてしまうのだ。この本が元の題名『とてもすてきな大きなこと』ではなく『記憶の国の王女』になったのは、多くの読者の記憶をつないだシルヴィを通して、この本を読む私たちに記憶が受けつがれるということの素晴らしさを伝えるためではないかと思う。
私にとっての『とてもすてきな大きなこと』を見つけるために、私はまた本を開く。
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◎優秀賞 相良 凜さん(小4)
読んだ本――『名探偵テスとミナ 黒ネコの絵のひみつ』 ポーラ・ハリソン作 村上利佳訳 文響社
【作品】
「プラムチェスター新聞」
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◎優秀賞 棚瀬 準三さん(小2)
読んだ本――『リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険』『アームストロング 宙飛ぶネズミの大冒険』『エジソン ネズミの海底大冒険』 トーベン・クールマン作 金原瑞人訳 ブロンズ新社
【作品】
「すばらしい発明家」
ぼくは、先生の大好きな本を読んだ。『リンドバーグ』、『アームストロング』、『エジソン』っていうよ。
『リンドバーグ』
ぼくのゆめは、パイロット。だから、小ネズミが空をとべるか、ずっとドキドキしっぱなし。小ネズミは、かしこいから、部品をいっぱいさがして、道具をいろいろつかった。
そして、ぼくの大すきなひこうきを、一人で作ったんだ。
フクロウは、ネズミを食べるから、小ネズミをねらっていた。雨の方が、フクロウがいない。すがたもかくれる。だから、小ネズミは、がんばってりりくした。
目的地までとんだ、いのちしらずのパイロットは、とってもかっこよかったよ。
『アームストロング』
ぼくは、たんさきの「はやぶさ2」がすき。だから、小ネズミの作るロケットに、とってもワクワクした。またまた、かしこい小ネズミ。部品をいっぱいさがして、道具をいろいろつかった。そして、ロケットを、一人でかんせいさせたんだ。
「ひゃー。」
人間と犬においかけられたけど、ギリギリセーフで、はっしゃさせた。
月から石を一つ持ち帰った、ゆう気あるうちゅうひこうし。かしこいネズミには、できないことはないんだね。
『エジソン』
ぼくの家にも、魚がたくさんいるから、表紙を見ただけで、ワクワクした。またまた、またまた、かしこい小ネズミ。部品をいっぱいさがして、道具を色々つかった。そして今度は、二ひきで力を合わせて、せん水かんを作り上げたんだ。魚の形にしたのは、魚をびっくりさせないためかな。
海のそこまで行けた、ゆうかんなせん水し。とっても、ほこらしい。
やっぱり、きみは、すばらしい発明家だね。次は、何を作るのかな。今度、こっそり、ぼくに教えに来てね。
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◎ニャーロウ賞 相良 杏さん(小2)
読んだ本――『すてきって なんだろう?』 アントネッラ・カペッティ文 メリッサ・カストリヨン絵 あべけんじろう、あべなお訳 きじとら出版
【作品】
「すてきってなんだろう?」
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(注:応募者の作文は原則としてそのまま掲載していますが、表記ミスと思われるものを一部修正している場合があります。――読書探偵作文コンクール事務局)
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