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タガメを訪ねて千枚田

お久しぶりのガサガサである。
高知から帰省した息子がいいだした。
狙いはタガメ。
どうやら高知ではというより四国ではタガメは絶望的に絶望危惧種らしい。
とはいえ、四国どころか全国でも出会いは超困難である、と聞く。
アタシ自身もこれだけ野山を駆けずり回ろうと野生のタガメには会ったことがない。
街住まいのあんたには無理ということなかれ。
この街も大昔の周辺は森林地帯で、小学校のときには校庭の水たまりにタイコウチがザクザク住んでいた。
登下校は一山越えての、その森の生物たちが道草の友だったという毎日だった。
こんなアタシが会ったことないのである。
高知で職についた息子の周囲もかなりな自然である。
学校のプールにはゲンゴロウが遊泳しているらしい。
ゲンゴロウといってもシマゲンではなくナミゲンで、これも絶滅危惧種なのだ。

というわけで、とりあえず「タガメ 愛知」でググってみるものの、それで生息地が分かるわけがないということは「蝶」をググり倒したアタシは知っていた。
ただ、四谷の千枚田にはタガメやコオイムシがいる、という記述があった。
これだ。絶対に逢えないけどその千枚田は行ったことがない。
観光もかねてドライブすればいい、、、
と、親子のドライブした。

もちろんタガメのガサガサが第一目的である、、絶対にいないと思うけど。
田園風景のなかを車を走らせる。
タガメにとって田んぼは必須なのだが、農薬にめっぽう弱いタガメはそれが原因で絶滅に追い込まれている。可能性としては田んぼの上にある溜池と考えそんな池を探しながら走る。
もちろん道から見えることはないので、適当にあてをつけて歩いていく。
いきなりよさそげな池があった。
岸から水草のあたりをすくうようにガサガサとしてみる。

水棲昆虫はほぼマツモムシ。あとヤゴの種類は多い。アカハラ一匹と両生類の幼生一匹。
アカハラの幼生かもしれない。顎のあたりの両脇にウーパールーパーのように、外にむき出したエラが揺れている。なんとなく可愛らしい。
蝶はほとんどいなかったなか、いつのまにかガサガサ用ネットに入っていたのがこれ。
多分いいだろう笹にリリースして一枚。クロコノマチョウの幼虫。
どうも、舞台の魔女役を思い出してしまう、笑

アタシは2−3回ガサガサとしたら、あとは蝶探索をしてみるが、ほとんど蝶は飛ばない。コキマダラセセリが一頭だけ。あとはクロコノマチョウの幼虫である。
タガメも蝶も諦めて、千枚田にむかったが、いきなりそれなりに予感されるガサガサに気を良くした。

結構壮大な四谷千枚田、はじめての来訪。

さすがに観光地化された千枚田でネットを持って歩くことも、ましてやガサガサすることも憚れる。
ここはとりあえず、見て回ることにした。ま、タガメには会えないだろうけど。

変わった翅の生え方だなぁ、とよくみてみたら共食いでした^^;
用水路にはサワガニがいっぱいいる。
田のなかにもいた。
早稲がさわやかだ。
中腹から田を見下ろす
飛び回って止まらない黒系のアゲハのほかにいたのは、ヒメウラナミジャノメとこれ。
スジグロチャバネセセリやヘリグロチャバネセセリとにているけど、まあこれはヒメチャマダラセセリだろうな〜。愛知県だし、笑
千枚田の一番飢えからの風景。やはり千枚田は下から写すのが正解だな、笑

おっと、忘れていた。丁寧に用水や田を見て回ったけど、もちろんタガメの姿はみえない。まあ予想通りなんだけどさ。
山をぐるっと回ってガサガサをしながら帰路についたが、タガメどころか何もネットには入らない。タガメは無理でもミズカマキリぐらいは期待していたが、やはり車道から見渡せる範囲では無理なのかもしれない。
しかも、あてもなく探し回るってことに無理があるのか。
そんななか、車道に舞う黒い蝶を発見。
もしやと思い、車を停め、行き交う車を注意しながら近寄ってみると。
やはり、、、、、久々のスミナガシだった。
絵にはならないが、とても綺麗なモデルだった。

綺麗なスミナガシ。でも逢うのはここか? マジで絵にならないなぁ。

息子のリクエストもあり、帰りにペットショップに寄った。
「水棲昆虫入荷」という張り紙があった。
そこにはタガメが売られていた。もちろん日本のタガメは販売が禁止されている。法律的には自分で捕獲して飼育するのはいいのだが、販売目的の捕獲は禁止されている。
ここで売られていたタガメは、タイ産のオオタガメ。
例の食用のタガメの生体である。
ちなみに食用は一袋何頭かわからないが、1680円
この生体は1頭、4980円だった。
アタシはまさか買わないよね、、、と声に出さずに訴えていた。
一瞬まよった息子は、駄目だ、安易にタイに走っては駄目だ、自分で捕まえるまで頑張るのだぁああああ、と決意を新たにしていた。
その隣でどこかの兄さんはレオパを買うんだ〜、と駄々をこね。
「なんで観るだけっていったじゃないの、だから来るのは嫌だったんだ」とかなり語気を荒げふてくされる嫁ハンと子どもの前で揉めていた。
子どもたちは無言で二人を見上げていた。
若い店員はあ〜あ、始まっちゃったよ、という目で斜め上をみていた。

十人十色の思いを包み込むように宵闇が迫ってくる。
こうしてありふれた一日は暮れようとしていた。


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毒多
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