働きながら本屋になる PASSAGE日記 #1
物心ついた時から本を読んでいた。
幼少期、思春期、大学時代、就職してから。どの過去を振り返っても、私の人生は本を読んでいた、はずだった。
大学を卒業して十年以上が経過した。
職業を選ぶ際に、好きなことを仕事にはしない。仕事と好きなことには線を引くと決意した。好きなことを仕事にしている人を否定するつもりなど毛頭ない。
けれど若かりし私は、好きなものを仕事にしてしまったら、自分が保てなくなるような気がした。それに傾注しすぎるあまり、いつか自身が好きだったものを疎ましく、憎ましく思い、絶望してしまうのではないかと恐れていた。
私は自分が愛する領分を守りたかった。だから私は仕事はあくまでも生活の糧を得るものと割り切ることを選択した。
私は生活費を稼ぐために働いている。仕事が嫌いなわけではない。ある程度の適性もあり、得意な仕事なのだと思う。この点は本当に恵まれていたと思う。
しかし仕事をはじめて十年以上。仕事自体が嫌いなわけではないが、人員が減り続ける中、増え続ける業務量。複雑で責任が重い仕事が当然のように私に振られる。増え続ける仕事に、止まない問い合わせ。人間関係の気苦労と摩耗。
気づかぬ間に私は疲れ果てていた。気づけが本を読む時間は皆無になっていた。休日とて疲れ果てて起き上がれないか、起き上がれても本を読むなんて気力は残されていなかった。
これが私の望んだ人生なのかと呆然とした。
私の人生に「本」を取り戻したかった。今それをしなければ、私はそれを一生手放してしまうような、そんな危機感を持っていた。そんな時に出会ったのがPASSAGEだった。
PASSAGEに申し込んだ時、私は藁をもすがる思いだった。
PASSAGEとは?
世界一の本の街・神保町に2022年3月にオープンした一棚一棚に店主がいる共同書店(シェア型書店)。
「なら、自分で本屋になっちゃえばいいじゃん!」との心強い言葉のもと、誰でも出店可能で、自分の好きな本を神保町の本屋に並べて販売することができます。
https://passage.allreviews.jp
2022/9/21の「ひるおび」で紹介された時の映像もご参考までに。
【ひるおび】読書好き必見!本への愛情を分かち合いたいあなたへ 最新「本」事情
作者紹介
神保町にあるPASSAGEで、「いつか読書する日」という書棚の棚主です。
一棚店主とはいえ、本屋になって感じたこと、生活に本を取り戻しつつあることを、今後もゆるゆると発信していきたいと思いますので、ぜひお読みいただければ。
興味のある方は、ぜひ一緒PASSAGEを盛り立てていきましょう。