いつか読書する日

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いつか読書する日

神保町のシェア型書店「PASSAGE by ALL REVIEWS」で「いつか読書する日」という書棚を運営しています。 https://passage.allreviews.jp/store/EIWAMTLETI3F2I6ZAQCJV33L

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  • PASSAGE通信

    神保町の共同書店の書棚「いつか読書する日」からのお知らせです。 主に選書サービスについて、ご案内しています。

  • 書評じゃない書評

    本のあらすじ紹介もなく、本を読んだ時に感じたことを書いたもの。 それでも読もうと思ったら、ぜひ読んだください。

  • PASSAGE日記

    神保町のシェア型書店「PASSAGE by ALL REVIEWS」で「いつか読書する日」の書棚の紹介。 https://passage.allreviews.jp/store/EIWAMTLETI3F2I6ZAQCJV33L

最近の記事

もう読むことのない村上春樹(村上春樹『街とその不確かな壁』)

村上春樹の新作が出たらしい。 壁が出てくる物語のようだ。 「読んでみようかな」と思った自分に、私はひどく驚いた。 私と村上春樹の出会いは幼稚園生の頃。 当時、母が狂ったように村上春樹を読む耽っていた。読み耽るといっても自堕落なものではなく、10分しか乗らないバスに座った瞬間本を開き、読みたくて堪らないという必死さに、私は「本ってそんなに面白いの?」と訊いたらしい。私の記憶には残っていないけれど。 母の村上春樹熱の反動か、私は村上春樹をそれとなく避けたまま高校生になった。

    • 選書サービス(常時オンライン)のご案内 PASSAGE通信 #4(休止中)

      選書サービスとは 事前にカウンセリングシートにご回答いただき、あなただけのオススメ本を3冊選書します。 オンライン上のやりとりで完結し、書店にご来店いただく必要はありません。 「どんな本を読んだらよいかわからない」「自分で選ぶとジャンルが偏ってしまうので、今まで読んだことのない本に出会ってみたい」等、選書サービスを利用してみたい方は、お気軽にご利用ください。 選書までの流れ 下記のGoogleフォームからお申し込みください(こちらからいきなりご入力ください!)。 htt

      • 藁にもすがる思いで本屋になる PASSAGE日記 #9

        本屋になってもうすぐ一年になる。 本屋とは少し言い過ぎかもしれない。正確には神保町の共同書店PASSAGEで一棚店主になって。 PASSAGEで一棚店主になる際に「一冊も売れなかったらどうしようと思ってはじめました」と言うのは嘘ではない。でも本心をオブラートに包んだよそゆきの言葉だ。 一年前の自分を私はうまく思い出せない。 それは今の私とはまったく別物だった。 PASSAGEを見つけて、よくわからないまま、ただただ申し込んだ。どうやって申し込んだかは思い出せないが、無我夢

        • 選書サービスをやってみた PASSAGE日記 #8

          選書サービス。 多くの本の中からひとりひとりの好みやリクエストに応じて、選書人が本を選ぶサービスのこと。 「いつか読書する日」がはじめた選書サービスについてはこちら。 ヒアリングシートをもとに本を選んでいるが、ヒアリングシートを読み終えた段階で、大体5冊くらいはパッと本が浮かぶ。 「この本きっと好きそう(何なら既に読了しているかも)」とか「自分では手に取らなそうだけど、読んだら気に入ると思う」とか「好きか嫌いかは好みがわかれそうだけど、ハマったら好きだと思う」とか「この本は

        もう読むことのない村上春樹(村上春樹『街とその不確かな壁』)

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        記事

          【2023/4/22(土)PASSAGE来店必須】選書サービス(プロトタイプ)のご案内 PASSAGE通信 #3

          選書サービスとは事前にカウンセリングシートにご回答いただき、あなただけのオススメ本を3〜5冊選書させていただきます。 どのような選書サービスを目指しているかは、こちらをご覧ください。 料金は無料です。 選書までの流れTwitterのDMから又はメールアドレス(itsukadokusyosuruhi@gmail.com)からご応募いただく。 先着3名に該当した方には、ヒアリングシート(Googleフォーム)を送付します。2023/4/14(金)までに回答をご記入ください

          【2023/4/22(土)PASSAGE来店必須】選書サービス(プロトタイプ)のご案内 PASSAGE通信 #3

          PASSAGEのシオランたち PASSAGE日記 #7

          エマニエル・シオランというルーマニアの哲学者がいる。 デカルト、カント、ハイデガー、デリダ、ドゥルーズに比べれば、マイナーといっていい哲学者だろう。 19歳の時にはじめて手にしたのは『悪しき造物主』。その後シオランにハマって、結局卒論もシオランで書くことになった。 これを若気の至りと呼ぶのか、私の人生をかたどった出来事と呼ぶべきか、私は今でもわからない。 とうの昔に記憶の彼方に葬り去った筈なのに、PASSAGEではシオラン好きたちが春の訪れとともにニョキニョキ発生しており

          PASSAGEのシオランたち PASSAGE日記 #7

          【2023/4/8(土)PASSAGE来店必須】選書サービス(プロトタイプ)のご案内 PASSAGE通信 #2

          選書サービスとは事前にカウンセリングシートにご回答いただき、あなただけのオススメ本を3〜5冊選書させていただきます。 どのような選書サービスを目指しているかは、こちらをご覧ください。 料金は無料です。 選書までの流れTwitterのDMから又はメールアドレス(itsukadokusyosuruhi@gmail.com)からご応募いただく。 先着3名に該当した方には、ヒアリングシート(Googleフォーム)を送付します。2023/3/31 2023/3/21 までに回答

          【2023/4/8(土)PASSAGE来店必須】選書サービス(プロトタイプ)のご案内 PASSAGE通信 #2

          選書サービスはじめます PASSAGE通信 #1

          はじめに神保町の共同書店PASSAGEの一棚店主「いつか読書する日」です。 「いつか読書する日」をはじめて半年以上、一日店長を何度かするようになり、かねてより「やりたい!」と思っていた選書サービスをはじめようと思います。 応募方法は別途お知らせしますが、本日は「どうして選書サービスをはじめるか」「どんな選書サービスを行いたいか」をお伝えしようと思います。 選書サービス(検討中のため変更の可能性があります)事前にオンライン上でカウンセリングシートにご記入いただく PASSA

          選書サービスはじめます PASSAGE通信 #1

          売るために読むという本末転倒 PASSAGE日記 #4

          締切がなければ小説を書き上げることなんてないだろうという作家の話を聞いたことがある。締切があるから追い込みをするし、缶詰をする。 お金のない学生時代、図書館を利用した。図書館には当然返却期限があり、返却期限までに本を読まなければならなかった。 お金を稼ぎ、本を購入して自分の所有物とし、読みたいときに読みたいものを読めるようになった。 購入さえすれば、その本は私のものとなり、いつ読んだって構わない。読まずに床に積んでいたとしても、誰に責められる謂れはない。 なけなしの時間か

          売るために読むという本末転倒 PASSAGE日記 #4

          本を手放すということ PASSAGE日記 #3

          引越しの回数はまあまあ多い方だと思う。 予定したわけでも、意図したわけでもないけれど、なぜか引っ越す羽目になる。 天井までの可動式本棚をどこに置くかで部屋のレイアウトは自動的に決定する。窓の多い部屋は困る。そこに本棚を並べるしかないので、模様替えなどできようはずもない。 幼い頃はいつか書斎の部屋が持ちたいと思ったものだが、掃除が面倒すぎて部屋を増やせる自信がない。なぜ掃除をしているのに塵は毎週たまるのだ。 油断すると増殖し、本棚に入りきらなくなるため、床に積み上がる本。 定

          本を手放すということ PASSAGE日記 #3

          「芥川、すげーじゃん」

          もう10年近く前のことだけれど、児童養護施設で勉強を教えていたことがある。私の役割は「学習ボランティア」として勉強を教えること。 しかしながら私が勉強を教える生徒は、断固として勉強をする気はなく、将来はヒモになりたいという。その中学生の少年に、私は一体どんな授業を行えばよいか頭を悩ませていた。 せめて高校受験合格のためといった目標があれば、少しは違ったかもしれないが、彼は調理師学校への進学を早々に決め、断固として「勉強をしない」という意思表示を行った。 本当に勉強がしたくな

          「芥川、すげーじゃん」

          人生に本の居場所がある PASSAGE日記 #2

          先日、PASSAGEに伺った際に「そろそろ一周年ですか?」と聞いたら、「いえいえ、まだそんなに経ってませんよ」と言われた。確かに。月に数回神保町に通う生活が板についてきたとはいえ、私がここに通うようになってまだ半年も経っていないのだ。 PASSAGEで棚主になって数ヶ月。月に何度か神保町に本の搬入に通うようになったとはいえ、毎日店番をしているわけでもなく、「本屋さんになった」といっても所詮一棚の棚主、日々の生活に大した変化はない…なんてことは全くなかった。 たとえPASS

          人生に本の居場所がある PASSAGE日記 #2

          働きながら本屋になる PASSAGE日記 #1

          物心ついた時から本を読んでいた。 幼少期、思春期、大学時代、就職してから。どの過去を振り返っても、私の人生は本を読んでいた、はずだった。 大学を卒業して十年以上が経過した。 職業を選ぶ際に、好きなことを仕事にはしない。仕事と好きなことには線を引くと決意した。好きなことを仕事にしている人を否定するつもりなど毛頭ない。 けれど若かりし私は、好きなものを仕事にしてしまったら、自分が保てなくなるような気がした。それに傾注しすぎるあまり、いつか自身が好きだったものを疎ましく、憎ましく

          働きながら本屋になる PASSAGE日記 #1

          味わうように読む PASSAGE日記 #5

          学生の頃、自由だった。 読みたい本を、好きなだけ時間をかけて読んだ。 夜更けまで読み耽ってしまったり、いまいち気の乗らない本は「今はその時じゃなんだろう」とほっぽいて、他の本を読みはじめた。 読むことの自由さが私は好きだった。 2時間の映画は誰が見ても2時間だ(最近、映像を倍速で見る人も増えているらしいけれど)。 本は違う。同じ本を一日で読む人もいれば、三ヶ月かけて読む人もいる。況や読み終えなくてもよい。読み終えない自由もあるのだ。 私は本を読む時、ここが山場だと思うような場

          味わうように読む PASSAGE日記 #5

          旅をする理由とスーザン・ソンタグ 台北(スーザン・ソンタグ『良心の領界』)

          鬱蒼と生い茂る南国の森林を眺めながら、列車で空港から市内に向かう。 最近、何故か私は旅をはじめた。 多分そんなタイミングなのだろうと思いながら、スーザン・ソンタクグの言葉を思い出していた。 時間は消えていっても、場所はそこにあり続ける。場所は時間を埋め合わせてくれる。そうなのだろうか。「ある」と「あらぬ」を、「存在」と「不在」をずっと考えてきたような気がするけれど、私はもう「ある」ということが放棄できないのだと思う。「ある」ということを受け入れた私は、きっとこの先、旅をし続

          旅をする理由とスーザン・ソンタグ 台北(スーザン・ソンタグ『良心の領界』)

          「書く」ということ PASSAGE日記 #6

          Wordの空白の画面を見つめて呆然とした。 書けない。書きたいことが全くない。 幼稚園生の時に日記を書きはじめたことを皮切りに、私の人生には書くことが当然のようにあった。夏休みの読書感想文の宿題や大学のレポート課題でなくとも、私は断続的に文章を書き続けてきた。書くことはいくらでもあった。 Wordが一文字も埋まらなかった時、認めざるを得なかった。 搾り出そうとしても私に書きたいことがないのだ。今の私はそんな状況なのだと。 以前の私はどのように文章を書いていたのだろう。それ

          「書く」ということ PASSAGE日記 #6