旅をする理由とスーザン・ソンタグ 台北(スーザン・ソンタグ『良心の領界』)
鬱蒼と生い茂る南国の森林を眺めながら、列車で空港から市内に向かう。
最近、何故か私は旅をはじめた。
多分そんなタイミングなのだろうと思いながら、スーザン・ソンタクグの言葉を思い出していた。
時間は消えていっても、場所はそこにあり続ける。場所は時間を埋め合わせてくれる。そうなのだろうか。「ある」と「あらぬ」を、「存在」と「不在」をずっと考えてきたような気がするけれど、私はもう「ある」ということが放棄できないのだと思う。「ある」ということを受け入れた私は、きっとこの先、旅をし続けるしかないわけで、あとどのくらいの国に行くことになるのだろうかと少しうんざりしながら考えている。