【書評】ぼくは勉強ができない　山田詠美

ぼくは確かに成績が悪いよ。でも、勉強よりも素敵で大切なことがいっぱいあると思うんだ。

こんにちは！魅力ラボのチェカンノです♪

今回は、山田詠美さんのちょっと毛色が違う小説をご案内したいと思います。

山田詠美さんといえば、ちょっとセクシーな女性の小説をイメージしちゃいませんか？（とりあえず私はそうでした）でもこの小説の主人公は高校生＆17歳なんです！レアでしょ？

主人公はちょっと個性的なお母さんに育てられた時田秀美くん。絵に描いたような「セクシー」なお母さんに自分好みにの男に育てられている。

バーで働く年上の彼女「桃子さん」と熱愛中で、オトナな経験済。なんとなく「学校」には馴染めない。

いわゆる「普通の高校生」のイメージからは遠いけど、とにかく女にもてまくる彼が、とっても魅力的。

好きになっちゃう女性の気持ちはとてもわかる。だって、彼がクラスに居たら、私もきっと気になってしまうと思う。

先生や同級生に一般的には「ちょっと言いづらいじゃないの？」ってことをズバズバ言っていく様は、爽快。同級生だったら相当大人っぽく目に映ると思う。

でも、私が好きなエピソードは…いつも落ち着いて大人っぽい彼が、

年上の彼女の浮気に気づいて、恋心にかき乱されるシーン！！！！

ちょっととんがっていて高校生らしかぬ落ち着きをもつ彼もこんなに落ち込むのだと、ホッとしました。

彼なりに人とぶつかって、成長していく様は、「人ってめんどくさいけど、人間は一人では成長できない。ひとと関わって、自分を知っていくんだなぁ」そんなことが気づける作品。

主人公が若いせいか読後感も爽やか。

しかし…初読の時は主人公と年が近かったせいか主人公寄りの感情で読んでいたけれど、いつの間にか母親や恋人の桃子さんの方が近い年齢に！！

…私、いい女に成長できてるかしら？

10年以上ぶりに読み返してみて、そんなことを考えてしまいました。

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

執筆：チェカンノ

　
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