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【読書連想文】スロウハイツの神様(2007)

講談社文庫の下巻の帯に「“20代の辻村深月はこれが書きたかった” という小説だと思っています」とあります

エッセイ集『図書館で暮らしたい』を読んでいたから、私もいろいろ想像することができました

正直なところ、物語に入り込めるまで私には少し難しく感じました。クリエイティヴな世界に生きる若い人たちの話なので。芸術至上主義の世界って、私が大昔に国語で芥川龍之介のなんかを読んだときの(大してピンと来ない)テーマでしたが、凡人にとってはその程度のことです😂

自分の才能にかまけて態度がデカい赤羽環とか、普通にムカつきます😂普通に性格悪いですよ😂その態度のデカさ、性格の悪さにはこんな事情があってこんな反面もありますということを言われても、才能がない人にも事情はあるのですがなにか?くらいに思わない私もそうとう性格が悪いのは認めます😂

しかし、結論から言うと、こんなに切ないラブストーリーがあるのかと、最後の「お久しぶりです」で感極まりました

「好き」がある人は強いです

それさえあれば、不器用な生き方であってもいいし、そもそも人生ってそんなに器用に生きるべきものなの?と開き直れます😂

赤羽環が筋金入りの毒親育ちです。彼女の場合は母親が精神異常者、父親が無責任なオコチャマです

アタマのおかしい人を自分には被害が及ばないところで遠目で見るのであれば私にはけっこう興味深かったりしますが、そういう人が人の親になるのはこの世の悲劇だと思います

自分の親がフツーの人だった方、ラッキーです。精神異常者を親に持って幼少期に自分の存在および安全が脅かされた場合、その後遺症は一生治らないと思います。絶対にと言っていいと思っています

(その上に一昔前までは子がかわいくない親はいないとかいうデタラメ倫理がまかり通っていた)

それにしてもクリエイターとして名声を得た人の生活習慣というのはこんなに酷いものなのでしょうかね。これでは40代くらいから一気にガタが来そうです

私は自分が何者にもなれなかったことには、実は深くコンプレックスを持っていますが、これから身体機能が衰えていくのに抗えない人生のステージに来て、心身ともどれだけ健康であるかが第一だと確信しています

これからは「今までできなかったこと」にとらわれず、「今何ができているのか」にどれだけフォーカスできるかが課題です

そろそろ凡人でもなにかできる人生のステージに差し掛かっているのではないか🤩

例えば某国では自分の優秀さを証明するキャンペーンの一環として、学校を卒業する前に音楽の試験でグレード8を取るというのがありますが、一度それを達成したら音楽はそれで終わり、という人がけっこういます

そのときはそれがとても価値があるように思えるでしょうが、音楽というのはやり続けないと技術を維持できませんから、グレード8取ったんでやめますという場合は、歳をとって何十年も経ったらグレード8の証書には大した意味がありません。あるのは「俺は昔はスゴかったんだ」という虚勢くらい?

年寄りのこういう英雄伝ってイタいですよね😂

だから自分を過信しないで身体は大切にしたほうがいいと思うのです

赤羽環は毒嫌育ちでも、妹との関係が良好なので、そこで大いに救われています

狩野相太と長野正義が大人でマトモなのに感心しました

「あらゆる物語のテーマは結局愛だよね」

最後に西尾維新による解説に「作家とは厄介な生き物である」とありますが、才能があるという面では特別ですが、別に作家だから厄介な生き物とは私は思いませんね

一度凡人になってみてください。厄介ですよ〜😂

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