vol.3|生徒目線で最適な学び方を
2022年8月8日公開記事の再掲となります。
学校でのICT活用に訪れたさまざまな変化を、Google との出会いを切り口に語る本シリーズ。今回は、生徒の学びやすさを第一に考える、芝浦工業大学附属中学高等学校(東京都)の金森千春先生にインタビューしました。
Google とわたし
私がGoogleに出会ったきっかけは、このブログVo.1で登場された小林勇輔さんですよ!
2016年1月に某教育ICTツールの研修会に参加した際、小林さんが物理の教員(当時)として実践していた教えない授業(反転授業)の話を聞いて、実際に見に行かせてもらったんです。その後、GEG Kamakura を紹介されて、参加するようになりました。
初めて参加したのは2017年の YouTube イベントだったんです。すでに私自身動画をつくって活用はしていました。入試問題演習の解説動画などですね。全員に解説をする必要はないけど、解説を必要としている子もいる...みたいな時があるじゃないですか?個別に支援が必要なときにも動画は便利なんですよ。
YouTube ならではの良さってあったりするんですか?
共有のしやすさはありますよね。公開範囲も選べますし。
あとは、リコメンドが出てくるので、私の動画じゃない関連動画とも繋がりやすいというのはかなり利点だと思います。
私が YouTube と出会った当初はなかなか教育業界での活用をするにはハードルも高かったですし、あまり教育系のツールも無かったですが、最近はかなりコンテンツも増えてきていますし、この7年で教育系 YouTuber の認知も広がってきましたよね。
Google サイト のおもしろさ
金森先生の学校では Google のツールはどんな風に活用されているんですか?
Google アカウントの全学年配布は実は今年度だったんです!私がテスト導入させてもらってから5年かかりました。
2018年度に私が担当していた高校1年生に学校指定端末が配られたんです。そのタイミングで試験的にGoogleアカウントも配布させてもらいました。
うちの学校はClassiもロイロもMeta Mojiも入っているので、Classiで十分説もあったりはしたんですが、じわじわ広がって今に至ります。
なかなか色々入ってますね。Google を使いたかったのには理由があったんですか?
Google サイト を使いたいという先生たちの熱みたいなのがありました。
私たちが当時使っていた法人のアカウントではサイトは制限されていて使えなかったので、はじめはプライベートアカウントでサイトをつくったりしていましたね。いろいろと使ってみるうちに、これは部活や行事で使えるのではないかってなっていったんです。
実際、翌年の高校2年生の国内教育旅行では、生徒たちに班で一つのサイトをつくってもらったんです。
そのサイトをさらに一つのサイトにまとめて...そうすると、生徒同士はもちろんですが、保護者の方にも見てもらうことができるんですよね。
これまで、そういう行事のまとめは模造紙に書いて貼り出して...とかでしたけど、当時は男子校でしたが、書くよりは打つ方が表現できる子も意外と多いんですよね。あと、生徒たちの感性って本当にすごくて、私たち大人じゃ考えもしなかったようなデザインやレイアウトのものをつくってきたりするんですよ。「こんな風にしてみたい!」と思うと、自分達で調べてコードを書いてきちゃったりとかもありましたよ!そんな生徒たちの姿を見て、他学年にも波及していった感じでした。
金森先生は数学の授業でも Google サイト を活用していらっしゃるんですよね?
はい!金森とMathで「kanamath」というページをつくっています。
授業で使った資料はもちろん、解説動画のYouTube 再生リストや数学だとGeogebraやDesmos などのグラフのファイルなども全部一箇所にまとめられますからね。Google サイトは生徒側からしたら資料の見やすさ、探しやすさが別格だと思います。
Classroom でももちろんできることではあるんですけど、レイアウトも自分で決められるGoogle サイト はこういう順番で資料を見てほしいな...なんてことも反映させられますからね。
前向きに変わり続ける
Google の良いところってリンク一つで繋がれることだと思っています。他のツールでももちろん似たようなことはできたりするし、「共有」もできるようにはなってきているんだけど、グルーピングをしなきゃいけない場面もあったりして、「リンク一つ」の手軽さって強いですよね。
他校と繋がってプロジェクトに取り組む時とかも、この共有のしやすさはすごく意義があると思っています。
あとは、Google の特徴としては、アップデートの速さがありますよね。導入当初、そこが懸念された点でもありました。 ICTの得意な先生はいいけれど、苦手な先生はどうするの?って。
でも、この「変化し続ける」みたいなマインドって教師としてはとても大切なことですよね。Google を使っていく中で、そういうマインドも広がっていっている気がします。実際に、Google を使うことで、授業や教育活動の場面でうまくいかないことに直面しても、生徒と一緒に「どう工夫すれば乗り越えられるかな」って考えられるようになりました。
教育はもっと自由であって良い Education should be more flexible!!
私はずっとそう思っていて...学びの本質さえズレなければどんな方法をとっても良いし、まだまだそういう面では学校現場でそれを実現するには苦しい部分も多いかな...と感じています。
社会的に教育のあり方を変えたら良いと思うんですよね。日本のカリキュラムは高校生への負担が多すぎますから!
学び方や教え方がもっともっと自由であった方が、生徒たちも私たち教員もそれぞれの良さを出し合えるし、それがきっと良い未来をつくっていくと思います。
金森 千春
芝浦工業大学附属中学高等学校教諭(数学科・探究GC)
GEG Kamakura Member
Sensei with Google Earth Core Member
2017年にGEG Kamakuraに、2018年にSGE Japanに参加し、遊ぶように学び、仲間とともにGoogleツールの教育への利活用を模索する。
2002年の学部生当時の研究テーマは、グラフ電卓を活用した数学教育。15年経ってもチョーク&トークから脱却できない数学界の現状と課題を見てみたく,東京理科大学大学院理学研究科科学教育専攻(現職教員コース)に2019年に入学した。「生徒が解説動画を作成・活用する問題づくりの授業」の実践と拡散をライフワークとし,研究活動を続ける。「教育はもっと自由であっていい!」をキーワードに、多角的なアプローチで学ぶ学習者主体の数学教育の可能性を追いかけている。
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