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vol.21|自分磨きをするためにテクノロジーを使おう

学校でのICT活用に訪れたさまざまな変化を、Google との出会いを切り口に語る本シリーズ。今回は済美平成中等教育学校の 濱田 和幸 先生にインタビューしました。

愛媛県の済美平成中等教育学校で国語教師として19年目を迎える濱田和幸先生。Google for Education 認定トレーナー、認定コーチ、ロイロノート認定イノベーター、Adobe Creative Educator (ACE) Innovatorなど、多くの認定資格を持つテクノロジー利活用のスペシャリストでもあります。

教育観の大きな転換点

きっかけはコロナ禍、そしてトレーナー認定へ

2020年当時、高校2年生を担当していました。
本校では高校3年生は通常より少し早い3月から始動するのですが、コロナ禍での休校が囁かれるなか、利活用していたロイロノートだけでは教育活動の維持が難しいのではないかと感じ、たまたま Google アカウントは生徒に配布していたので、Google Classroom を運用してみようという話になりました。

最初は私も初心者だったので、手探り状態でしたが、Teacher Center のトレーニングで必死に学びました。そして、学べば学ぶほど、従来の「教える」教育から「学ぶ」教育へと考え方が大きく変わっていきました。この考え方の変化は自分にとって非常に大きく、認定資格を取得することにこだわりはなかったのですが、より深く学びたいという思いが強くなり、Google for Education 認定トレーナー 取得に向けて動き出すキッカケとなりました。

無事に認定トレーナーを取得することができたのですが、そのことでテクノロジーに限らず、教育の変革に対して熱心な先生と関わる機会が増え、教育に関するコミュニティにも参加するようになりました。様々な人と繋がり、情報交換することで、自分自身の教育観も大きく広がっていきました。

実際に生徒たちと Google ツールを活用したエピソードがあれば教えてください

以前は、偏差値を上げるための授業スタイル、つまり、知識を教え込み、それを生徒に覚えさせるという方法が中心でした。

生徒たちは、朝から夜まで自習という名の苦行に追われ、教師も採点や指導に追われる日々。しかも、受験が終われば、勉強しなくなる生徒が多いという現状に、疑問を感じていました。卒業生が自分の興味・関心とは異なる進路でもがいている話などを聞くと現状の方法で本当に良いのかという疑問は大きくなりました。

そこで、授業スタイルを変え、生徒たちが「協働」し、「ゆとり」を持って学び、「疑問」を解決できる時間と環境を作ることを意識しました。その「時間」と「環境」をつくる授業スタイルの変革手段として Google 関連ツールは非常に有効であったと感じています。

最近の傾向であり、大きな変化としては「なぜ?」と疑問を持つ生徒が増えたことです。以前は、教師の指示通りに動くだけの生徒も多かったように思います。表現は難しいのですが「言うことを聞く」のが当たり前のような印象でしたが、最近の生徒たちは言われたことに対して「なぜやるのか?」を問い直す印象があります。

そのような生徒たちには従来の教え込むスタイルではなく、自ら考え、学びを深めようとする姿勢を大事にする授業スタイルへの変革が重要なのではないかと意識するようになりました。

これは私自身にとってとても大きな変化でした。それまでは、生徒の「なぜ?」に向き合う余裕がありませんでしたが、ICTを活用することで、生徒一人ひとりと向き合い、彼らの「なぜ?」に応えることができるようになってきたと感じています。

自分自身の成長に矢印を向ける

1人1台の端末配備とAIの利活用について

生徒たちが端末を持って学校生活を送ることで、知識や情報は簡単に得られるようになりました。
さらにAIは、生徒一人ひとりの学習状況や理解度に合わせて、最適な学習プランを提供することができます。また、教師の負担を軽減し、生徒と向き合う時間を増やすことも可能です。

今後の加速度的なAIの進化と普及によって、「なぜ学ぶのか」「どのように学ぶのか」という根本的な問いに向き合う必要性が高まるのではないかと感じています。

このAI利活用について思うことがあります。それは生徒が身につけるべきAI利活用のスキルは「成果物を出す技術」ではなく「自分を磨くこと」であると強く感じています。

これはAIに限らず、端末や Google 関連ツールの利用についても言えることですが、「成果物を出す技術をあげる」ことだけにテクノロジーを使ってほしくない。さらには「何か報酬を得るために学び、その結果を提出する」というマインドを変えて欲しいと考えています。

自分自身を磨くことが楽しい。
そのために学びがある。
そこにAIを含むテクノロジーを利活用する。

そうしたマインドに変化したら良いと感じています。

最後に、今後の展望をお聞かせください

今後、子どもたちだけでなく、大人も「学び続けること」が重要になると考えています。「成果が出ればそれで良い」という考え方ではなく、「どのように学び、どのように成長していくのか」という過程を大切にする社会を、共に創っていきたいと考えています。

濱田 和幸
2006年広島大学教育学部第三類言語文化系国語文化系コース卒業。同年より、済美平成中等教育学校にて国語科教員として勤務。Google for Education AI+Edu Fellowship 第一期生 としてAIの教育への利活用について研究中。
「変化することを恐れない」をモットーに日々活動している。現在は国語科主任、第4学年の学年主任をしつつ、立ち上げから関わっている創部18年目のソフトテニス部の顧問として楽しく日々を送っている。

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