第八十七回文芸部短歌大会 自由詠/文芸部一同

第八十七回文芸部短歌大会 自由詠
文芸部一同

「なんだかなあ」呟く君に「なんだかねえ」言葉にできない僕らの憂鬱

排水溝掃除を急かすハエの大群五匹で注意報二〇匹で警報

対岸に消えては光る蛍の光背景音は絶えぬ水音

君と行く近くて遠い別世界いつもと違う下校の旅路

幼い目揺れる世界にまどろんだ止まった世界でどうかおやすみ

青白く瞬く街灯その下でうなだれ萎む似非彼岸花

夏休み毎日計画立てるけど心休まるは夕涼みの猫

肝試し毎年計画立てるけどチキンばかりで実行せぬまま

ポジティブな貴女の鞄の常備薬いらなくなったらぼくにください

ネギ食えないわけじゃないんだ本当はあいつが俺を受け入れないだけ

砕かれた夢を集めて修復中笑顔貼り付け平気なふりして

カーシェアで行こうぜ深夜の草加を抜けて窓に映った僕を置き去り

「茨城だって? 聞いたことねぇよそんな田舎」お前の実家はダムの底

タイピングドカドカバチバチたのしそうクラブDJ部室は熱狂

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