センスのないやつはしまむらには行くな
家のすぐそばに「ファッションセンターしまむら」がある。コロナ自粛ですっかり出不精になってしまい、依頼、しまむらで買い物を済ませることが多くなった。特に下着とか靴下とかインナーとか、消耗品はもう「しまむら一択」で良いんじゃないかと思うくらいお世話になっている。
いちばんのお気に入りは、寝るときに履いている「ズロース」だ。そう、おばあちゃんの「あれ」だ。コットン100%で、ゆったりしていて、股からおへそまですっぽり包んでくれて冷え対策も万全の、快眠にはもってこいのおパンティなのだ。見た目だって実はぜんぜんダサくない。いや、やはりちょっとはダサい。が、今どき (男性好みの) 面積の小さいおパンティを履いているほうがずっとダサいだろうて。
自分目線で生きるようになった女性に対し、どんな商品を提供するべきだろうか。高齢化もどんどん進む。夫が死んだ後で、女は何十年も生きるのだ。息子より母親のほうが長生きする例も珍しいことではなくなった。男の目線を気にする必要がなくなるどころか、「意味」がなくなるのである。超高齢社会とは言い換えれば「女性社会」の到来でもあるのかも知れない。
そんなこれからの世の中に対し、バカのひとつ覚えみたいに「おばあちゃん商品」を提案するのではあまりに愚策だ。高齢化社会には高齢者はいなくなるのだということを理解してもらわなければ。これまで「老人」とみなされていた年代が、今後はそうではなくなるのだから。
子供の頃、私にはベビーシッターがいた。ぽっちゃり体型で、ゆったりとしたカーディガンを着ており、ウールの靴下を重ね履きして、サンダルを履いて、エプロンをしていて、どこから見ても「おばあちゃん」そのものだった。ところが振り返ると、当時の彼女はまだ40代だったそうである。今の私と同じじゃないか。しかし見た目はまったく違う。私は白髪こそ染めないタイプであるものの、ヒールを履いたり、ネイルをしたり、自分なりのお洒落を楽しんでいる。周りを見ても、最近は40代どころか60代70代でも女性は若々しく「おばあちゃん」や「高齢者」のイメージからはほど遠い。
つまり今の時代、ズロースを買うのは「おばあちゃん」ではないのだということを是非しまむら経営陣には理解して欲しい。(経営にモノを言う女) ズロースを買うのは私なのだ。男に依存せず、自立しており、これからまだ何十年と生きて消費を支える元気な女性だ。そんな我々の価値観に対して、果たして「ズロース」という商品名のままでよいのか、「らくだ色」のままでよいのかーー。せめて白やベージュといったジェンダーレスな定番色は出していただきたいのだが、しまむらの社長は何を考えているんだかな。(文句はお偉いさんに言う)
あくまでもしまむらファンとして申し上げるのだが、はっきり言ってしまむらは「カオス」だ。おばあちゃん商品とかヤンキー商品とかキャラクターグッズとかナチュラル路線とかぶりっこ系とかセクシー系とかの激安商品が大量に入り乱れ、店内は常に「値下げしました」のてんこ盛りである。そんな山の中から数少ない良品を見つけ出すには、稀に見る生活力の高さとセンスの良さが必要で、大概のしまむら愛用者は「安物買いの銭失い」に陥っている。
だからユニクロが売れるんだってばよ。
「センスのない者は迷わず、ユニクロ、無印、カルディ、スタバに行け!」ということになるのである。
私は自分の美意識には絶対の自信があるのでこれからもしまむらに行くが、みなさんはユニクロに行った方がいい。しまむらに白やベージュのズロースが出たら、お知らせする。