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キャバ嬢にディスられる

 要約すると、「モテないおじさんキメェんだよ!」的なことをネットで書いているキャバ嬢の日記を、共感たっぷりで面白く拝読していたところ、最終的には「ああいう勘違いおじさんて、どうせ外階段ボロアパートに住んでるんだろうな」と締めくくられていて、思いがけずついでにディスられることとなってしまった、私は外階段オンボロアパートに住むおばちゃんである。(無念)


 しかし外階段アパートは、田舎では普通である。むしろタワマンに住みたがる人のほうが何かに固執していて「必死」に見えるのだが。
・・・いや、わからんな。私が満足して暮らしているだけで、持ち家や高級マンション派からはやはり「貧乏人ざまぁ!」と思われているのかも知れない。まぁ、それならそれでどうということはない。棲み分けですよ。価値観が違うんだね。

 なんたってここへ来る前の私は、世界をまたにかける「ホームレス」であった。ヨーロッパでは安ホテルや友人宅を転々とし、アジア各地の仏教寺院を真理を求めて渡り歩き、アリゾナの国境付近では銃を構えたメキシコ人に警戒されながら砂漠でひとり野宿をしたこともある。(むしろ彼の銃のおかげでコヨーテに食べられずに済んだのかも知れない。感謝)


 40代になってようやくである。
「これからは体力も落ちるだろうし、日本に落ち着くぞ!」と、とりあえず借りてみたのが今の外階段ボロアパートである。これが以外と気に入ってしまったのだった。

 言っても私も東京時代は価値観がまるで違った。そりゃそうよね、田舎より治安が悪いんだから。オートロック、新築、最上階、が基準であった。にもかかわらず満足したことは一度もなく、常にストーカーの不安に苛まれ毎年のように引っ越しを繰り返していた。
 そこから比べると、現在の家賃は4分の1である。セキュリティーもがばがばだ。しかし部屋は広いし、窓からの景色は自然たっぷりでリゾート地のようだし、静かで平和だ。(熊が出るのだけは油断ならぬが)

 
 誰でも自分に適した好みの生活をするのがいいわけで、それが「高級志向」であった場合、満足へのハードルは当然高くなるよね。私などは「あまり物を所有せずいつでも移動がしやすい事」に価値を置いているので(夜逃げ志向)、基本は今夜の寝床が確保できればそれで満足なのだ。つまりボロアパートでじゅうぶんに自分の希望を満たせるわけである。


 ちなみに、キャバ嬢の男性観察眼はたいしたもので、彼女は決して「ボロアパート差別」がしたかったわけではないはずだ。
「思うように暮らせない自分の惨めさを、女にセクハラして慰めてるようなおじさんはキメェんだよ!」ということでしょうよね。同感。


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