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【起業と新事業創出は全く違う!】既存事業会社で新事業を起こす手順とは?

既存事業を有する大企業も既存事業領域でのビジネス期間が長くなるほど保有商品のコモディティ化を経験してくる。その対策として考えるのが「新規事業の創出」です。

ただ、「新規事業を起こせ!」と号令をかける企業は多いですが「実際に何をどうやったら良いかわからない」ということも多いと思います(私の所属する会社も手探り状態が続いているので・・・)。

新規事業モデルを考えること自体はいわゆるスタートアップが起業するのと同じく、市場を把握し、事業モデルを考え、ビジネスモデル化して実装する、というフローをとります(これもまた実際はスタートアップとフローが異なりますが)。

一方、スタートアップと既存事業保有起業の大きな違いは「既存事業がある」ことであり、これが新規事業創出のスピード感と事業の「質」に大きく影響します。そのため、既存事業を踏まえ、自社における新事業創出に対し、「企業としての新事業創出ポリシー」をきっちり定めているか否かで事業創出の可否が決まってくると考えています。

そこで今回は、私自身が現在の環境で考えた「企業としての新事業創出ポリシーの決め方」について紹介しようと思います。

新事業創出ポリシーとは?

まずは新事業創出ポリシー創出までの検討事項を表した図を紹介。

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企業、つまり営利法人の目的は「対外的な経済活動により利益を得て特定の構成員に分配すること」です。つまりは事業を通じて利益を得て、その利益から従業員、投資家に対し分配を行うことと言えます。

またこの大前提はどの企業でも共通のものでありますが、一方各企業ごとに企業の存続理由(事業目的)は異なり、今回考えたい新事業創出の目的も「企業の存続理由」に起因して考えなければなりません。

そこで必要になるのが企業の存続理由をベースとした「企業としての新事業創出ポリシー」です。これがないと結局「どんな事業を創れば良いのか」が不明瞭になり、結果失敗してしまう(と思う)。

これまでの事業創出検討の経験から、このポリシー自体は「売上形態+売上規模+社会評価+社内リソース」で決まると考えられます。次に各項目の内容について紹介していきます。

新事業創出ポリシーの中身

新事業創出にあたって会社として決めておかないといけない項目は以下の4つです。

売上形態:既存の事業領域の中での売上形態を望むのか、はたまた全く異なる領域での売り上げ(=売上の多軸化)を求めるのか

売上規模:単純にどれくらいの売上増(リターン)を期待して投資を行うのか(VCとかに近い発想)

社会評価:自社ブランドへの影響など既存事業とのシナジーをどの程度考えるか

社内リソース:新規事業創出にあたり、社内リソースの何を投入するのか(資金、人材)。特に人の場合、製造人員などを有効活用したいなど個別の人的リソース活用戦略も関連してくる

これらを総合的に加味した結果が「新規事業」の参入領域や新事業の将来期待規模になり、つまるところ新事業創出の前提条件となります。

これらの新事業創出の前提条件(=新事業創出ポリシー)をベースに次に新事業を創出していく「ターゲットドメイン」を決定していくことになります。こちらも図で説明していきます。

ターゲットドメインの選定

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ターゲットドメインは「既存事業の売上拡大」と「売り上げの多様化」のそれぞれで2つ、合計4つのドメインが考えられ、この中から新事業創出ポリシーを満足できるものを選び、どうやって売上を立てていくか(=どんな事業を行うか)を検討することになります。

4つのドメイン

既存市場:市場は同一、他社シェアの奪取、新事業ではないが売り方の変更による販売数量増などがある

機能拡大:新機能追加により市場の拡大を目指す。ガム市場の中のキシリトール市場みたいなイメージ

近接ドメイン:自社の既存市場に近接、且つ自社もそのサービス及び商品の利用者となりうる事業。物流や人材派遣業などのイメージ

非近接ドメイン:自社の既存市場とは大きく異なる飛地での事業を行い、結果的に自社既存市場の拡大にも間接的に寄与できるような事業のイメージ。必要資材供給など

ここまでの検討が決まることで、いよいよ各ドメインでの事業検討が始まっていくこととなります。

まとめ

今回の話はいわゆる「製造業」を前提とした話で、既存事業がサービス業だったり販売業だったりするとまた少し話が変わるのかなと思います。多分製造業よりは営業組織が強固なのでもっと柔軟に新事業というか新業態や取り扱い商材の変更ができる気がしますが、基本的な考え方(新事業創出ポリシーを企業として持ち、その前提からターゲットドメインを決定、そのドメインの中で考えられる事業企画を立て、新事業創出ポリシーとの整合を確認、テストマーケティングを経て事業実装していく)は共通では無いかと思います。

どんなポジション(スタートアップ、既存事業保有企業)であれ、事業を起こし収益を上げていくのは非常に困難な事業です。ただ、実現に向けて前提となる指針を決めておくことで関連する全ての人が迷いなく事業創出に向けて走ることが可能となります。

是非事業創出に向けては前提条件の決定を行っていただければと思います(偉そうなことを行ってもうちもできていないのでなんとか決めていきたい。。。。)

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どっこいしょうじ@note
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