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小豆島八十八ヶ所へんろ道 第8回:釈迦堂・明王寺→行者堂→
歩いた日:2023年7月下旬
第8回は池田を出発し、内陸側の中山地区を経由して土庄町に向かいます。「離島」のイメージとはまた違った小豆島の一面を感じられるルートです。
釈迦堂・明王寺→浄土寺・地蔵寺堂
釈迦堂・明王寺から県道252号線に戻り、中山方面へ北上するところから今回の徒歩遍路の始まりです。道なりは単純ですが、長ーい上り坂と容赦なく照りつける日差しのせいで初っ端から手強いお遍路でした。
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扁額によると「高坂隧道」と呼ぶそうです
トンネルを過ぎた辺りから下り坂となり、しばらくすると眼前には山の斜面に建つ家々が見えてきました。待望の中山地区です。
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そのまま道なりに少し行くと、右手に「浄土寺」「地蔵寺堂」があります。
第43番 浄土寺(じょうどじ)
第45番 地蔵寺堂(じぞうじどう)
前回の釈迦堂・明王寺と同じく、2つの札所が同じ場所にあります。地蔵寺堂は元々「地蔵寺」というお寺でしたが、戦後間もなく維持が難しくなり、合併というかたちで現在地に移転されたそうです。
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浄土寺・地蔵寺堂→湯舟山
先ほどの④の写真の左下をよく見ると道標が建っているのが分かります。まずはこれに従い、浄土寺の裏手から山道を上ります。
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いったん山道は舗装路を横切り、再び森の中に入ります。これでもかと言わんばかりに茂る雑草をかき分けながら進みます。
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再び舗装路に出たら、その道を上り方面に歩きます。
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半分野生化してしまっています
この道を奥へ奥へ進んだ先にあるのが「湯舟山」です。
第44番 湯舟山(ゆふねさん)
「蓮華寺(れんげじ)」とも呼ばれ親しまれている札所です。この地に湧く「湯舟の水」は、水源に乏しい小豆島で古くから重宝されてきました。
ちなみに、境内にはお地蔵様が木の洞に佇む珍しい光景が見られます。
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湯舟山→栂尾山
湯舟山の西側から延びる、軽自動車が1台通るのがやっとの細道を歩きます。中山地区を代表する「中山千枚田」が眼下に広がる絶景区間です。
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鮮緑の絨毯を横目に、砂利道をそろそろと下りていきます。少し広めの道に合流した後は、また上り方面に歩いていきます。
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農家の方々の邪魔にならないようにしましょう
くの字型の急カーブから、コースを外れるように道が分かれています。これでもかと矢印が指しているので大変分かりやすい。
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茂みに隠れて分かりづらいですが、ここにかずら橋があったことを示す記念碑のようです。徳島の専売特許かと思っていました。
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しばらく森の中を行くと、前方に切り立った崖が現れます。この崖にある洞窟こそ、次なる札所「栂尾山」です。
第47番 栂尾山(とがのおさん)
小豆島八十八ヶ所随一の難読札所。「栂(つが、とが)」とはマツ科の針葉樹の一種で、小さめの松ぼっくりをつけるのが特徴です。
ちなみにここは中山地区のお隣肥土山(ひとやま)地区。第8回にして初めて土庄(とのしょう)町に入ることができました。
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栂尾山→毘沙門堂
洞窟でしばし涼を得てからお遍路を再開します。栂尾山から下ってすぐのところに「秋葉大権現社」なる建物を発見。八十八ヶ所ではありませんが、せっかくなので顔を見せてきました。
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どんどんと山を下っていきます。道標や看板も多く歩きやすいです。
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そこは栂じゃないのか…
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先を急ぐあまり詳しい内容まで読めなかったのが心残りです
松林を過ぎ、さらに山道を下っていくと、「毘沙門堂」の横に出てきます。
第48番 毘沙門堂(びしゃもんどう)
肥土山の集落のはずれにひっそりと建つお堂です。毘沙門天といえば、七福神の一人としてお馴染みですね。
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ぜひその恩恵にあずかりたいですね
毘沙門堂→多聞寺
お堂の正面の小さな橋を渡り、森を出て人里方面へ再び山を下ります。
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…と言いたいところですが実際は日差しでフラフラでした
しばらく道なりに歩くと丁字路に差し掛かるので、左からぐるっと回れば「多聞寺」の山門側に出られます。
第46番 多聞寺(たもんじ)
地下に不動堂がある珍しいお寺です。多聞、すなわち多聞天は毘沙門天のことを指しますが、四天王として祀られる場合はこの呼び方になるそうです。
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多聞寺→圓満寺
まずは県道252号線に合流し、土庄中心部方面へ向かいます。
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その正体はまた後ほど
この後「小豆島遍路地図」では伝法川の手前、常盤橋バス停のある交差点で右折しますが、「小豆島おへんろ道案内図」ではまだしばらく県道を進むようです。とりあえずここは直進してみることにしました。
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読めますか?
再び伝法川を渡ったところで県道と別れ、右手の坂道を進みます。
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『古事記』に登場する神、大野手比売(おおぬでひめ)が由来だそうです
遍路道の近くに「黒石さん」なる大岩があります。寄り道してみることにしました。
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ここまでくればあと少し。看板や道標を伝って歩いていけば、「圓満寺」に到着です。
第74番 圓満寺(えんまんじ)
京都・嵯峨の大覚寺と深い繋がりのあるお寺です。町の天然記念物に指定されたシンパクをはじめ、綺麗に維持されている植物も見ものです。
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圓満寺→東林庵
圓満寺のすぐ西を通る県道26号線に出た後、ひたすら土庄中心部に向け南下します。
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ながーい坂道を歩き続け、ようやく平地に下りてきました。
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県道252号線との合流地点の少し先で、右手の路地に入ります。
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と言っても、ここを通り過ぎても次の札所にはすぐたどり着けます
路地の先は小さな墓地でした。ここを左に曲がれば「東林庵」です。
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第49番 東林庵(とうりんあん)
かなりこじんまりとした札所ですが、かつては「万願寺」という名のお寺だったそうです。標識や看板が無いと見逃してしまいそうな小ささです。
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第50番 遊苦庵(ゆうくあん)
次の札所までは距離が短いので、簡単に紹介します。
庵の正面から県道に出てきました。このまま県道経由かと思いきや、すぐにまた路地に入ります。そして路地を道なりに進めば、ほどなくして「遊苦庵」にたどり着けます。
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目の前の蓮池が印象的な札所です。「遊苦」…言葉の意味は分かりませんでしたが、仏教用語のひとつでしょうか。
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相反する意味合いですね
遊苦庵→宝生院・旧八幡宮・宝幢坊
蓮池を横目に、進路を西に変え歩きます。
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緩やかな上り勾配を経た後、集落内をすいすいと進みます。
しばらく道なりに進んだ先の正面に、背の高い木々が見えてきます。この場所こそ次の札所「宝生院」「旧八幡宮」「宝幢坊」です。
第54番 宝生院(ほうしょういん)
第52番 旧八幡宮(きゅうはちまんぐう)
第51番 宝幢坊(ほうどうぼう)
小豆島八十八ヶ所で唯一、3つの札所が1ヶ所に集う場所です。八幡宮とはすなわち同じ土庄町内にある富丘八幡神社のことで、旧八幡宮にはそこで祀られていた仏像が安置されています。対する宝幢坊は富丘八幡神社の別当寺(神社を管理するために設置された寺)でしたが、神仏分離の影響を受け仏像と共に宝生院の境内へ移転したそうです。
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そしてここを語る上で欠かせないのが「宝生院のシンパク」です。樹齢1600年以上といわれるとっても長生きな大木ですが、今でも勢いは衰えず青々とした葉をつけています。
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PENTAX K10D + HD DA 20-40/2.8-4 Limited
宝生院・旧八幡宮・宝幢坊→観音堂
宝生院前の細道を更に西へ行きます。
最初の曲がり角を「小豆島遍路地図」では左折し家々の間をすり抜けていきますが、現地ではやたらと右折を勧めてきます。ここは道標を信じてみることにしました。
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右折した先にはまたもや墓地になっていました。遍路道というのは定期的に墓地を歩かせますね。
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臆せずに横切ります
本来なら墓地を出たところで再び右折しますが、この時はその先の道が工事のため通行禁止。仕方ないので左折し、「小豆島遍路地図」ルートに合流しました。
「もう市街地だからあとは楽勝だろう」と高を括っていた矢先、遍路道は薄暗い森の中に吸い込まれていきます。徒歩遍路は甘くなかった…
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束の間の見晴らしの良い区間を過ぎ、道は再び森へ。上り勾配が続いた先に「観音堂」があります。
第55番 観音堂(かんのんどう)
霊場会によると、小豆島八十八ヶ所で唯一馬頭観音が御本尊として祀られている霊場です。馬頭観音といえば馬の安全や供養を司る仏というイメージが強いですが、それは近世以降日本に根付いた信仰だそうです。
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観音堂→行者堂
観音堂の裏手から出る道を進みます。
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お堂らしき建物を発見。石碑には「行者原 薬師堂」とあります。少し不気味に感じつつも、お参りはしておきます。
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日は傾き、森の中も薄暗くなってきました。自然と足取りが早まります。
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うっそうとした木々のトンネルを抜けると、今回最後の札所「行者堂」に到着です。
第56番 「行者堂(ぎょうじゃどう)」
土庄の街並みを見下ろす高台にあります。小豆島霊場の総本院から徒歩遍路をスタートした場合、ここが一番最後に訪れる札所です。
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行者堂→
行者堂の裏には、磐座(いわくら、神が宿るとされる岩)として親しまれている大岩がどんと構えています。遍路道はこの横を通り下り坂となります。
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坂道を下り続け、ようやく土庄の中心市街地にたどり着きました。今回は県道26号線に出た交差点をゴールとします。
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いつも以上に特大ボリュームになってしまいました。次回は小豆島南西部、いわゆる「前島」をぐるりと1周します。
ご覧いただきありがとうございました。
今回の地図
今回は範囲が広かったため2分割しています。
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あとがき
タイトルをしれっと変更しました。というのも、以前のタイトルだとちょっと言い回しがくどい印象を受けたためです。内容はそのままなので、今後も変わらぬご愛顧(?)のほどよろしくお願いいたします。