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小豆島八十八ヶ所 遍路道を歩いた記録 第7回:長勝寺→釈迦堂・明王寺

歩いた日:2023年7月下旬

第7回は旧池田町の札所を巡ります。途中、瀬戸内海の絶景が人気の札所にも参拝します。


長勝寺→保安寺

長勝寺をスタートし、まずは前回の「池田の桟敷」横の丁字路まで戻り、再び県道250号線を歩きます。
ほどなくして国道436号線に合流します。そこからしばらくは土庄方面へ道なりです。

①高松行きフェリーが発着する池田港を通過します

国道は緩やかな上り勾配になります。途中、島内の著名なオリーブ農園である井上誠耕園のショップが左手にあります。

②広告で名前を見た方もいるのではないでしょうか

峠を越えると、今度は緩やかな下り道になります。下り坂の先に見えてくるのが小豆島唯一の高校、小豆島中央高校です。土庄町の土庄高校と、第4回に登場した小豆島高校の統合により誕生しました。

③学生寮も備えています

その高校前のバス停の手前から、集落に入る細い路地に入ります。小さな目印を見落とさないように注意です。

④さながら「ミッケ!」を読んでいる時の気持ち

路地を奥へ奥へと進んでいくと、今回最初の札所「保安寺」に到着です。

第四十番 保安寺(ほうあんじ)

集落の奥、家々を見守るような場所に構える札所です。ここにも看板犬がいるようですが、ここでも会うことは叶わず…

⑤綺麗に手入れされた草花も見所です

保安寺→佛谷山

保安寺は山の麓に位置していますが、今度はその山を攻めていきます。
まずは一旦楼門をくぐり外へ出ます。すると右を指す道標が置いてあるので、それの通りに進んでいきます。

⑥人の家の敷地を横切るようで気が引けますが…

その先はもはや「いつもの」な山道です。これまでの経験のおかげで、さほど苦労せず行けました。

⑦所々ある目印の確認も忘れずに
Konishiroku Konica ⅢA
Kodak Pro Image100
⑧小さな鉄塔を過ぎて少しすると、荒々しい岩肌が目立ってきます

岩の斜面を登り切ると、舗装路に出ました。すなわち今来た道は徒歩遍路恒例(?)、車道のショートカットですね。

ここから先は車道を歩けばいいのかと思いきや、「小豆島おへんろ道案内図」には東に伸びる線(車道)とは別に、現在地付近から線がもう1本伸びています。もしやと思い辺りを探してみると、小さな看板が「→ 旧遍路道」とただの崖にしか見えない場所を指していました。またまた強烈な道の予感…

⑨とても道の入り口とは思えない場所です

幸か不幸か、その予感は的中してしまいました。崖っぷちを登っていくと「これを使え」と言わんばかりに1本のロープが張ってあります。足を滑らせやすいので、慎重に歩を進めます。

⑩雨の日に使うべきではないルートです
⑪ちなみに反対側はこんな感じ
景色に見とれて足下をすくわれないように

急斜面をなんとか抜け、再び森の中を歩きます。やはりここを歩く人は少ないのか、先ほどまでよりも道が曖昧に感じます。

⑫木々の隙間をくぐるように道が通っています

ここまで長々と山道を歩き続け、ようやく車道に合流しました。このルートの険しさを考えると、新たに道が造られた理由がよくわかります。

⑬なんの変哲もない茂みの奥に道が続いています

車道を進んだ先に、ようやく次の札所「佛谷山」があります。

第四十一番 佛谷山(ぶっこくさん)

太麻山(たいまさん)中腹の洞窟に構える山岳霊場。遠くにエンジェルロードや四国本土を望めます。

⑭暑い日差しを避け一休み
⑮ずいぶん高くまで登ってきました

佛谷山→西ノ瀧

次の札所に向け佛谷山の入口まで戻ってきました。肝心の遍路道はどこに続いているのかというと、門の横からちょろっと逸れた道がそれです。

⑯写真右の細道です

細道は再び荒々しい道に変わります。

⑰足元注意

岩肌の道を抜けると、道端に石塔やお地蔵様がちらほら。目的地に近づいた証拠です。

⑱やはりこの道も、かつてはお遍路のメインルートだったのでしょうか

山道を歩ききった末に、堂々とした佇まいの建物が現れます。裏手側から「西ノ瀧」にやってきました。

第四十二番 西ノ瀧(にしのたき)

「龍水寺」とも呼ばれる山岳霊場です。小豆島八十八ヶ所屈指の絶景札所のひとつとしても人気の高い場所です。

⑲正面側から見た境内
崖っぷちに建っていることがよくわかります
⑳池田行きのフェリーがやってきました
天候にも恵まれ、実に見事な眺めです
PENTAX KP + HD DA 20-40/2.8-4 Limited

西ノ瀧→林庵

正面に回って、門をくぐります。くぐった先の景色も見事です。

㉑西ノ瀧といえばこっちの景色の方が有名かも?

石灯籠の道をスタートして山を下りていきます。車に気をつけながらジグザグと進んでいくと、車道にぶつかった所に徒歩の遍路道が分かれています。

㉒大きな看板の横にさりげなく道標が

森を抜けた先はオリーブ畑地帯になっています。矢印を頼りに畑の脇を歩けば、「林庵」に到着です。

㉓海とオリーブ、小豆島らしい良い景色です
PENTAX KP + HD DA 20-40/2.8-4 Limited

第三十五番 林庵(はやしあん)

オリーブ畑に囲まれた札所です。穏やかな池田の街を見渡せる場所です。

㉔左側の建物がお堂です
西ノ瀧とはまた違った趣を感じます

林庵→松風庵

林庵下の坂道を下ると、まもなく十字路に差し掛かります。ここにある標識とステッカーは左を指していますが、「小豆島おへんろ道案内図」も「小豆島遍路地図」もここを直進しています。試しに直進してみると、石の道標が置いてありました。要はどっちでも良いということですね。

㉕今回は地図と道標のルートを選びました

十字路を直進した後はしばし道なりです。この辺りは小豆島名物そうめんの製麺所が多く、冬場はそうめんを天日干ししている姿を見られます。

㉖狭い路地にワクワクする性分です

あとは道標に従い井上誠耕園のオフィスとカフェの横を通り過ぎ、また少し道なりに歩けば「松風庵」です。

第三十九番 松風庵(まつかぜあん)

墓地の中の小さな札所。集落の外れに位置しており、静かな時が流れます。

㉗墓地が前面に来る形式は珍しい気がします

第三十八番 光明寺(こうみょうじ)

松風庵から「光明寺」までほど近いため、道なりもまとめて紹介します。
松風庵のお堂から南に延びる道を進み、小川と並走します。そして地元のスーパーマーケットのある十字路で左折し、コンクリート塀に沿っていけばすぐたどり着けます。

集落の中心部にある札所です。先ほどとは打って変わって、子供たちの遊び声も聞こえ賑やかです。

㉘良い意味で“普通の”お寺です

光明寺→釈迦堂・明王寺

まずは光明寺の正面、美容室のある通りを東に向かった先のY字路を右折し、池田大川を渡ります。次に交差点を左に曲がり県道252号線を北(中山方面)に向かうと、進行方向の右側に一見すると民家の駐車場にしか見えない場所を進むよう道標が指差しています。

㉙国土地理院地図ではれっきとした道でした
マジか…

駐車場細い路地に入ったあとは左、右、左、右とジグザグ進めば「釈迦堂」「明王寺」に到着です。

第三十六番 釈迦堂(しゃかどう)
第三十七番 明王寺(みょうおうじ)

並べて書いてある通り、この2つは隣り合っています。釈迦堂は元々「高宝寺」というお寺の建物でしたが、明治時代に廃寺となり明王寺に編入されたそうです。このように、統廃合や移転、神仏分離などの理由で複数の札所が同じ敷地に存在する場所は、他にも何ヶ所か存在します。

㉚手前が釈迦堂
奥が明王寺です

ちなみに釈迦堂は小豆島霊場発祥の地と言われ、建物はなんと室町時代の建立。国の重要文化財にも指定された由緒ある札所です。
これにて、今回予定していた札所を全て巡ることが出来ました。

次回は中山地区を経由し、いよいよ土庄町に入ります。
ご覧いただきありがとうございました。


今回の地図

Googleマップ・小豆島遍路地図を加工
⑦⑧、⑩-⑫、⑰⑱の位置は推定です


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