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DOKASENのお仕事 *デザイン会社それぞれの役割*
前回からの続き。
美術大を卒業し、乃村工藝社グループに入社してからのお話です。
前回の投稿はこちらから↓↓
デザイン会社の「営業」とは?
入社して最初に配属されたのが開発営業部。企画がしたくて入った会社で、クリエイティブでない部門に配属されたのはとても苦しいことでした。
が、のちにこの経験がクリエイティブ部門に移ってから大いに役立つことになります。
僕が考えるこの業界の「営業」の仕事はクライアントと自社をまとめる重要な役割。いわゆるファシリテーターでもありアンカーでもあります。様々な立場や階層の人たちを束ねてゴールさせることを目的として、予算やスケジュールを決めて進める仕事。これがなければ、既成概念から出た新しいものは生まれないし、つくるものの品質も落ちてしまう。
実は意外なことに、ここが成立しないと良いデザインは生まれないのです。
どこに重きを置いてコストを割くか?→コストデザインする
どんな体制とスケジュールで進めるか?→プロジェクトデザインする
というこんな細かいタスクも「デザイン」の一部なのです。
開発部門という部署が自分の肌に合ったのか、デザインもある程度任せられ、社内に自分のクリエイティブを広めることができ、2年を経て、クリエイティブ部門に移ることができました。
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デザインの役割は情報整理!
以前の記事でも触れたことですが、これに尽きます。
もちろんデザイナーとしてのデザインセンスは必要だけど、デザイナーは編集したり、翻訳したりして相手に伝えるエディターでもあり、コミュニケーターでもある。
僕は常に、このことを頭に置いて仕事を進めるようにしています。
●デザインの役割1つ目
たくさんある伝えたい情報に優先順位をつけて、伝えたい順番に必要な分だけ、その対象物に入るベストの量をいれること。
●デザインの役割2つ目
クライアントと自社をワンチームにすること。これは意外と気づかれない重要なポイント。関係者一丸となっていいものを創りたいのは大前提だけど、クライアントと自社側では、相反する関係だったりします。
全てのプロジェクトには予算と期日があって、クライアントは少しでも安くて良いものをつくりたいし、少しでも長い時間検討したいもので、逆に発注を受ける自社側は、少しでも工夫して儲けたいし、余裕を持って制作できる時間を確保したいものだからです。
この相反する部分を繋げるのがデザイナーの役割だと僕は思っています。
では実際何をするかというと、クライアントには「ここまですれば大丈夫だし、ここまで検討したからあとは制作に回しましょう」と説得し、自社側には「ここまで予算確保してくれたんだからこの部分は少し背伸びして協力しよう、あと少し待てば納得してもらえるから◯◯日まで待とう」と説得します。
これは、デザイナーがプロジェクトを俯瞰できるポジションを築きやすいからこそできる立ち居振舞いかもしれません。
そうすることによって相反する立場のメンバーを一つにまとめ、みんなが納得した状態でワンチームになり、攻めたデザインもチャレンジできるし、品質の向上に繋がっていくのです。
次回は、プランナー、制作の話に触れたいと思います。
続く。。