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希望の見つけ方(49):謙虚
自分は偉い
と思ったその瞬間、
良い情報が入らなくなる
良い人が近寄らなくなる
だんだん
裸の王様になってくる
「三つの横」に気をつけています、と語る経営者がいます。
私は、いばっていないか?(横柄)
私は、ずうずうしくないか?(横着)
私は、勝手で乱暴ではないか?(横暴)
人はなにかの地位を得たり、権力を獲得するとすぐに「三つの横」状態になってしまう。この人は、かつて自分もそうだったと自戒しているのです。
誰か思い浮かぶ人はいませんか。そう、今、話題の兵庫県知事。パワハラ疑惑、おねだり疑惑が報道されています。この知事は何か誤解をしているようです。「この権力は俺の力で勝ち取ったものだ」と。突きつけたい日本の諺があります。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。上に立つ人ほど謙虚でありたいもの。水が低きに流れるように、頭(コウベ)の低い人にこそ良い情報も流れてきます。
昭和の文豪、吉川英治の座右の銘は「我以外皆我師也」。ワレイガイミナワガシナリ。自分以外の人すべてが自分の足らないことを教えてくれる、まわりのすべてが自分の先生である、という。自分は偉い、もう学ぶものはなにもない、と思ったら気をつけなければなりません。多くの読者を魅了した「宮本武蔵」も、作者の謙虚な姿勢から生まれたものです。謙虚であればこそ、すなおに他の人から学ぶ気持も起こってくるのです。
いっぽうで、こんな事例もあります。ある地方の会社で、リーダー研修会を行っていたときのこと。男女数人の少人数の集まりなのですが、私は会の進行にタイヘン困っていました。すごくおとなしいのです。参加者が自分の意見を言わない。私は講師として、いろいろと言葉を投げかけるのですが反応がない。
こういうときほど困ることはありません。「あなたはどう思いますか」などと水を向けても、なかなか心を開いてくれない。
日本国中の会社を回って痛感することがあります。私たちには「人にどう思われるだろうか?」をとても気にするメンタリティが確かにある、と。自分の意見を言ったら上司に怒られるかも知れない、人に笑われるかも知れない、自分だけが違う考えなのも知れない…などなど。さて、こういうのを謙虚というのでしょうか?私はそうは思いません。謙虚とはすなおに他に学びつつ、言うべきことは言う、という柔軟な姿勢ではないでしょうか。
ちなみに冒頭でご紹介した「三つの横」を語るのは、元モスフードサービスの会長、櫻田厚さんです。
◎カイゼンひとくち英語
The more noble, the more humble.
実るほど頭を垂れる稲穂かな。