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作家・土居豊の文芸批評

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作家・土居豊の文芸批評 作家・土居豊が「文芸批評」として各種ジャンルの作品を批評します。 不定期に掲載。 マガジンとしてまとめる記事は、有料記事です。同じテーマの批評をまとめ読…
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#ドストエフスキー

土居豊の文芸批評・ドストエフスキー最大の問題作『悪霊』〜なぜ村上春樹は「悪霊」を「神の子どもたちはみな踊る」のエピグラフに選んだか?

土居豊の文芸批評・ドストエフスキー最大の問題作『悪霊』〜なぜ村上春樹は「悪霊」を「神の子どもたちはみな踊る」のエピグラフに選んだか? (1)村上春樹も愛読したドストエフスキー  今の世間で身近なところに、『悪霊』を語り合える知人が一人もいないのが、つくづく残念だ。  村上春樹の熱心な読者同士なら、ドストエフスキーについて少しは話せる。だがそれも、『罪と罰』や『カラマーゾフ』までが限度なのだ。  村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の「私」が、『カラマーゾ

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土居豊の文芸批評 ドストエフスキー『罪と罰』 ラスコーリニコフの老婆殺しは、妹推しの兄が切羽詰まってやっちまったこと

土居豊の文芸批評 ドストエフスキー『罪と罰』 ラスコーリニコフの老婆殺しは、妹推しの兄が切羽詰まってやっちまったこと (1)なぜ、いま、ドストエフスキー? 唐突だが、ドストエフスキーを語ることにする。 それというのも、筆者は長らく村上春樹作品を批評してきたが、村上作品の根底には、ドストエフスキーからの影響が色濃いからだ。 村上自身、中学時代からドストエフスキーを読んでいたし、英語で米国ハードボイルドのペイパーバックを読むようになってからも、ドストエフスキーの長編を愛読して

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土居豊の文芸批評 高村薫『レディ・ジョーカー』その1 平成日本を代表する小説 

土居豊の文芸批評 高村薫『レディ・ジョーカー』その1 ※写真は全て土居豊の撮影 (1)平成日本を代表する小説 現代のドストエフスキー、と呼ばれることもある作家の高村薫、その作品中でも人気の高い「合田雄一郎」シリーズの3作目『レディ・ジョーカー』は、平成日本を代表する文学作品だ。 物語はグリコ・森永事件をモチーフとしていながら、時代背景を1995年前後として、平成日本の虚実を描く。 時代がまだバブル崩壊後の予熱を保っていた時期、バブルの象徴のような日之出ビール(キリン、が

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