ありがとう、Mr.ハンナリーズ(内海慎吾選手)!
2022年5月2日、今季最終節を前にした月曜日。京都ハンナリーズに8シーズン在籍している内海慎吾選手の現役引退が発表されました。
内海慎吾選手の存在は、応援歴の浅い私がハンナリーズ沼にハマった理由のひとつ。リリースをぼうっと眺めながら、色々思い出して泣けてきたのでここにまとめてみることにします。(私が応援し始めたシーズンからになります)
17-18 チャンピオンシップ初進出
自分が応援し始めたシーズン、ハンナリーズはBリーグになって初めてチャンピオンシップに進出を決めました。その時のキャプテンが内海選手です。
個性も才能も豊かな選手たち(岡田優介選手、ジュリアン・マブンガ選手、ジョシュア・スミス選手、伊藤達哉選手などなど)が並み居る中、わあわあ言うわけじゃないのにチームがまとまってる。内海選手のキャプテンシーが、見始めたばかりの自分にも何となく感じられました。
18-19 波瀾万丈
チーム創立10周年のシーズン。開幕ひと月前に、社会的にもインパクトのある事件が立て続けにハンナリーズを揺るがしました。その時のキャプテンも内海選手。HCや社長とともに、矢面に立ちます。
このシーズンからハンナリーズに来てくれたひとりがデイヴィッド・サイモン選手。シーズン終盤にコートで負傷した彼をチームメイトが支えて移動させた時、デイヴィッドさんが内海キャプテンの手首をギュウッと握っていたのが印象に残っています。
そして迎えたホーム最終戦。
「応援よろしくお願いします」という言葉に伴う責任を、内海キャプテンがスピーチしました。あくまで淡々と、でも噛み締めるように言葉をつなぐのを聴きながら、涙が出ました。
あ、プレイでも何度もチームの危機を救ったんですよ。ホームゲームでダブルオーバータイムを制した時も、きっかけは内海選手のナイスディフェンスからでした。
19-20 コロナ禍のはじまり
京都としては珍しい大型ラインナップだったシーズン。初めて参戦したアーリーカップ関西で優勝をかっさらう幸先良いスタートを切りました。表彰式で優勝カップを掲げたのは、内海キャプテン!
しかし当初の快進撃はやがて鳴りを潜め、12月にかけて13連敗を喫します(それを今季更新しましたが^^;)。連敗中に垣間見えた、抑えつつも悔しさの滲む表情。観ているこちらも、胸がつまりました。
このシーズン、新たに加入したラシャーン・ホロウェイ選手がなかなか馴染めずベンチ外が続く中、内海キャプテンがゲーム中も寄り添ってたのが思い出されます。
連敗を脱して調子が上がってきたころ、コロナ禍に。無観客やら中断やらの挙句打ち切りとなってしまいました。前例のないことで、とりわけ外国籍選手は不安でいっぱいだったろうと想像します。推測ですが、内海キャプテンはこの時も彼らに寄り添ったのではないかなと。その時引退セレモニーができなかった(次季開幕戦で実施)村上直選手とのインスタライブでは、「THANK YOU SUNNY 」デザインのTシャツで登場。さすがの気配りでした(肝心の本人が言われるまで気づかず)。
20-21 浜口HCから小川HCへ
このシーズンは何と言ってもHCの交代が大きい。10年近く続いた浜口体制が変わるーー大小取り混ぜ変化ばかりだったと想像します。その中で、これまでを知りこれからにアジャストでき、若返ったチームを支えてくれたのが内海オフコートキャプテンでした。ただ、シーズン前にケガをしてしばらくはインジュアリーリストに。
若いチームは経験の差もあり、ゲームで浮き足立つ様子も。そんな時に内海選手がコートインすると、ぴよぴよワカモノたちがすぅっと落ち着く。ハンナリーズにおけるライナスの毛布でしょうか。
またこのシーズン、チームには石谷選手や菅澤選手といったムードメーカーがいました。内海選手はこれまで以上に包み込むようなサポートに徹しておられた気がします。でも終盤、コロナで選手が少ない時には率先しておもしろルーティンも。その時必要なことと役割を見極めて、黙ってこなす。そんな内海オフコートキャプテンには、偉ぶらなくても自然と仲間がついてきたのではないでしょうか。
21-22 ハンナリーズの精神的支柱
そして今シーズン開始前、なかなか内海選手の契約情報が出て来ず・・・正直ハラハラしました。しかし今季も選手としてハンナリーズに居てくれることが決まり、すごく安心したんです。
ただ、プレイタイムはとても少なく・・・小さなノート片手にロスターのサポートをする姿を拝見する方が多かった。また、ユニフォームを着るのはケガ人続出でロスターのやりくりが大変な状態で、でした。
しかし、なかなか勝ち星が挙げられない苦しいシーズンの中、チームメイトを温かく見守り、導き、励ましてきたのはやはりこの方。目覚ましい成長を遂げた久保田選手をはじめ、特別指定で入った小室選手や小西選手がアドバイスを聴いたり実際に相手をしてもらってる様子も見えました。
スターティング5紹介後の雄たけびや、ハーパー選手とのおもしろルーティンなど、今季は積極的にムードづくりする役割もされていた気がします。
ハンナリーズらしさをつくってきた内海選手
以前、「選手が変わっても変わらないハンナリーズらしさは何か?」とインスタライブかなんかで質問させて頂いたことがありました。
内海選手は、「新しい選手や若い選手が活躍できる(雰囲気)」的な答えをしてくれたと記憶しています。これ、まさに内海選手が中心になって作っておられたハンナリーズらしさだと思うんです。
偉ぶらないし、オレがオレがじゃないし。ご要望とあらば、「大人げない大ベテラン」の役だって演じるし。
広い視野と大きな器で、年齢キャリア国籍様々なチームメイトにそっと温かく寄り添う。必要なこと、欲していることを察して導く。共に悩み、考え、喜び、笑い合う。それが内海選手の「芯」じゃないのかなぁ。外から観てるだけの私は、そう妄想したりしています。
この週末にできること
引退の発表を受け、ツイッターの反響はスゴイことになっています。チームメイト、元チームメイト、出身の東海大学、最初に所属した名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、そして数々のブースターさん・・・
しかし、まだこの週末(5月7日・8日)、内海選手が現役として関わるゲームがあります。
この2試合、しっかり目に焼き付けたい。そして、心からの拍手を送りたい。バスケの楽しさ、ハンナリーズというチームの魅力を教えてくれた(沼に導いてくれた)内海選手に、感謝を充分に伝えられるかはわからないけれど・・・
内海選手がこの先、どんなキャリアを歩まれるのかは明らかになっていません。でも、ハンナリーズを長年支えてくださった「Mr.ハンナリーズ」のこれからに、幸多からん事を祈らずにはいられません。