2年目の地域おこし協力隊から見た未来のまち
我が街に未来はあるのか?
それは、地域おこし協力隊として着任したとき、ここに移住・定住しようと腹をくくったとき、ここで新規事業を立ち上げようとしたとき、起業を検討したとき、などなど、様々な場面で頭をよぎる言葉だ。
簡単に僕がいる街、稲敷市を紹介すると、茨城県南エリア、霞ヶ浦の南に位置する人口4万人弱の街である。日本全体が少子高齢化、人口減少をしている現状において、もちろんこの流れに逆らえる訳もなく、順調に少子高齢化が進んでいる。
電車は通っておらず、公共交通機関はバスのみ。もちろん、本数は少ない。道路にしても、市内で片側二車線の道路は市の端にある国道51号1本しかない。後は全て片側一車線。追い越しは難しい。
成田市やつくば市といった人口10万人以上の都市から1時間圏内であり、高速道路も通っているため、高速道路を使えば東京まで1時間以内で行くことができる。お隣の阿見町にはアウトレットがある。そんな稲敷市は、県北エリアよりも都市に近い場所に位置していながらも、人口密度は茨城県内で最下位を競うレベルだ。
我が街に未来はあるのか?
一人の移住者として捉えた場合には、ちょっと違う。僕はこの街が好きなのだ。
市内の方々の多くが高齢者であるため、街の流れは比較的ゆっくり。稲が風になびく様子、トラクターがごとごと走る様子を眺めることができる。霞ヶ浦を見ながら、稲波干拓を見ながら、のんびりするのも素晴らしい。
そもそも片側一車線で事足りる交通量なのだ。去年見た渋滞は、事故で道が塞がれたときと芋の無料配布、クーポン券の配布の時のみ。安全運転で、市内をストレス少なく移動できる。
それなりに大きな都市にも、東京にも無理なくアクセスできる環境にも関わらず、夜はかえるの鳴き声と、たまに通る車の音。緊急車両の音なんてめったに聞かない。落ち着いた環境の中で生活することができる。
加えて、これまで繋がってきた人たちの思いがある。思い出がある。
我が街の未来を想定するなら?
もう、僕はこの街が好きな、この街の一員だと思っている。そんな街に何が欲しいかというと、未来を一緒に作り出す仲間だ。
我が街に人が年間何万人も集まり、大きなお金を落とし、公共交通機関が豊かになり、大型ショッピングセンターとビルが建つ、そんな未来は1ミリも望んでいない。
モノが欲しいのではなく、ワクワクする希望が欲しいのだ。それは、僕たちが地域を創るという想いと自信であり、僕たちが僕たちの暮らしを良くしていき、次の世代へと繋げていくというプロセスであり、笑顔で我が街で死ぬための準備である。
そして、死ぬ時に、僕の家族や友人、これまで繋がってきた大切な人たちに加えて、愛おしい我が街の景色が浮かぶこと。これが暮らしたい未来のまちだ。
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