あなたは〇〇を幸せだと言えますか?
『上弦の月を喰べる獅子』という小説の中のセリフです。
夢枕獏先生の作品で、仏教の宇宙観を取り入れた不思議なお話。
ジャンルはSFですかね。
細かいところは覚えていないのに、この小説のキモになるこのセリフは脳に焼き付いています。
主人公は最終的に、『はい』と答えます。
自信を持って。
悟りにも似た理解を持って、はいと答えるんです。
脳が震えるような感覚になったのを覚えています。
皆さんは、どうでしょうか。
幸せだと言えますか?
この問いは実は、
誰が誰を
もしくは
誰が何を
を指定していません。
自分で自分を幸せだと言えるか
とも聞こえるし
自分が他人を幸せだと言えるのか
かもしれない。
自分を誰かに幸せだと言ってもらえるか
かもしれないし、
自分を含めたこの社会が幸せだと言えるのか。
かもしれない。
直感的に、
自分は幸せだと言えるだろうか。
と自分の人生を評価したくなる質問です。
これまでの人生を振り返って、今があります。
その今を幸せだと自分で評価できるのか。
考えちゃいますね。
これから幸せになるんだっていう方もいるでしょうし。
不幸では無いという人もいるでしょう。
Goodの人とNo Badの人もいるでしょう。
死ぬまでわからないと思う人もいそうですよね。
夢枕獏さんのまた別の著作で
「涅槃の王」という小説シリーズがあります。
若かりし仏陀シッダールタの物語です。
こちらもエグいほどのアドベンチャーSFなんですが、
シッダールタがとうとう悟りを開くというシーンでこう言うのです。
「肯(よし)」
と
“この世のあらゆるものは肯(こう)である”
と。
そう宣言するのです。
その声はその場で起きているあらゆる争いを止めてしまうのです。
“おまえは正しい”
だから安心せよ。と。争う必要はないのだと。
自分が正しいのかどうかわからないから不安になる。
他人と比べて答え合わせをしようとする。
自分の正しさを証明するために、「違う」人たちと争う
そうやって戦いが起きる。
安心せよ、お前もお前も正しい。
大晦日、NHK紅白歌合戦で星野源さんが本来はあの素敵な「地獄で何が悪い」を歌うはずだったのにほんの一部のSNSでの声をマスコミが拡声器を使って大声にしたせいで(と僕は感じた)、「ばらばら」という曲に変更となりました。
「地獄で何が悪い」は星野源さんが病床にあって壮絶な体験をされたことからなんとか立ち直ったという勇気の歌。
変わって「ばらばら」は世界は一つではない。一つになれない。という想いが歌われた曲です。
一つになれない、それでも僕らは重なり合って一緒に生きていくというなんとも言えない気持ちになる歌です。
紅白歌合戦では一部、歌詞の変更があったのをご存知でしょうか。
もともとの歌詞は
「本物はあなた わたしは偽物」
だったところを、
「本物はあなた わたしも本物」
と変更されていました。
ここに一連の騒動と星野さんの想いが表現されているのかなと思いました。
そしてあれだけ忙しない紅白歌合戦という番組の中で、
15秒という星野さんの沈黙。
あの手の番組で出演者の勝手は許されません。
なので台本に盛り込まれたあらかじめ用意された演出としての15秒だったのだと思います。
あなたもわたしも本物。
それぞれの正義は本物であるからこそ、世界はバラバラで一つになれない。
それでもそれぞれの世界が重なりあって、この世は進んでいく。
地獄で何が悪い に対する星野さんの想いも本物。
対して、この曲に対して良くはない影響があるかもという意見もわからなくもない(完全な払拭はできない)という苦い想い。
みなさんはどう受け止められましたか?
“この世のあらゆるものは肯(こう)である”
だから安心せよ、争いをやめよと宣言したシッダールタに対して、
同じく、
それぞれの想いは本物であるからこそ世界はばらばらだと歌った星野源さん。
星野さんはそれでも重なり合って世界は進むのだと表現している。ある意味悟り。
なんだかそれぞれ不思議な気持ちになりました。
仏陀が生まれた時に、
「天上天下唯我独尊」
と言ったというとんでもエピソードが有名ですね。
ちょっと「わたしが唯一無二で最強」みたいな意味に取られがちな言葉ですが、
こちらは実は、
この世に生きる全ての人はただ一人であり、
誰とも代わることができない絶対的な尊さがある
という意味なんです。
だからこそ、あなたの想いも考えも正当なものであり「肯」であると僕も思っています。(思って行こうと思います)
僕が言えることはこれだけです。
あなたは幸せになれます
あなた"も"幸せになれます
「も」の部分に誰を入れますか?
誰を幸せにしますか?
誰と幸せになりますか?
恋愛とか結婚という意味ではなく、
願わくば、みんなが正当なまま許し認めて平和で安全な世の中になるように、
真っ当に生きて、一緒に幸せの量産をしようぜ。
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ここでおすすめの映画を。
「リトル・ブッダ」
です。
アメリカに住む少年ジェシーがブッダの魂を受け継いでいた高僧ラマ・ドルジェの生まれ変わりであるとラマ僧に告げられ
チベット仏教に興味を持っていくというお話です。
その中で、若き日のブッダが如何に悟りを開いたかのストーリーを追っていきます。
ちなみに、この若き日のブッダはキアヌ・リーブスが演じています。
キアヌがインド人役っておもろいでしょ。
しかし、大変美しい映画なんです。おすすめです。
おまけ
もともとコッチの主人公である少年のパッケージデザインでしたが、
キアヌが有名になりすぎて
こっちになっちゃった。ちょっとシュールw