◎手帖P16「おいしいお米」
2020/9/23OA
コマキ手帖でお米といえば、料理開拓人堀田さんからお話をきいた、リゾットに適したお米「SHIGARNAROLI(シガルナローリ)」。このシガルナローリを堀田さんと一緒に作っているのが、滋賀県長浜市にある「みたて農園」立見さん。
実は、2014年から毎年、わたし土井コマキはこの「みたて農園」に田植えと稲刈りの時期にお邪魔して、少しお手伝いをしています。みたて農園があるのは、琵琶湖の北側、滋賀の端っこ。あの山を越えたら岐阜、あっちの山を越えたら福井、なんて、広い田んぼに立って遠くの山を指差して立見さんは話してくれます。
今年は、初めて番組スタッフ(コマキ手帖ディレクター20代女子)と一緒にお邪魔しました。彼女は、稲刈り自体も初めてということで、鎌で刈るのも体験させてもらいました。普段触らない刃物で、力の使い方が難しくてなかなか切れない。稲3株でやっとお茶碗一杯分ときき、愕然!もちろん立見さんは普段はコンバインでバリバリ稲刈りしています。コンバインで田んぼを進んでいくと、稲の中から、バッタやカエルがいっぱい飛び出してきます。それを狙う鳥も上空にやってきます。その光景を見ると「自分も自然の輪の中にいるんだよなぁ」と毎年思います。
普段から仲良くさせてもらっている立見さんに、今回初めて真面目なお話を伺いました。
改めて、お米を育てるプロセスは。稲刈りをした後、秋のうちに田んぼを耕します。すると田んぼに落ちている藁が土に混ざって肥料になります。次の稲作に向けて、土が準備をするんですね。そして3月ごろ、苗床箱という専用の箱にお米の種子(種籾)をまいて苗作りをします。米は果実ですが、種でもあるので、翌年のお米作りのためにお米を残しておくんですって。大体3週間くらいで田植えができるくらいの苗に育つそうです。夏の間も、水の管理や、肥料をあげたり、草刈りをしたり、たくさんお仕事があります!!(実は1回夏に草刈りを手伝いに行って、あまりの暑さにまいりました。大変な仕事です。)
「みたて農園」という名前には、色んなものをお見立てしたいという気持ちがこめられています。自分のお米だけじゃなく、長浜の他の良いものや、面白い人も伝えたいという立見さん。その通り、私も立見さんに色んな人や物を紹介してもらっています。田植えと稲刈りでお邪魔するのは、もちろんその作業が楽しいんですが、実は立見さんに会って色々教えてもらうのを楽しみにしている部分もあります。RENEWの新山さんを紹介してくれたのは立見さんなんですよ〜。(手帖P14)
お米の味を決めるのは肥料や農薬や、風土だけではなく、農家自身がどんな生き方をしているか、それが味に現れてくると思う、と立見さん。農作物が健康である以前に、まずはどれだけ農家が楽しく健康に暮らしているか。体と心の両方が健康であるために、立見さんは風通しをよくしておきたいそうです。
立見さんは人に会うのが一番好きなこと。だから農地に色んな人が来てくれると楽しいし嬉しいんですって。ひとりでずっと作業していると、自問自答ばかりで、どんどん悪い方向に思い悩んでしまう。野菜も米も風通しを良くしないと腐ってしまう。人間も同じ。自分の風通しを良くするには、自分お場合はたくさんの人に会うこと。話すこと。それがたてみさんにとっては肥料にもなっているんですね、きっと。毎年わたしは仕事の邪魔をしてるなと思っていたんですが、立見さんに肥料をあげてるって思うことにします!
農業ってすごくいい仕事なのに、次の担い手がいないのは、やはり大きな問題です。農業という職業もいいなと思ってもらえるような、農業人口を増やすようなアクションをおこしたいと、これから先のことを話してくれました。
みたて農園では、現在5品種のお米を栽培されています。その中から「みずかがみ 」の新米を買って帰ってきました。今年から作り始めた品種で、もっちりではなく、さっぱりしていて、たくさん食べたくなるご飯に炊き上がりました。実際2杯食べてしまいました・・・!他には、コマキ手帖ではお馴染み「シガルナローリ」や、今年から日本酒を作るために作り始めた「滋賀旭」、もちろん「コシヒカリ」「ミルキークイーン」と人気の品種を作っています。
作り慣れていない品種を作ってみるのはチャレンジだと思うのですが、立見さんは、お米の消費が落ち込んでいるのを新しい角度から変えたいと思ってやっているんだそうです。なにより「面白そう」だということ。立見さんって本当にワクワクしたい人なんですよね。だから面白そうって思ってチャレンジできる。たてみさんがワクワクして風通しいいと、お米も美味しく育ちますよね。
たてみさんがお米を作り続けることは、SDGsのどの項目に繋がっていくでしょう?
みたて農園では、化学肥料を減らす、農薬を減らすなど、環境に配慮した育て方をしています。長浜市は京阪神の一番上流に位置しているので、自分たちが田んぼをきれいにすることが琵琶湖の環境につながります。→「7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「14 海の豊かさを守ろう」「15 陸の豊かさも守ろう」
たてみさんが楽しく農業をしていると、どこかの誰かがそれを見て農業って楽しそうって思ってもらえるといいな→「8 働きがいも経済成長も」
立見さんは、面白がって色んな土地の色んな人を紹介してくれる。色んな地域のチームが交流することで、飛び地的にアチコチに面白いまちができていくかも?→「17パートナーシップ」
みたて農園のお米はHPから購入することができます。ワクワクする気持ちが育てたお米を食べて、ワクワクしてください。
▼みたて農園
https://www.mitate-nouen.jp