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本日発売です!

高校の漢字・語彙が1冊でしっかり身につく本』(かんき出版)が本日(3月24日)発売となります。発売前からすでに多くの方にご注文をいただいているようで、著者として心より御礼申し上げます。

発売にあたり、現代文学習におけるこの本が担いうる意義をお話させてください。

現代文の文章を読む、には語彙力が不可欠

評論文にしろ、小説にしろ、随筆にしろ、現代文の文章を読解するには、語彙力を身につけることが大切です。学者や作家といった高度な日本語運用力をもった人間が書いた文章を読むわけですから、文章中には抽象度の高い難しい言葉や、中高生が日常生活でまず目にしないであろう慣用表現などが本文中に当たり前のように出てきます。具体的な語を挙げてみましょう。意味が言えるものを数えてみてください。()内はその語が本文中や設問中に出ていた大学です。

浅慮(久留米大)
白眉(京都産業大)※「はくび」と読む
野放図(立命館大)※「のほうず」と読む
閑却(佛教大)
風采が上がらない(大阪経済大)
衣鉢を継ぐ(大分大)※「いはつをつぐ」と読む
難渋(法政大)
可塑的(東北福祉大)
陶冶(立命館大)※「とうや」と読む
払底(成蹊大)※「ふってい」と読む
矜持(日本大)※「きょうじ」と読む
怜悧(九州大)※「れいり」と読む
桎梏(東京大)※「しっこく」と読む
鼎の軽重を問う(國學院大)※「かなえのけいちょうをとう」と読む
自家薬籠中の物(小樽商科大)※「じかやくろうちゅうのもの」と読む
ポピュリズム(早稲田大)
形而上(東京学芸大)
等閑視(香川大)
哄笑(佐賀大)※「こうしょう」と読む
沽券に関わる(センター試験)※「こけんにかかわる」と読む
馴致(鹿児島大)※「じゅんち」と読む
口幅ったい(京都大)※「くちはばったい」と読む
輻輳(東京大)※「ふくそう」と読む
流れに棹さす(明治大)※「ながれにさおさす」と読む
江戸の敵を長崎で討つ(愛媛大)
軽佻浮薄(白百合女子大)※「けいちょうふはく」と読む
エートス(尾道市立大)
メルクマール(国際教養大)
なかんずく(学習院女子大)
いみじくも(京都大)

では、おおよその意味が言えるものは30個中いくつありましたか?(拙著ではもちろんこれらすべてを掲載しています)

はっきり言います。20個以下の人。あなたには入試現代文を読む上での語彙力が不足しています。その語彙力のレベルでは、やれ読解法だの、やれ選択肢の切り方だのを教わったところで、そんなものは役に立ちません。どんなに便利な解法が仮にあるとしても、それは本文がきちんと読める、意味がわかる、ということを前提にしているわけですから。

 春から夏にかけては、現代文の学習の半分くらいは語彙力の増強をするくらいの気持ちでいいと思います。夏くらいまでは漢字や語彙の学習をしっかりと回していき、同時に易しめ~標準レベルの文章読解の訓練を行い、秋以降に学習の比重を文章読解へと移していく、という学習計画を立てるようにしてください。

4~8月 漢字・語彙の学習(50%)
        +
    易しめ~標準レベルの文章読解(50%)
9月以降 文章読解(90%)+漢字・語彙のメンテナンス(10%)

本書で学ぶと……

 漢字と語彙の学習をする、といってもこれまでは漢字と語彙を1冊の学習参考書で行うことはできませんでした。漢字は漢字、語彙は語彙と別々のものを買う必要があったのです(この間、漢字と語彙を1冊にまとめるというコンセプトの本はあるにはありましたが、必要なものが載っていなかったり、体系的でなかったり、などの欠点を抱えていました)。

 そこで、大学入試の問題を徹底的に調べ上げ(その数、実に40,000件のデータ)、

①漢字の書き取り問題で確実に点がとれるようになる
②語句の意味の問題で確実に点がとれるようになる
③評論文・小説などの文章を読解するときによく出てくる語彙を身につけられる
④学習者が挫折しない
⑤とにかく見やすいレイアウト
⑥必要にして十分な漢字・語彙を「1冊で」身につけることができる

という本を作ろう、ということになりました。それが拙著『高校の漢字・語彙が1冊でしっかり身につく本』です。編集者の方と何度も議論を重ね、どうすれば①~⑥を満たせるような本になるのかということに徹底的にこだわりました。

 この本を1冊仕上げれば、漢字の問題や語句の意味の問題で点を落とすというリスクを最小限にまで抑えることができ、なおかつ文章読解の際に知らない語句に遭遇するということもほぼなくなる、と自信をもって言えるだけの内容に仕上がったと自負しています。受験生の皆さんの漢字・語彙の学習に本書を大いに活用していただければ著者として幸いです。


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