ここまでわかった犬たちの内なる世界〜#06イヌが教えてくれる憎めないウソのつき方
夏休みも間近になりましたね。 夏休みといえば、子供たちの昆虫採集。
筆者も小学生の頃は、 昆虫ハンターとなって野山を歩きまわり、高学年になると標本箱の製作にいそしんだものです。 かなり大がかりな本格的なものを作った記憶があります。 学校の図書館に格納されていた保育社の『原色日本昆虫図鑑』は、 シートン動物記や怪盗ルパンと共に当時の愛読書で、ページをめくっては心を躍らせていました。
そうこうしているうちに、ついには、ハンティング熱とコレクター癖が同時進行的に沸点に達し、中学1年生の頃にはそのマニア仕様の自家製標本箱が理科室のいちばん目に留まりやすい入り口付近で展覧されることに相成り、熱血昆虫少年の生態が惜しみなく全校生徒に暴露されることになってしまった......
というふうな思い出話をして自慢するつもりではないのですがと言いながら自慢してるんですが、わざわざ昆虫の話題をふったのは 、まずは擬態について着目したかったからです(そのわりには前ふりが長い)。
昆虫が苦手な方、ごめんなさい。
実は筆者も、蝶はかなり苦手で、 標本にしていたのは甲虫(カブトムシの仲間)専門なんです。
にもかかわらず、このツイートを紹介したのは、見事としか言いようのない昆虫の擬態が見てとれるからです。枯れ葉の虫食いの痕跡まで擬態するとは、恐るべき進化の傑作です!
認知を伴うだまし行動
蝶のような鮮やかな色彩や模様をつけた昆虫は、擬態によって自分のテリトリーに侵入してくる捕食者をかわしたり、撃退したりします。 相手をだますのです。
しかしこうした昆虫の擬態は、 認知を伴うだまし行動とは明確に区別されるべきものです。
仲間の裏をかくなど認知を伴うだまし行動は、類人猿でよく確認されてきました。
意識的に相手を出し抜き、ニセの情報を流すことで、 自分を守ったり、利益を得たりしようとするーーヒトが文明をつくれたのはこの能力があるからだという意見もあります。
しかし、この能力は人間特有のものではありません。
イヌがまさしくそれをやってのけるのです。
それを実演してみせたコタロウのエピソードを前回の『イヌの心の理論』で紹介しました。お菓子を飼い主の留守中にこっそり食べておきながら、他の犬が食べたかのように偽装したと推断されたドーベルマンの話です。
今回のお話は、同じ「相手を出し抜く」話でも、少々毛色が異なります。
思わず膝を打ったメール
飼い主のスミさん(仮名)から、メールが届いたのは、ゴールデンレトリーバーのエンジェルが、満1歳の誕生日を迎えた頃のことです。
スミさんとエンジェルの日常が綴られたメールを読んだ筆者は、思わす膝を打ちました。
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