愛犬の振り見て我が振り直せ!
このタイトルの言葉は、興奮しやすい犬や飛びつきなど動きの激しい犬の飼い主さんに、よくお伝えする言葉なのですが、どういうことか分かりますか?
「??」と思う方も多いと思います。(笑)
これからこの言葉の意図を説明していきます。
犬の行動は人間の行動を反映する
犬はもとも群れで生活するため社会性が高く、相手がどのような行動をするのかなどよく観察しています。
また、関わる相手の行動に影響を受けます。
これは人に飼われている状況でも同じです。
例えば、小さなお子さんのいる家庭で飼われているワンちゃんは、活発で興奮しやすいコが多く、年配のご夫婦に飼われているワンちゃんは動きがゆっくりで落ち着いたコが多いです。
なぜこのような差が出るかと言うと、幼稚園生から小学校低学年のお子さんは興奮して家を走り回ったり、大きな声で喜んだり泣いたりしますよね?
そうすると、それにつられて犬も動きが多くなったりはげしくなったりします。
一方、年配の人の場合は、基本的に動きがゆっくりで活動量も若い人に比べると少ないですから、落ち着いた感じの生活になります。
そのため、飼われている犬もそれに影響されて落ち着いた感じになります。
もちろんこのようなケースに当てはまらない場合もありますが、一般的にこのような傾向が強いです。
犬の行動は人間の行動の鏡写し
つまり、人間の行動が犬の行動に大きく影響を与えるということです。
もし犬の相手をしていて犬が興奮しているとすると、それは「自分が犬を興奮させている可能性がある」ということです。
例えば、犬が帰宅時などに喜んで飛びついてきた場合、止めさせようと「だめ、だめ」などと言って、押し返したり、手で抑えようとする場合が多いのですが、そうすると犬は落ち着くどころか、余計に興奮してより激しく飛びついてくることが多いです。
このような場合はまずどうすべきか?
それは、自分が落ち着くことです。(笑)
そして「ダメ!」と大きな声を出したり押し返したりするのではなく、落ち着いて、後ろを向くと良いです。
後ろを向いても回り込んで飛びついてくるなら、またゆっくり反対に向いて、とにかく「相手にしません」という態度で背中を向けます。
(このときのポイントは、決して犬を見ないこと。天井を見ながら背を向けるとあっという間に飛びつくことをやめます。)
このように、落ち着いて対処をすると、これがまた鏡映しになり犬も自然と落ち着きます。
では、「落ち着く」とは具体的にどういうこと?
「自分が落ち着けば犬も落ち着く」ということが理解できても、実際に犬と関わっていると、実践することが難しい場合もあります。
「行動」を変えることで「精神」(心持ち)も変わります。
もしどうしても慌ててしまう、落ち着けないという場合は、以下の2つの行動を意識的に変えてください。
①ゆっくり動く
客観的に見て「落ち着いた」様子とは、まずは動きがゆっくりです。
逆に、早く動くとどうしても焦っている、慌てているように映ります。
例えば手に甘噛みしてきたときに、素早く手を引っ込めて止めさせようとすると、もぐら叩きのような感じになって、余計に素早く強く噛んできます。
犬が興奮したり、激しい動きになっているときは、意識してゆっくり動くようにしてください。
②声は低いトーンでゆっくりとかける
次に注意するときの声ですが、出来るだけゆっくりと、そして高いトーンにならないようにします。
犬が甘噛みをしたときに、「痛い!痛い!痛い!」と早口で、しかも高いトーンで言ったとしたら、余計に興奮して噛んできます。
犬が何かしたときに、「あっ!」と反射的に早口で甲高い声で注意したくなってしまうかもしれませんが、そこはぐっとこらえて、意識してトーンを低く、早口にならないように気をつけてください。
犬の問題行動の原因は、犬にあるわけではない
愛犬を落ち着かせようとしているのにもかかわらず、落ち着かないとしたら、それは愛犬が「聞き分けのない犬」だからとか、「落ち着きのないダメな犬」だからではありません。
対応の仕方が悪いだけです。
きっと落ち着かせようとしている行動が、犬を興奮させてしまっているのです。
適切な対応をすれば、思った通りの行動を犬が取っているはずです。
もし注意しても犬の行動が改善しないなら、「愛犬の振り見て我が振り直せ」で自分自身の振る舞いを見直すようにしてください。