【雑記】Kurzgesagt:Is Civilization on the Brink of Collapse?
Kurzgesagtの「文明は崩壊の危機に瀕しているのか?」について、字幕が投稿された。1週間以内には反映されるのでは。
担当したのはメンバーのえんどうさん。自分は字幕案のチェックを担当した。
概要
地球上では、これまでに数多くの文明が生じ、そして滅んでいった。
それでは現在の私たちの文明も滅びに瀕しているのだろうか?
ニュースなどを見ていると、いかにも滅びに瀕しているような気分になる。気候変動を引き起こしてしまい、異常気象が頻発している。パンデミックも起きてしまった。そして核保有国が、今戦争をしている。
しかし、現代の人口の99%が失われるケースを想定してみても、諸々の条件を考えるといずれは復興しそうなものだ。生き残りには農業技術を有する人が多数いるだろうし、優れた作物種も残っているだろう。どこかの図書館は生き残っていて、その智を引き継げる見込みも高い。
ドクターストーンのように数年で文明レベルがかなり回復するというのはさすがに奇跡のレベルだが、現代が農業革命から約12000年後であることを踏まえ、同じようなタイムスケールで考えれば、やはり復興を見込んで良さそうだ。
とはいえ、現代文明が崩壊するリスクは厳然として存在する。とりあえず、出来ることをやろう。
気になる最後の宣伝パート
今回の動画では、珍しく最後の宣伝パートが印象に残った。今回の動画はオックスフォード大学の哲学の教授、Will Macaskillとの共作とのことだ。
そして彼の本『What we owe the future』の内容は、常々Kurzgesagtが訴えていることと合致しており、それがより詳細に説明されているのだという。
これは気になる。
効果的な利他主義
Will Macaskillは「効果的な利他主義」運動の創始者のひとりであるという。(ピーターシンガーの印象が強かったが、他にも創始者がいたのか)
効果的な利他主義であれば、『21世紀の道徳』という本で最近読んだばかりだ。かいつまんで言うと、以下のような感じだ。
…こんな考えが効果的な利他主義である。
「身内である日本人への募金を行いたくなるだろうが、同額でもっと多くの途上国民を救えるのだから、そちらへ募金すべき」という主張は、何か直観に反するところもある。しかし、両方の事情をしっかりと学んだなら、募金先を日本人に決定する根拠は「身内びいき」以外に残らないというのも事実である。
Will Macaskillの長期主義
さて、『What we owe the future』を読み、要約している人をtwitterで見かけた(※)。それによると、Macaskillは長期主義という道徳的スタンスをとっているようだ。
長期主義とは、これから生まれてくる人たちの利益についても考慮に入れ、何が道徳的な行動かを判断するという立場らしい。
これって、2つ前の動画とリンクしているではないか。
現在の私たちは、とてつもない変化の時代に生きている。すなわち、私たちがどのような行動をとるかは、未来を生きる全ての人類に影響を与えるということだ。そして、The Last Humanの動画で示されたように、人口比でいうと、未来世代に比べて現人口などちっぽけなものなのだ。
ということは、現在世代をえこひいきして、未来世代にツケを残すことは、全く倫理的でないということになる。
これは「途上国民より日本人をえこひいきすることは倫理的ではない」という効果的利他主義の発展形とも解釈できるだろう。
長期主義というスタンス自体が面白いし、Kurzgesagtがそれを支持して、動画によりそのメッセージを普及しようとしていることもわかり、なかなか勉強になったのだった。
※ 交流が無い人のツイートを埋め込むことに何か抵抗があったので、リンクなし。twitterの方ではRTしているのでご勘弁を。