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北杜市考古資料館
日本遺産「星降る中部高地の縄文世界」を巡る旅
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山梨県北西部に位置する北杜市。八ヶ岳や南アルプスの山々に囲まれた高原地帯で、ぐっと近くに迫ってくる空に解放感を味わうことができます。
八ヶ岳南麓のこの地域には縄文時代の遺跡が数多く残され、星降る中部高地の一角を成しています。遺跡から見つかった人々の営みの痕跡は、「北杜市考古資料館」で見ることができます。
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館内に入るとまず目に入るのは、ガラス張りのエントランス横に飾られた大きな土器の数々!ガツンとした迫力でお出迎えです。
ここでの私のお気に入りは穏やかにほほ笑むハート型の顔面装飾土器。閉じた瞼にゆるく上がった口角。口縁部の横にはフリルのような装飾も見られます。胴部は緩やかに膨らみ、まるで女神様のような気品ある立ち姿です。じっと見ていると、何かににている・・・・。そうだ、流氷の天使「クリオネ」・・・この土器を「縄文の天使」と、勝手に呼ぶことにしましょう(笑)
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館内には所狭しと飾られた土器の数々!凝った装飾のもの、シンプルなもの。これを作った人は随分と器用ねぇ・・・と感心したり、ちょっとファンキーな感性の持ち主かしら、と想像したり。
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ファンキーといえば、中空土偶の「ちゅうたくん」。たこのように尖った口(?)虚無感漂う空洞の目(?)ブラックホールのように吸い込まれそうなお腹のぐるぐる模様。ねぇ・・・あなたは何故ここにいて、何を私たちに伝えようとしているの???
ちゅうたくんの空洞はきっと、四次元世界に広がっているのだと思う!
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もう一つ衝撃だったのが、津金御所前遺跡出土の「出産文土器」!
可愛らしい顔面装飾把手にまず目が行きますが、豊かに膨らんだ胴部から「コンニチハ」とご挨拶するかのように顔を出している子が・・・!!!
今まさに赤ちゃんが生まれ出ようとしている瞬間を表した土器なのだとか。
ということは、取っ手部分の美人さんはお母さんですね。「ひっ、ひっ、ふー」の「ふぅぅぅぅぅ~っっ」をまさに頑張っている瞬間を切り取ったのか・・・。それを形にするなんて、やっぱり縄文人ってすごい。命って、尊い。そんな気持ちが何千年もの時を超えて伝わってくる。
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北杜市考古資料館にはまだまだ素敵な展示がいっぱい!
お洒落なアクセサリーの数々。とても凝ったデザインの耳飾りを付けていたのはどんな人だったのでしょう?
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ねらってない可愛さ全開の「ちびーなす」ちゃん。隣の姐さんみたいなポージングの「パンツちゃん」
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石棒を中心に据えた、集落の再現展示も面白い!
感じ方は、無限大!
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高濃度の縄文の空気を吸いたくなったら、ぜひ「北杜市考古資料館」を訪れてみてください。