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カナダのレストランに「アレ」提案してみてはどうでしょう!

どうも、Dogaです。

日本のレストランや居酒屋って大体お店の前に食品サンプルや、メニューに写真が載っていたりしますよね。こんなんです。

日本にいる時はこれが当たり前ではありましたが、海外のレストランではこの食品サンプルもメニューの写真もほぼありえません。少なくともトロントでは日本食レストランやファストフード店、フードコートのお店以外ではあまり見たことありません。

よく日本を訪れる外国の方が居酒屋の食品サンプルを見て「日本のレストラン(居酒屋)スゲェー!」って言ってるのをよく聞きます。外国の方のお土産として食品サンプルの人気が上がってきているのも実はこういった背景があるんです。

確かに視覚的に一目でメニューの内容が分かるので、言語が得意ではない外国人にはとても助かりますよね。まさに僕は今トロントで「外国人」であるわけですので、逆にこの違いに苦しんでいるというわけです。

例えばお店の前に立って扉に貼られているメニューを見て「んーこれ何のことだろう…」と悩んだ挙句結局スルーして通り過ぎるみたいなケースも多々ありました。また店頭にメニューすら出ておらず、もはやどんな食べ物が提供されているのかすらも想像できないようなお店もあったりします。まぁ別にお店に入って聞けばなんてことはないんですが、ついつい入るのに怖気付きこれまたそのままスルーなんてこともよくありました。皆さんも、こんな体験したことありませんか?笑

そこで本日はそんな日本の食品サンプルや写真付きメニューといった、日本式マーケティングについて「カナダに住む外国人」の視点で考えてみました。

食品サンプルの歴史

そもそも食品サンプルの歴史についてですが、調べてみると意外と古くからある手法で、なんと大正時代から昭和初期にかけて日本で考案された手法のようです。

当時の日本社会では中産階級の人が増えるようになり、経済も少しずつ発展し、多くの日本人サラリーマンが仕事帰りにデパートの飲食店で食事をとるようなブームがありました。ただ当時は文字で書かれたメニューのみでしたので、注文後に「想像していたものと出てきたものが違う」と不平を漏らしキャンセルする人、クレームを入れる人が増え、店内の回転率が上がらず店側は困っていたようです。

そこで試験的に生まれたのが、客が待っている間に実物を見せてイメージと実物のギャップをできる限り事前に減らすという手法でした。この事前に実物を飾って見せておくだけで、キャンセルとお客のクレームは圧倒的に減り、効果が出たそうです。ただ実物の食品は時間が経つと色も変わり見栄えも悪くるという点が唯一の課題となっていたのです。

そしてその後、実物の代わりに食品サンプルを考案したのが岩崎 瀧三という人です。彼が最初に完成させたサンプルが、誰もが見たことがあるであろうデパートカフェの定番「オムレツ」だったとのこと。その後この食品サンプルの技術、ビジネスも成長し、日本の飲食店でも採用されるようになり一気に普及することとなったのです。

また今ではこのあまりにもリアルな食品サンプルが日本を訪れる外国人の間でも人気となり、お土産用のサンプルも売られるようになったほどです。寿司のキーホルダーとかよく見かけますよね。ただ、ビジネスや文化としては基本的にアジア圏でしか普及しておらず、欧米諸国ではこの文化はうまく取り入れられなかったようですね。

なぜカナダでは食品サンプルも写真付きメニューもないのか?

ではなぜカナダのレストランでは食品サンプルどころか写真付きのメニューも存在しないのでしょうか?日本食レストラン以外では本当に見たことないです。せめて写真メニューくらいあってもよくないですか?ちなみにフードコートやファストフード店では写真が高々と飾ってあります。しかしレストランやカフェではほぼない気がします。

日本で初めてミシュランの1つ星を獲得したフランス料理人中村 勝宏さんは「日本人が食品サンプルを見て料理を選ぶ場合、レシピに忠実な料理が出てくることを期待しており、一種の「安心感」を基準に物事を決める、日本の食文化の現れではないか」と分析しているとのことですが、日本人の特異な習慣/性格に関わりがあるということでしょうか。

僕は日本で外国人に食品サンプルが人気なのは、単純に食品サンプルの技術が特異で「面白い」からなのと、日本語が分からない外国人はサンプルでメニューが分かり助かるからだと思います。前者はまた別次元ですが、基本的には実用的な側面がウケたのです。

なぜならそんな彼らは自分の国でレストランに通う際には特にこういう食品サンプルは不要のはずです。よく考えると僕ら日本人も日本のレストランや居酒屋で写真メニューやサンプルがなくても問題ないといえば問題ない気がしますね。笑 必要か?と言われれば、今ではそんなに必要でもない気がします。

日本はそれぞれの食べ物に独自の名前が付いていることがほとんどですので、名前を知ればそれがなんなのかなんとなく想像がつくはずです。(親子丼、たこわさ、牛丼、などなど)もちろん過去に食べたこと、見たことがある食べ物であればですが。

ただそれなら、事前に食品を展示することが過去日本のデパートで流行ったのは、改めてなぜなのでしょう?なぜみんな食べ物のイメージができなかったんでしょうか?おそらく当時も注文した食べ物のイメージはできていたでしょう。洋食のメニューはまだまだイメージができなかったかもしれませんが。

となると考えられる理由としてはやはり中村さんの言う通り、食品サンプルが日本で好意的に受け入れられるのは、ただ日本人が「安心感」を得たいからだけなのかもしれませんね。

カナダや他の国ではそもそも食べ物に名前がなかったり、カテゴリー化された料理手法が存在しない料理も少なくありません。Aという料理名を聞いて「あぁあれね」とすぐに想像できる、確立された料理の方が珍しいのです。だからか、こちらのメニューではお店が独自につけた料理名と、内容物の説明(鶏肉のグリル、マッシュルーム、ポテトみたいな)くらいしか書かれていないことが多い気がします。

でも、それならサンプルとまでは言わないまでも写真があった方がむしろ分かりやすくないか?というのが僕の率直な感想。

始めてみてはどうでしょう!

ということで、この日本式マーケティングを始めてみてはどうでしょう!(誰に向かって言っているのか不明)いきなり食品サンプルというのはハードルが高い気がします。食品サンプルの産業もこちらでは根付いていないはずですから。ただ移民が多いカナダ、トロントであるからこそ、文字ではなく写真から食べ物のイメージを得て安心感を得られる人は多いのではないでしょうか?

とは言うものの、日本食レストランがこれほど多いトロントですら未だにこの文化が浸透していないということは、もしかしたら浸透しない理由があるのかもしれませんね。お客さんが安心感を得られるようにとか「そんな小さなこと気にしない」のかもしれません。「お客様は神様」な日本だからこそ生まれた「ケア」なのかもしれません。必要か不要かは別にして。

いつかトロントのレストランでもメニューに写真や食品サンプルなんかが見られるような社会になっていけば、それはそれで面白いなと個人的には思っていたりもします。

以上、食品サンプル、写真付きメニューについてのモヤっとした考察でした。笑

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