家族旅行
約5年ぶりに、家族4人と愛犬で旅行に出かけた。
学生の頃は、毎週末のように家族で旅行していたけれど、コロナの影響で父の仕事が激減し、家賃を支払うのさえ苦労する時期が続いた。家賃補助が出ても、やはり生活は大変だった。
その頃、私も開業したばかりで、本当にお金がなく、家賃を滞納したこともあったし、国民年金の滞納通知の赤い封筒が届いたときは、さすがに焦った。あの時が一番貧しく、悔しさと苦しさを感じた時期だった。
そんな困難を乗り越え、また家族で旅行に行けるようになったことが、今はただただ嬉しい。夕食を終え、部屋に戻って家族みんなでワイワイとお酒を飲む。笑い声が響き、ふと「100年後にはこの光景はもう誰もいないんだろうな」と突然、胸の奥にじんわりと寂しさが広がった。
今はこの瞬間を大切にしよう。
隣で笑っている家族の姿、一緒にいられるこの今が何よりも大切で目の前にある幸せをしっかりと感じよう。
次の日の朝、1人で朝風呂に浸かりながら、外の静かな景色をぼんやりと眺めていた。
澄んだ空気の中で、またこうして家族で旅行に来られたんだと、心の奥がじんわりと温かくなった。
家族みんなが元気で、一緒にいられることがこんなにもありがたい。
食卓でみんなで「美味しいね」と笑い合い、ちょっとした会話で自然に笑顔がこぼれるたこと、何気ない景色に心が動かされる瞬間。
愛犬のまるおを可愛がりながら、みんなでその名前を呼び合うと、心がほっこりと温かくなる。愛犬の存在が一層その瞬間を特別にしてくれる。すべての瞬間が、かけがえのないもので愛おしい。
2泊3日の草津温泉旅行。
ゆっくりと時間が流れる中、朝晩の食事はホテルで用意してもらえるから、ランチは私が出そうと思っていた。初日と2日目、無事に家族にご馳走することができて、少しほっとする。そして、今日は最終日。最後のランチも私が出すつもりだ。
もっとお金を稼いで、次の旅行では全ての費用を私が負担できるようになろう。家族への恩返しがしたいという思いが、胸に広がる。温泉の穏やかな空気の中で、次の目標を静かに心に描いている。