人間関係の断捨離をすると決めた。
やさしい言葉に包まれていたかった。ただ穏やかに生きていけたらどんなに楽だろう。
現実はまるで重い石のように、私の心をどんどん沈ませる。ため息ばかりが積み重なる毎日。それでも、逃げ場なんてないから、ただ前に進むしかない。
先日、新しいスマホを買いに行った。気分転換になるかと思っていたのに、そこで待っていたのは、またも失望だった。在留期限が3年の私は4年ないと無理ですと店員に突き放され、またため息をついた。なんでいつも、こうやって思い通りにいかないんだろう。小さな苛立ちが、胸の奥で少しずつ澱のようにたまっていく。
そんな気持ちを抱えたまま、久しぶりに幼なじみと朝ごはんを食べに行った。「Minって、誰にも相談しないタイプだよね。」ふとそう言われて、確かにそうだな、と思った。どうせ相談しても、何も解決しない。気持ちが少し軽くなったところで、現実が変わるわけじゃないから。結局、私は一人で抱え込むしかないのだ。
打ち明けたい気持ちがなかったわけじゃない。誰かに聞いてほしい、救いがほしい。そんな思いを抱えた夜は、何度あったか分からない。でも、どうせ変わらないのだろうと、そう考え続けていた。私のこの頑なさが、心をどれほど窮屈にしてきたのだろう。けれど、私は人を信じていないわけじゃない。ただ、心の奥を見せることが、ずっと怖かっただけなのかもしれない。
こうして、全てがどうでもよくなってきた。大切なものなんて、いったいどれだけある?私にとって必要なのは、愛犬が幸せでいること。それだけで十分な気がしてきた。
心の中には、ずっと抱えてきたものがある。でも今すぐ解決できるものじゃない。それが分かっているから、焦らないようになった。物の断捨離は上手くなったし、次は人の断捨離だってできるはずだ。もちろん、仲の良い友や、尊敬する人たちは私の宝物だ。彼らがいることに、心から感謝している。けれど、私の人生にとって不要な人間がいるのも、否定できない事実だった。
不要だ――あえて心の中で、そう叫ぶ。現実で「あなたは私には要らない」なんて口にするつもりはないけれど、心の奥でそれを強く認めるだけで、少しだけ胸が軽くなった気がする。敵なんて作りたくない。誰かとぶつかるのは面倒だし、無駄にエネルギーを使いたくないから。
だから理想は、静かに消えていくこと。何も言わず、ただ私がそっと離れて、彼らの記憶からも私が消えていけばいい。そうすれば、お互いに傷つくこともない。
やることはシンプルだ。あと少しだけ我慢して、年末の12月31日。その日、彼らの連絡先を消す。それで終わり。私の中で、不要なものは全て手放す。これからは、もっとわがままに、冷酷に生きよう。私の人生には、私が必要とする人だけいればいい。
今年で終わりにしよう。私にとって不要な人間たちとの関わりは、もうこれで終わりだ。