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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

Layers of Fear 2 ネタバレ考察地獄変

これはホラーゲームレイヤーオブフィアー2のイヌの私的考察である。かなり大量にネタバレを含む上、あくまでイヌが感じたことをもとにしているため解釈違いの恐れや誤解で語る場合があるやもしれぬ。
また、思いついたものを叩きつける形で打ち込んだので、読みやすさや解りやすさは一切考慮しておらず、大変読みにくいと思う。
その点を了承してくださる方だけお読みいただければ幸い。

流れとしては最終的な考察に至るまでの簡単な流れと、最終考察に関わりそうな要素の書き出し、からのストーリー考察および蛇足という流れ。
では以下駄文。


1.最初の考察


ゲームを始めたばかりの時期、イヌはこの劇中世界を「監督の生み出した謎空間」だと思っていた。
役者は巻き込まれ、ここから脱出するために監督の意図どおりに行動する、あるいは意図から外れて行動しているのだ、というのが最初期の考察。


2.中盤の考察


ゲームが進み収集要素から読み取れる情報から、イヌの考察は少し変化した。
まず、監督が弟・ジェームズなのでは?という疑惑がイヌの中で生まれた。
映画の完成にやたらこだわる姿勢、生命や存在に対する概念的な言及などから「この映画を永遠にしたい」という意図を感じたからだ。
映画を通して「姉や自分の体験したことを永遠に残す」といった意図だと考えた。


3.終盤の考察


さらに話が進み、こんどは「主人公=役者がジェームズ」という考察に変化した。
これは蓄音機のテープ(1・2・4・5)から来ていて、「海難事故にあった監督が同じ海難事故にあったジェームズを主人公に映画を撮影し、ジェームズは姉の姿を永遠に残すために出演した」という形だと思った。
これは最初に見たエンディングが“炎”(役者が男性の姿で最後に現れるED)だったから、というのもある。

しかしこの時点でイヌはなんとなく考察しきれていないと感じており、その違和感や物足りなさを埋めるため、やりこみ収集とエンディング回収に入る。
これは普段のイヌならおそらく取らない行動である。なにか引っかかるものがあったのかもしれない。


4.エンディング後の気づき


全てのエンド回収後に気付きにいたった流れはこう。
まず最初の違和感はアドリブエンド、“永遠”にて主人公が女性に代わっていたこと。この時点でイヌは「選択しによって生き残ったのが姉か弟か世界が変わるのでは」と考えた。
次に違和感を感じたのはすべてのエンド回収後、フィルム室兼控え室を観察していた時、その部屋に用意されている衣装が“女性もの”しかなかったこと。
単なる演出の可能性もあるが、ここまで細かくリアルな狂気にこだわる開発がそんなことをするか?と考えたらもうだめだった。
自室からつながっている控室であり、その部屋で「今から撮るシーンのフィルム(おそらく監督が作ったあらすじ的なもの)」を回してから外に出る=演技に入る場所に女性ものの衣類と靴しかない。
ここで初めて「もしかして主人公は女性では?」という考えが生まれた。


5.考察の補強となる違和感のあった点


この仮説を前提にしてみると、イヌが感じていた違和感が見えてきた。
・作中、姉が弟を引っ張る場面ばかりなのに5章で「姉の手を引く」シーンがある
・自室の窓から見える海から拾える「赤い靴」のアイテム。あきらかに女性もの、それももしかすると成人用。
・3章選択肢後の「少し前の私は死んで新しい私になる」というセリフ。
・各地のインタラクティブポイントで、「自ら手を下して対象を害した」ような演出が多い。
・蓄音機で聞けるテープで女性の声が混ざる部分がある。
・蓄音機のジェームズの「姉はずっと一緒」というセリフ。
・3章のロケットのミニゲームで姉の内面的な語りが入る。
・ユリの花(リリィ)が演出上頻出する。
・プロローグで「少年の」首が抜かれてゲームが始まる。

言語化できる違和感はこの辺り。ここからこの作品のイヌ的解釈をおなった。

・追記
3章選択時、台本通りの時に男性の声が怒り、アドリブ時に「それでいい」と満足そうな反応をする点も追加。
当初は演出の設定ミスだと思っていたが、男性の声が「理想のジェームズ」を演じさせようとするリリィの声だとすると納得がいく。
つまりこの選択肢でキャラとしてのジェームズとリリィの中のジェームズが乖離していると考えると、このループが終わらないのはこういう「役に入り切れていない」面がループの終わりに到達させない原因になっているようにも感じる。

6.イヌ的考察あらすじ


かつて戦争で受けた傷で片目を失った父親に虐待されてきた姉リリィと弟ジェームズ。
映写技師として仕事をしていた父親の目を盗み、父親が上映していた映画を見て育った二人は映画というものにあこがれを持っていた。
生まれた時に母が亡くなり、それが原因で精神の安定を欠いた父親に虐待されていた二人はある日、映画の本場へ向かう豪華客船の新聞記事を見てそれに乗ればあこがれの地へ行けると考えた。

家出を決意した二人はなにがしかの手段で父親を振り切り、密航する。
(ここで3章における公園での追跡劇・2章におけるバスタブにコンセントを落とす演出・公園で父親を振り切った後の「車いすに乗って痛みを訴える父」というファクターから
・公園で追いかけてきた父親がなんらかのトラブルで大けがを負った
・公園ではつかまったが風呂で寝ていただろう父親に対してコンセントで感電させて大けがをさせた
のどちらかで家を出たのではないかと思われる)

船に乗り込むことはできたものの、子供の計画ゆえに粗も多く食料が尽き船内の食料を盗んで大騒ぎになる。
船員や警備の追跡をなんとか振り切ったものの(2章)、足手まとい極まりないジェームズにリリィがため込んだ不満を爆発させ厳しく罵倒する(4章、百合を手折ると罵声が出るシーン)。
おそらくその直後、船内にて火災事故が発生。爆発炎上し、転覆する船から脱出しようとジェームズの手を引いて走っていたリリィだが、破損した船の構造によってジェームズと分断される。

ジェームズに逃げろといい、ジェームズがいやだ!そっちに行く!と駄々をこねるのを説得し、「どれだけかかっても合流する、絶対」と約束した瞬間ジェームズは横合いからの爆発で吹っ飛んで消える。
この直前のジェームズへの罵倒(おそらく謝る言葉のシーンもないので言いっぱなし)、守るべきモノを守れなかったトラウマ、絶対に果たせない約束をしてしまったこと、心の中にあった弟への不満などが混ざり合い、リリィは「ジェームズ」を演じ始めてしまう。

ジェームズとしての役を被りはじめたリィは住み着いた場所でインタビューを受ける。(このインタビュアーがのちのこのゲーム本編の作品を作ろうとした監督の疑いをイヌは持っている。6本目の録音テープでインタビュアーが永遠について妙に食いついていたため)

その「ジェームズを演じるリリィ」の才能に目を付けた人間(もしかするとインタビューした監督)が彼女を役者として起用、彼女は「男役も女役もできる稀有な才能を持った俳優」としてデビュー。

おそらく「役に入り切ることで、まるで実際にその役の人生を体感しているような状態になる」特技を持っていたのか(マネージャーからのアドバイスの手紙、および探索中に拾う写真で「ファンです!…あれ、人違いでした」、およびカメラマンの「まるで別の人を撮ってるようだ」発言)、複数の作品に主役として出ることになる。

数々の実績と評価を受けた主人公はついに自身の体験した事故を題材にした映画の主演を勝ち取る。(というか、監督が「この役ができる人間は一人しかない」と言及していたため決め打ちで起用している?)
そして彼女は彼女が始めた「俳優ジェームズ」を永遠のものにして完成(=終わりに)させるため、そして失った弟を作品の中で永遠に生きさせるため、作品世界に完全に没頭しはじめる。
その没頭した世界に“ナニ”がいるのか気づきもせず…

7.蛇足とまとめ


…と、こういう話だったのではないか。
そのナニの正体は不明ながら、プロローグとアドリブ・台本通りの演技を混在させたときに見られる“形なきモノ”エンドに出てくる長身の女性ではないかと思われる。
彼女自身はリリィの“役”が完成しなければ炎は渡せない(=完成すれば渡す)、プロローグで「もう少しだったのに残念ね」といいながらジェームズの頭を取り上げることで主人公が目覚める(=ゲームが始まる。抜き取られないほど少年が完成すればおそらくゲーム本編が始まらずループも終わる?)といった言動から何らかの形で存在する意志あるナニカではあろう。
また、ゲーム中で語りかけてくる男性の声は監督のものだとばかり思っていたが、「ジェームズとして演技をさせジェームズを完成させようとするリリィの意思」かもしれない。
理由としては自室にて「昨日君現場に来なかったよね?なんか監督は機嫌よかったけど」という手紙から。
当初は監督の生み出した狂気の作品世界に取り込まれたことを監督が知って満足気だったのか、と思ったが。上記の仮説からすると
「役に完全に入って別人になり、役のイメージを持っている監督以外の人間から俳優リリィだと認識されなくなった」
からだとするとアドリブEDでも拍手で撮影シーンが終わるのに納得できる。台本とは完全に違う「女性の役」にまで役がゆがんでいても監督としては「完璧な演技で傑作を生みだした」という認識で拍手が入ったのではないか。
そして5章で男の声が「ここまで連れてくるので精一杯」「1つ間違うと全部崩れる」と言っているのは「目的としてた役に一つでも傷があれば完成しない」=「永遠にはなれない」ということなのではないか。
リリィは完璧にジェームズ、あるいはリリィという存在にならない限り自分の開けた扉から出ることができなくなっており、しかしジェームズになり切るにも「リリィ」が邪魔をし、リリィに戻ろうにも「ジェームズ」が邪魔をするというスパイラルにはまって自ら作品世界をループしているのではないだろうか。
姉と弟、どちらかが完全に消えるまでの繰り返し、それこそがこのゲームなのかもしれない。

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