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光は常に正しく在り その⑱:舌を抜かれた吟遊詩人の呪いの詩

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ここに響くは呪(まじな)いの詩
舌を抜かれて 尚まだ響く
たった独りの夜の詩

ここに記すは闘いの詩
たったひとつのYesのための
ありとあらゆるNoの詩

仮面をかぶって出ておいで
それでもちゃんと解るから

吟遊詩人は唄いだす
誰も知らない詩を唄う
笑う者すらいなくなり
舌を抜かれて尚唄う
黒い太陽
滲む虹

吟遊詩人は唄いだす
誰にも知られず詩を唄う
たった独りの夜の中
涙にならないおまじない
横切る黒猫
咲いた花

おぉ 神よ
どうか私にこの詩を
最期の時まで唄う力を
命を賭して唄う力を
与え給え

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この国には法律がある。
「許された音楽以外、奏でてはいけない」という。

一度、その禁を破ると、その口唇から音符が聞こえる夜は二度と来ないだろう。ギロチンの刃がその首筋にキスをすることとなり、頭が胴体に永遠のさよならを告げてしまうのだから。

それが「禁歌法」という法律。

「おれたちは、居もしない神の下僕なんだよ」
きみはそんな言葉を笑うだろうか。

王様がこの街の太陽を黒くしてしまったあの日から、誰もが同じように振る舞うことを強いられ、誰もが同じ歌を口にする。ぼくにはそれが酷く気持ち悪い。

だから、お日様の色を変えに行ってくるよ。

「別に誰もそんなことは望んでいない」だって?
ははは、それはとうの昔からわかってるよ。

真っ暗な狭い街は、本当の想いを隠すから。草花の匂いは輪郭を失い、明るすぎるLED街灯が月明かりの風情を掻き消すにつれ、この目と頭はとても悪くなって、この心が持っていた大事なことも、いつしか忘れたふりをしていた。

あれから、たくさんの約束に縛られて、なりたくもない自分になって、気が付いたら霧の中にいるような世界になってしまった。

だから、ぼくは行かなくちゃ。
この鮮血で、太陽を真っ赤に染め上げてくるね。

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