カツカツの熱っ!
一応、仮にもIT系と呼ばれる業界の末席で働いている以上、これは無関係でもない話題だなぁと思った。
内容としては「ウェブカツ」というオンラインプログラミングスクールを運営しているかずきち氏(本名不明)が、自身が行った著作権侵害に関して開き直りの態度をとっているというものだ。
ブログ記事だけならまだしも、実際にはプログラミングスクールの教材にも著作権無視のコピペが多数見つかっているそうだ。
実は騒動以前から、きな臭い、山っ気の強いスクールだなぁと思ってはいた。
今では少々マシになったが、以前は"年収1,000万稼げる!"というキャッチコピーを前面に押し出し、収入に対するコンプレックスを刺激するアクの強い訴求を行っていた。
なお、月400人が新規会員として参加している、年収数億、といった事を述べているようだが、実態はない。
また、このスクールで学んでいた生徒が大幅に年収アップしたなども述べているが、スクールの実績として具体的なことは公表していない。
このスクールで学んでいる、という生徒のブログやツイッターは提灯記事ばかりだ。
なんとなくこの様子を見ていると、業界は違うが「美爪クリエイター」というネイリストの認定講師の件を思い出す。
あちらもなかなかにきな臭い商売だ、代表者とされる人間は過去にブログで札束の山を握りしめる写真をアップしていた。
今見てもなかなか脂っこい印象だ、今で言う半グレフロント企業の風合いを思わせる。
(あくまで印象の話です)
スクールが悪いとは言わないし、僕自身が専門学校出身なのでちょっと自嘲気味な話になるのだが、半年で60万円と時間を費やすのであれば、もっといい勉強法があるだろうと思ってしまう。
今のご時世、ちょっとお金を払えば質のいい教材というのは本屋でもwebでも手に入る。
例えばUdemyなんかで言えば、セールのタイミングを狙って買い漁れば60万円でかなりの量の教材が買える。
(日本語教材のみに絞れば全体の半数くらい買えるのでは無いだろうか)
これは想像でしかないが、大学ならまだしもオンラインスクール上がりのエンジニアが(フリーであっても)年収1,000万円というのは至難の技ではなかろうか。
例えば同じような分野で言えば、ディープラーニングのプログラミングがサクっとできてTOEIC800点代のデータサイエンティストで、初めて年収1000万が見えてくるのだ。
(ただしこれは又聞きで聞いた話なのでエビデンスはないし、個人差はある)
独学で技術を修める能力があるわけでもなく、年収コンプをくすぐる安っぽいキャッチコピーに釣られるような人間が、果たして年間1,000万円稼ぐことができるエンジニアになれるだろうか?
ここまで書いた時点で少なくとも僕はそう思っていないし、僕が知っている優秀なエンジニアは自分で考えて自分で動くので、誰かの提灯記事を書いたり徒党を組んだりはしようとしない。
さて、このスクールを経営しているかずきち氏だが、自身も金持ちアピールに事欠かない。
ランボルギーニ・ポルシェ・フェラーリを所持し(ていると発言し)、札束画像も度々Twitterで掲載している。
しかし合同会社ゼロワンは資本金が10万円しかなく雇用保険に加入していないことが判明している。
住所も、高級外車を数台所有する人間が居たら悪目立ちする程度にはのどかなファミリー住宅向けの立地だそうだ。
ポジショントークをするためにはまずポジションをとらなければいけない。
彼が必死に自己像を誇大化している理由はそこにある。
尤も、毎日毎日Twitterで周囲に威嚇ばかりしている彼の姿が、どれだけ大きく見えるかは、観測者に委ねられているが。
「ウェブカツ卒業生は採用しない」と明言する業界関係者も一部では散見される。
これに関しては、採用する側だけでなく働く側としても極めて重要な話題だ。
まず採用する側としてはウェブカツ卒業生を採用しないメリットは主にリスクヘッジだ。
コンプライアンス意識が希薄なスクールで学んでいる以上、改めて教育が必要になるだけでなく、問題が発生すれば法人へ責任が発展する。
また、ウェブカツ自体が反社会的勢力(半グレ)のフロント企業である可能性が否定できない。
もし反社であったとすれば、やはり法人として相当の信用力を失う。
働く側としては、ウェブカツ卒業生を雇う会社で働くことに大きなデメリットが有る。
まず採用に関して上記の話題を知らないということは、それだけ情報収集力が乏しい企業だ。
話題を知っていて雇うのであれば、金になるなら何でも良い、というイリーガルな意識の強い企業だ。
拝金主義というのは珍しくはない、特に営利組織の代表となれば利益追求も社会的存在意義に含まれてくる以上、その側面は強くなるだろう。
だが、そのために遵法精神を捨て去ってしまうというのは、少なくとも日本では受け入れられない精神性だろう。
とはいえ、一番の問題は、ウェブカツや美爪クリエイターが標榜する甘言に、ほいほい乗せられてしまう人間にあるのかも知れないが。
追記:法人による著作権侵害は個人のそれより重く、3億円以下の罰金が課せられます。
決して立ち小便、電泥のような軽犯罪と同程度ではありません。