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主人公になりたかった

僕がこんな見た目でこんな中身じゃなかったら、もっと人生を楽しめたのかな、なんて思うことがある。

まあ僕が格上だと思ってる人間にも悩みがあることはわかる。

最近では有名芸能人の自殺が多く報道され、僕からすれば、素敵な外見で生まれて人望もありそうなのになんで自殺なんてするだろう、なんて思ったが、彼ら彼女らにも人生を強制終了しなければならないような理由があったのだろう。

そんなことはさておき僕はクラスの中心になりたかったし、努力しなくてもあらゆることをこなしたかったし、ドラマみたいな恋をしてみたかった。

でもすべて叶わなかった。

特別努力をしたわけではないが、努力できることも才能である。

環境も才能もなかった僕は当然のように役名のないモブキャラとして生きていくしかなかった。

モブキャラはモブキャラでもいろいろと楽しめるよ、とみんな声を揃えて言うが、僕は主人公になりたかった。(というか俺よりも格上の人たちに言われても何も響かないよ)

この理想と現実のギャップに幾度となく押しつぶされて、今は何重にもなった殻に閉じこもって、ひたすら自分が傷つかないように日々過ごしている。

でもこんな生活にもとうとう限界が来たようで、なんの理由もなく研究室を休んでしまった。無断で。

僕は15時までしっかりと睡眠を取り、どこか遠くへ行くでもなく、最寄り駅付近をグルグルし、予約していた歯医者へと向かった。

その日の夜、研究室全体に向けて、無断欠席禁止令が出された。

僕がまたやってしまったらしい。

まあ明日怒られることを覚悟して、頑張って起きよう。

明日起きれるかな、もう3時だけど。

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