糖尿病治療薬の立ち位置図
経口糖尿病治療薬は7種類あります.
種類が多くて,特徴が頭の中でこんがらがりませんか?
これは私なりの糖尿病薬の立ち位置図です.
パラメータとして,肥満かやせか,空腹時高血糖か食後高血糖か,の2項目を使用しています.
実はこの図は,ガイドラインでよく見かける下図があまりにも見づらいので,見やすいイメージにしたものです.
インスリン抵抗性が高いことを肥満に置き換えて,評価を簡便にしています.
具体的な使用方法など,詳しい解説は下の記事でしております.
【余談】
上に載せた記事の内容は,2020/10/3に改訂したのですが,キモとなる"立ち位置図"を修正しました.
before
after
この際の修正点はいくつかあり,これを知ることは各薬剤の差別化の重要点にもなるので,解説します.
➀SGLT2阻害薬は食後高血糖改善にそこまで寄与しない
血糖が高い時に良く効く,という薬効から,SGLT2阻害薬は食後高血糖にも有効であると推測していましたが,CGM(持続血糖測定)で確認すると,血糖変動を抑える効果は乏しいとの報告をみたので,図右側にシフトさせました..
➁グリニドは肥満症例でも有効
SU薬同様のインスリン分泌促進薬なので,インスリン抵抗性の高い肥満症例ではあまり有効でない可能性がありましたが,"インスリン分泌タイミングを是正する"という作用は,インスリン抵抗性にそこまで左右されない,とされていることがわかったので,グリニドをやや上に拡張.
➂グリニドは空腹時血糖も少し低下させる可能性
これは,比較的新しいレパグリニド(シュアポスト®)の使用が,食後だけでなく空腹時の血糖少し下げるということから修正.グリニドを右側に少しだけ拡張.
➃ビグアナイドは,インスリン抵抗性の高い肥満症例で特に有効であるが,やせている症例では無効というわけでなく,実質的な第一選択薬である.ビグアナイドを下に拡張.
といったところなどが修正点です.