見出し画像

社労士試験 予備校では教えないポイント解説 vol.080

雇用保険法(8)

就職促進給付

今回は、失業者が再就職するのを援助・促進すること(しかも、少しでも早期に。この『早期に』という言葉を、今回は頭の片隅に置いておいてください。)を目的とする給付で『就業促進手当』『移転費』及び『求職活動支援費』の3種類です。今まで説明してきた求職者給付と違って支給要件が複雑なので、試験対策としては、支給要件を正確に理解することが大切です。
そして、このうち、『就業促進手当』は、失業者が再就職した場合に支給されるもので、常用労働者以外(つまり、短期アルバイト等)の者として再就職した受給資格者に支給される『就業手当』、常用労働者として再就職した受給資格者に支給される『再就職手当』『就業促進定着手当』、及び常用労働者として再就職した就職困難者である受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者又は日雇受給資格者に支給される『常用就職支度手当』から構成されています。
移転費と求職活動支援費は、就職活動のためにかかった交通費や子供を保育所に預けたときの保育所代の補助という意味合いです。
では、細かく見ていきましょう。

①就業手当

1)支給要件

就業手当は、受給資格者が再就職手当の対象とならない職業(つまり、短期アルバイト等)に就き、又は事業を開始した(常用雇用等以外の形態で就業した)場合であって、次のすべての要件を満たす場合に支給されます。
①就職日の前日における基本手当の支給残日数(所定給付日数から、同一の受給資格において、すでに基本手当の支給を受けた日数又は傷病手当、就業手当もしくは再就職手当の支給を受けたことにより基本手当の支給を受けたものとみなされた日数を差し引いた日数をいいます。)が、所定給付日数の3分の1以上、かつ45日以上であること。
※つまり、早期就職を応援するという制度趣旨です。
②受給資格に係る離職について離職理由による給付制限を受けた場合において、待機期間の満了後1箇月の期間については、公共職業安定所又は職業紹介事業者等の紹介により就職したものであること。
※就業手当狙いの不正を防ぐという意味もあります。
③受給資格の決定に係る求職の申込みをした日前に雇入れすることを約した事業主に雇用されたものでないこと。
※これも、事業主と申し合わせての就業手当の不正受給を防ぐという意味があります。(次の④も同じ。)
④離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと。
⑤待期期間の経過後に職業に就き、又は事業を開始したしたこと。
※③⑤について、言い回しで勘違いしやすいのですが、就業手当(次の再就職手当も同じ。)は、『待期期間中に雇入れを約した事業主』に雇用された場合は対象から除外されていませんので、上記の要件を満たす限り支給される場合があります。

2)支給額

就業手当は、現に職業に就いている日(当該職業に就かなかったこととした場合における基本手当の受給期間内に、基本手当の支給を受けることができることとなる日があるときに限ります。)について支給され、その額は、基本手当日額に10分の3を乗じて得た額となります。
※後述しますが、額は10分の3になるのに、扱いとしては、丸々1日分給付日数が減るので、就職活動の状況を見極めて『申請しない』という選択肢もありかと思います。制度としては就業手当がありますよ、ということです。

3)支給申請手続

就業手当の支給を受けようとする受給資格者(つまり、受けようとしなくてもいいということです。)は、失業の認定日に、就業手当支給申請書に、原則として受給資格者証を添えて(当該受給資格者が受給資格通知の交付を受けた場合にあっては、個人番号カードを提示して)管轄公共職業安定所の長に提出しなければなりませんが、当該失業の認定日に職業に就いている場合は、次の失業の認定日の前日までに提出しても差し支えありません。
※『就業していること』が前提の手当なので、特別な取り扱いがあるということです。

4)支給の効果

就業手当を受給したときは、当該就業手当を受給した日数に相当する日数分の基本手当を支給したものとみなされます。
※支給額に比例して『10分の3日分』ずつ減っていくわけではありません。『丸々1日分』ずつ減るということです。

②再就職手当及び就業促進定着手当

これも、早期就職を支援するための手当です。

1)再就職手当

1.支給要件

再就職手当は、受給資格者が1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる安定した職業に就き、又は事業(当該事業により当該受給資格者が自立することができると公共職業安定所長が認めたものに限ります。ただし、雇用保険の適用事業主である必要はありません。)を開始した場合であって、次のすべての要件を満たす場合に支給されます。
①就業日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であること。
※就業手当と違って『支給残日数が45日以上』という条件はありません。おそらく、試験で狙われるところですので注意です。
②受給資格に係る就職について離職理由による給付制限を受けた場合において、待期期間の満了後1箇月の期間については、公共職業安定所又は職業紹介事業者等の紹介により職業に就いたこと。
③受給資格の決定に係る求職の申込みをした日前に雇入れすることを約した事業主に雇用されたものでないこと。
④離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと。
※離職前の事業主に再び雇用された場合、後の記事で説明する『雇用継続給付』の対象となる場合があります。
⑤待期期間の経過後に職業に就き、又は事業を開始したこと。
⑥就職日前3年以内の就職について就業促進手当(再就職手当、就業促進定着手当、常用就職支援手当に限り、就業手当は除きます。)の支給を受けていないこと。
※就業手当が除かれているのは、1日の支給額が10分の3なのに給付日数が1日分減らされることとの引き替えというイメージです。(※筆者の推測です。どこにもこのような記載はありません。)また、『就職日前3年以内』なのであって、『被保険者期間が3年』必要なわけではないことに注意です。
⑦同一の就職について高年齢再就職給付金の支給を受けていないこと。
※また、逆に、高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が、同一の就職につき再就職手当の支給を受けた場合には、高年齢再就職給付金は支給されません。同じ趣旨の給付金は二重には支給されないということです。ただ、規定ではこうなっていますが、さすがに公共職業安定所で手続きをする際に、窓口の職員が気が付くとは思いますが。。。

2支給額

再就職手当の額は、基本手当日額に支給残日数に相当する日数に10分の6を乗じて得た額になります。ただし、その職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の2以上であるもの(『早期再就職者』といいます。)にあっては、10分の7を乗じて得た額となります。
※上記規定を見たら、早期再就職者が得なような感じがしますが、次の『就職促進定着手当』では、早期再就職者が10分の3で、早期再就職者ではない者が10分の4となっているので、就職促進定着手当まで受給すれば、結局、すでに受け取った基本手当を含めて、すべての受給資格者は満額受給することになります。(ただし、就業手当を受給した場合は、その部分が10分の3になります。)ただ、早期に再就職すれば、当然、賃金がもらえますので、その方がいいことには違いありませんが。。。筆者は、今回の規定を学習した際に『朝三暮四』という四文字熟語が頭に浮かびました(笑)。

3.受給手続

再就職手当の支給を受けようとする者は、安定した職業に就いた日の翌日から起算して1箇月以内に、再就職手当支給申請書に、原則として受給資格者証を添えて(当該受給資格者が受給資格通知の交付を受けた場合にあっては、個人番号カードを提示して)管轄公共職業安定所の長に提出しなければなりません。

4.受給の効果

再就職手当が支給されたときは、当該再就職手当の額を基本手当日額で除して得た日額に相当する日数分の基本手当が支給されたものとみなされます。
※受給額が、基本手当日額✕残日数✕10分の6(早期再就職者は10分の7)ということを逆から見た規定です。つまり、残日数の10分の6(早期再就職者は10分の7)支給されたものとみなされます。まったく当たり前の話ですが、この規定の意義は、もし再就職手当の支給を受けて就業した者が新たな受給資格等を取得することなく(つまり、すぐに)再び失業した場合には、受給期間内において基本手当の支給残日数からこの『基本手当が支給したとみなされた』日数分を差し引いた日数分の基本手当の支給が行われるというところにあります。つまり、基本手当の受給権が残っているということです。
※今回以降も『受給の効果』等、『効果』という文言が出てきますが、効果とは『生活が助かった。』という個人的・主観的なことではなく『法律上の効果』という意味です。

2)就業促進定着手当

※再就職後の6箇月の賃金が離職前6箇月の賃金より下がった場合に一定の額を上限として補助することにより、多少賃金が下がるような転職であっても早期(少なくとも基本手当の支給残日数が3分の1以上ある状態)に再就職してもらおう(つまり、就業を促進する)という趣旨の手当です。ただし、賃金には賞与も含まれますので、ほぼ全員が受給できることになるかと思います。

1.支給要件

就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた者(前項①~⑦の要件をすべて満たす受給資格者)が当該再就職手当の支給に係る同一事業主の適用事業にその職業に就いた日から引き続いて6箇月以上雇用された場合であって、その職業に就いた日から6箇月間に支払われた賃金を雇用保険法17条に規定する賃金とみなして算定されることとなる賃金日額に相当する額(以下『みなし賃金日額』といいます。※基本手当日額の基礎となる賃金日額ではなく、その算定方法(6箇月の賃金総額÷180)に準じて算定した日額なので『みなし』が付きます。)が当該再就職手当に係る基本手当日額の算定の基礎となった賃金日額(以下『算定基礎賃金日額』といいます。)を下回ったときに支給されます。

2.支給額

就業促進定着手当の額は、
(離職前の)『算定基礎賃金日額』から(再就職後の)『みなし賃金日額』を減じて(つまり、離職前より下がった賃金1日分を算定します。)得た額に同一事業主の適用事業(つまり、再就職後も雇用保険に入っていることが条件ということです。)にその職業に就いた日から引き続いて雇用された6箇月間のうち賃金の支払基礎となった日数を乗じて得た額(※算定基礎賃金日額は180で除すのですが、再就職後の6箇月が、31日まである月や2月が含まれるので、ぴったり180日にはならないので、労働者有利な規定としているわけです。)
ですが、再就職手当に係る基本手当日額に就職日前日における支給残日数に相当する日数に10分の4(早期再就職者にあっては、10分の3)を乗じて得た額が限度となります。

3.受給手続

就業促進定着手当の支給を受けようとする受給資格者は、再就職手当の支給に係る職業に就いた日から起算して6箇月目に当たる日の翌日から起算して2箇月以内に、就業促進定着手当支給申請書に、原則として受給資格者証を添えて(当該受給資格者が受給資格通知の交付を受けた場合にあっては、個人番号カードをを提示して)管轄公共職業安定所の長に提出しなければなりません。

4.支給の効果

就業促進定着手当が支給されたときは、当該就業促進定着手当の額を基本手当日額で除した日額に相当する日数分の基本手当が支給されたものとみなされます。

③常用就職支度手当

常用就職支度手当は『支度』という名称が入っている通り、特例的な『支度金』というイメージで、再就職手当や就職促進定着手当よりも手厚い保護の必要な『就職が困難な者として厚生労働省令で定めるもの』が対象の手当です。この『厚生労働省令で定めるもの』とは、
・所定給付日数の項目で述べた『就職困難な者(障害者等)』
・45歳以上の受給資格者であって、労働施策総合推進法の規定による公共職業安定所長の認定を受けた再就職援助計画に係る『援助対象労働者』
・高年齢者雇用安定法に規定する『求職活動支援書等の対象となる者に該当するもの』
などとなっています。

1)支給要件

常用支援支度手当は、受給資格者(当該職業に就いた日の前日における基本手当の残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の1未満(つまり、再就職手当の対象とならない)である者に限ります。)、高年齢受給資格者(高年齢求職者給付の支給を受けた者であって、当該高年齢受給資格に係る離職の日の翌日から起算して1年を経過していないものを含み(以下、③④⑤について同じ。)※つまり、当該受給資格に係る受給期間中である者ということです。次の特例受給資格者につき同じ。)、特例受給資格者(特例一時金の支給を受けた者であって、当該特例受給資格に係る離職の日の翌日から起算して6箇月を経過していないものを含み(以下、③④⑤において同じ。))又は日雇受給資格者であって、身体障害者その他の就職が困難な者として厚生労働省令で定めるものが、1年以上引き続き雇用されることが確実であると認められる安定した職業に就いた場合であって、次のすべての要件を満たす場合に支給されます。
①公共職業安定所又は職業紹介事業者等の紹介により職業に就いたこと。
※『知人の紹介』ではダメってことです。不正受給防止が目的です。
②給付制限を受ける者については、給付制限の期間が経過した後に職業に就いたこと。
※前にも説明しましたが、給付制限期間というのは不正受給防止のため絶対的なものです。ただし、就職が困難と思われる者等に対する公共職業訓練等を受けるために給付制限が解除される場合があります。
③離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと。
※事業主と示し合わせての不正受給を防止するためです。
④待期期間の経過後に職業に就いたこと。
※待期期間に再就職できるということは、離職前に就職が決まっていたと推測されるため。
⑤就職日前(✕離職日前)3年以内の就職について就業促進手当(就業手当を除く。※支給額が基本手当額の10分の3であるため。)の支給を受けたことがないこと。
※頻繁な離職をしていないということです。

2)支給額
常用就職支度手当の額は、原則として、以下の通りです。
なお、下記の『基本手当日額等』とは、
・一般の受給資格者…基本手当日額
・高年齢受給資格者…その者を30歳未満である基本手当の受給資格者とみなして算定した場合における(最低・最高限度額を適用した後の)基本手当の日額
・特例受給資格者…その者を基本手当の受給資格者とみなして算定した場合における基本手当の日額
・日雇受給資格者…日雇労働求職者給付金の日額
をいいます。
①(原則)支給残日数90日以上の受給資格者(給付残日数が3分の1未満であることが支給要件なので、元々の給付日数が300日以上でなければなりません。※270日だと90日は、ぴったり3分の1で『未満』とはなりません。)、高年齢受給資格者、特例受給資格者及び日雇受給資格者…基本手当日額等✕(90✕40%)
※つまり基本手当36日分です。
②支給残日数45日以上90日未満の受給資格者…基本手当日額✕(支給残日数✕40%)
③支給残日数45日未満の受給資格者…基本手当日額✕(45✕40%)
※つまり、基本手当18日分というのが最低保障されているということです。
(特例)所定給付日数が270日以上の受給資格者…支給残日数にかかわらず、基本手当日額✕(90✕40%)
※原則としての①で『3分の1未満が90日以上』という条件で除外される『所定給付日数270日の受給資格者』を救済する規定です。ここを『3分の1以下』とするには、他の規定との関わりで困難なために特例として規定されたというイメージです。(筆者の推定です。)

3)受給手続

常用就職支度手当の支給を受けようとする者は、安定した職業に就いた日の翌日から起算して1箇月以内(他の手当よりも期間が短いので注意です。)に、常用就職支度手当支給申請書に、原則として受給資格者証、高年齢受給資格者証、特例受給資格者証又は日雇労働被保険者手帳(以下、『受給資格者証等』といいます。)を添えて(受給資格者、高年齢受給資格者又は特例受給資格者がそれぞれ受給資格通知、高年齢受給資格通知又は特例受給資格通知(以下、『受給資格通知等』といいます。)の交付を受けた場合にあっては、個人番号カードを提示して)管轄公共職業安定所の長(日雇受給資格者にあっては安定した職業に係る事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長 ※日雇労働被保険者は、原則、『その者の選択した』公共職業安定所となるため、特例規定ということです。どこでもいいというわけではない。。。ということです。)に提出しなければなりません。

④移転費

1)支給要件

移転費は、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、移転料(引っ越し業者に支払う代金)、及び着後手当(赴任後の一時的な宿泊代等)から構成され、次のいずれにも該当するときに支給されます。
①受給資格者等が公共職業安定所、特定地方公共団体若しくは職業紹介事業者(一定の事由により職業紹介事業の全部又は一部の停止を命じられている者等を除く。以下、④において同じ。)の紹介した職業に就くため、又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その住所又は居所を変更すること。
②待期及び給付制限期間(離職理由による給付制限期間を除く)が経過した後に就職し、又は公共職業訓練等を受けることになった場合であって、管轄公共職業安定所の長が住所又は居所の変更を必要と認めたこと。
③就職準備金その他移転に要する費用(就職支度金)が就職先の事業主、訓練等施設の長その他の者から支給されないか、又はその支給額が移転費の額に満たないこと(※差額支給となります。)。
④その者の雇用期間が1年未満でないこと。
【鉄道賃、船賃、航空賃、車賃及び移転費の額】
移転費の支給を受けることができる者及びその者が随伴する親族について、その旧居住地から新居住地までの順路によって計算した額が支給されます。
【着後手当の額】
移転費の支給要件に該当する限り鉄道賃等とともに支給され、その額は、親族を随伴する場合は76,000円(鉄道賃の額の計算の基礎となる距離が100キロメートル以上である場合は95,000円)、親族を随伴しない場合は38,000円(同、47,500円)です。
※つまり、単身だと半額ということです。

2)受給手続

移転費の支給を受けようとする受給資格者等は、移転の日の翌日から起算して1箇月以内に、移転費支給申請書に、原則として受給資格者証を添えて(受給資格通知等の交付を受けた場合にあっては、個人番号カードを提示して)管轄公共職業安定所の長に提出しなければなりません。

3)返還

移転費の支給を受けた受給資格者等は、次の場合には、その事実が確定した日の翌日から起算して10日以内に移転費を支給した公共職業安定所長にその旨を届け出るとともに、その支給を受けた移転費に相当する額を返還しなければなりません。
①公共職業安定所、特定地方公共団体又は職業紹介事業者の紹介した職業に就かなかったとき
②公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けなかったとき
※至極当たり前の規定です。。。

⑤求職活動支援費

求職活動支援費は、受給資格者が求職活動に伴い次の①~③のいずれかに該当する行為をする場合において、公共職業安定所長が必要であると認めたときに支給されます。
①公共職業安定所の紹介による広範囲の地域にわたる求職活動(広域求職活動費…鉄道賃等及び宿泊料)
②公共職業安定所の職業指導に従って行う職業に関する教育訓練の受講その他の活動(短期訓練受講費…入学料及び受講料)
③求職活動を容易にするための役務の利用(求職活動関係役務利用費…保育料 ※女性には限定されていません。)

1)広域求職活動費

1.支給要件

広域求職活動費は、受給資格者等が公共職業安定所(✕特定地方公共団体、✕職業紹介事業者。公共職業安定所限定です。)の紹介により広範囲の地域にわたる求職活動(『広域求職活動』といいます。)をする場合であって、次のいずれにも該当するときに支給されます。
①待期期間又は給付制限期間(離職理由による給付制限期間を除く。 ※つまり、不正受給による給付制限、及び就職拒否による給付制限期間となります。)が経過した後に広域求職活動を開始したとき。
※職業安定所が離職理由による給付制限期間中であることは承知で広域求職活動を指示しているので『除く』となっています。
②広域求職活動に要する費用(『求職活動費』という)が広域求職活動のために訪問する事業所の事業主から支給されないとき、又はその支給額が広域求職活動費の額に満たないとき(差額支給となります。)。
【広域求職活動費の種類】
広域求職活動費の種類は、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃及び宿泊料であり、その支給額は、宿泊料を除き、管轄公共職業安定所の所在地から訪問事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の所在地までの順路によって計算されます。
※つまり、公共職業安定所間の順路であって、その者の住所地又は居所地から訪問先の事業所間ではないことに注意です。
なお、宿泊料は、1宿泊数につき8,700円(一定の場合は7,800円)です。

2.受給手続

広域求職活動費の支給を受けようとする受給資格者等は、公共職業安定所の指示による広域求職活動を終了した日の翌日から起算して10日以内に、求職活動支援費(広域活動費)支給申請書に、原則として受給資格者証等を添えて(受給資格通知等の交付を受けた場合にあっては、個人番号カードを提示して)管轄公共職業安定所の長に提出しなければなりません。

2)短期訓練受講費

1.支給要件

短期訓練受講費は、受給資格者等が公共職業安定所の職業指導により再就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合(待期期間経過後に当該教育訓練を開始した場合に限ります。※待期期間中は、失業給付はもちろん、求職活動支援費も支給されないということです。)において、当該教育訓練の受講のために支払った費用(入学料及び受講料に限ります。※キャリアコンサルタント料が入らないことは、次回の記事で説明する教育訓練給付との比較で注意が必要です。)について教育訓練給付金の支給を受けていないときに支給されます。
【支給額】
受給資格者等が教育訓練の受講のために支払った費用の額に100分の20を乗じて得た額(10万円を上限とします。※短期訓練で50万円を超える受講料の教育訓練はなかなかないとは思いますが。。。)です。100分の20と乗率が低いのは、そもそも資格や技術は、その受講者自身と不可分一体となるものですので、多額の給付は、他の教育訓練給付金やそもそもの学校教育に係る費用負担とのバランスが悪いからです。

2.受給手続

短期訓練受講費の支給を受けようとする受給資格者等は、当該短期訓練受講費の支給に係る教育訓練を修了した日の翌日から起算して1箇月以内(✕10日以内)に、求職活動支援費(短期訓練受講費)申請書に、原則として受給資格者証等を添えて(受給資格者、高年齢受給資格者又は特例受給資格者がそれぞれ受給資格通知、高年齢受給資格通知又は特例受給資格通知の交付を受けた場合にあっては、個人番号カードを提示して ※日雇受給資格者は手帳で証明手続きをするので通知はありません。)管轄公共職業安定所の長に提出しなければなりません。

3.求職活動関係役務利用費

1.支給要件

求職活動関係役務利用費は、受給資格者等が求人者と面積等をし、又は求職活動関係役務利用費対象訓練を受講するため、その子に関して、次に掲げる役務(『保育等サービス』といいます。)を利用する場合(待期期間経過後に保育等サービスを利用する場合に限ります。)に支給されます。
①保育所、認定こども園又は家庭的保育事業等における保育
②子ども・子育て支援法の規定による時間外保育、一時預かり事業等における保育
③①②に掲げる役務に準ずるものとして職業安定所長が定めるもの
※女性には限定されていません。。。というのは承知していても、本試験では、『母親が』などと書かれていても深く考えずに○としてまうので、注意が必要です。もちろん『実子』にも限定されていません。
【支給額】
受給資格者等が保育等サービスの利用のために負担した費用の額(1日当たり8,000円を限度とし、次の①、②の区分に応じ、それぞれ①、②に掲げる日数を限度とします。)に100分の80を乗じて得た額です。
※つまり、給付金としては、8,000円✕0.8=6,400円が1日当たりの限度額となります。
①求人者との面積等をした日…15日
②求職活動関係役務利用費対象訓練を受講した日…60日
【求職活動関係役務利用費対象訓】
・教育訓練給付金(※次回の記事で説明します。)の支給に係る教育訓練
・短期訓練受講費の支給に係る教育訓練
・公共職業訓練等
・求職者支援法に規定する認定職業訓練

2.受給手続

求職活動関係役務利用費の支給を受けようとする受給資格者は、失業の認定の対象となる日について、当該失業の認定を受ける日(つまり、『役務利用日=求職活動をした日』ということを念頭に置いています。)に、求職活動支援費(求職活動関係役務利用費)支給申請書に、原則として受給資格者証等を添えて(受給資格者通知等の交付を受けた場合にあっては、個人番号カードを提示して)管轄公共職業安定所の長に提出しなければなりません。ただし、高年齢受給資格者、特例受給資格者又は日雇受給資格者については、(『認定日』というものがないので)求職活動関係役務利用費の支給に係る保育サービスの利用をした日の翌日から起算して4箇月以内(✕10日以内、✕1箇月以内)に提出するものとされています。
※多分、試験に出題されるとすると、この日数の違いだと思います。ここで、『14日以内』とか『2箇月以内』という『わざわざ作ったダミー』は、受験生がすぐに✕と気付くので、ダミーとしては、『10日以内』か『1箇月以内』ということになるかと思います。前にも説明しましたが、『受験生の多くが正答してしまう問題』というのは、『予備校の確認問題』としてはありですが、得点差が付かないというのは、『国家試験』としては適正な問題ではないので、そういう問題や選択肢は出題されにくいかと思います。(※筆者の意見です。)

いいなと思ったら応援しよう!