「悩んだ時に無料で医療者に質問できるアプリ」を開発中
私は医師になって今春で17年目になります。
これまで主に「医師や医学生」を対象に教育活動として勉強会や講演会、執筆活動、書籍の出版など数多く行っており、ZOOMでの勉強会は毎月開催しています。
こうした活動の根底にあるものは、私個人で外来や入院で直接関われる患者さんの数は数えるくらいですが、医学生や研修医に教えたり、書いた本を読んだ医師が患者さんを診療するときに役立つことがあれば、間接的ではありますが、それも医療への貢献であり、その教育の広がりに大きな可能性と魅力を感じているためです。
ただ、自分が医師として研鑽を積み、成長する一方で、後ろを振り返ると多くの一般の方に対しては何もできておらず、何も変わっていない、置き去りにしてしまっている感覚をもつようになりました。
そこで近年は「一般の方」を対象にした活動をしたいと思うようになり、文字だと読まない人でも映像であれば見るだろうと考えてYouTube動画製作をしたり、Facebookグループでの医療相談を始めました。
YouTube動画のコメント欄には連日のように悩み相談のメッセージが届きます。私にとっては大した問題ではなくとも、悩んでいる人にとってはとても大きな問題で、何か怖い病気なのか、病院を受診するべきか、何科を受診したらよいか、すぐに受診したらよいか真剣に悩んでいる人もいます。
実際自分でそうした悩みに応えるうちに、気がついたこともあります。
「病院にくる人だけが、症状に対して悩みや不安をもっている訳ではなく、病院にくる人はごく一部」
「患者さんのリアルな悩みに応えることは、医療者としてもとても勉強(材料)になる」
「なんてことのない悩みでも解決すると喜んでもらえるし、同じように嬉しい」
「医療者の少しの余裕があれば、わざわざ病院を受診したりせず、救われる人もいる」
そうした気づきから「医療者にいつでも質問できるサイトがあれば」と思うようになりました。
コロナ禍にあって、病院を受診することができずに不安はさらに高まってきていると感じますし、遠隔診療への機運も高まってきていますが、有料のサービスではなく、無料でできないだろうかと考えて、現在アプリを製作しています。
簡単にいえば「Yahoo知恵袋の医療版」ですが、回答者を医療者に限定していますし、機能もずっと優れたものになっています。詳しいモデルはここでは説明しませんが、回答者は医療従事者限定としています。
ラインなどの有料版のサービスでさえ、回答の質が良くないと一時期問題となっていましたので、もちろん無料版であれば質はさらに下がりますが、ストレス社会に加えてコロナで不安を抱えるたくさんの人の少しでも助けになればと思っています。
自分でネットから情報をとってきたり、近くに相談できる医療者がいる人には「こんなの役に立たない」と思われると思いますが、ネットから情報もとれず、近くに医療相談できる人がいなくて「医療者に無料で相談したい」と思うような人にとっては少しの助けになるのでははないか、そうした人はとても多いのではないかと思っています。
「役に立った」いう人が少しでもいれば、その方達に価値あるものであれば意味あるものだと個人的に考えています。大袈裟かもしれませんが、利用者が増えて医療インフラの底上げになれればこんなに嬉しいことはありません。
ビジネス度外視で思いだけで製作を進めてきましたが、興味のある医療関係者、企業の方がいらしたらご連絡お待ちしております。
私としては、沢山の人に興味をもって使っていただいたらそれで満足なんです。