3/16開催【ドコモベンチャーズセミナー】D2C&Co.コラボ企画 D2Cビジネスの今をセミナー&ピッチでお届け
皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2023年03月16日(木)に行ったイベント、
【ドコモベンチャーズセミナー】D2C&Co.コラボ企画 D2Cビジネスの今をセミナー&ピッチでお届け
についてレポートしていきたいと思います!
本イベントは、丸井グループのCVCであるD2C&Co.社とのコラボ企画です。D2Cに関するセミナー&D2C関連スタートアップのピッチをコンパクトにお届けしました!
前半部分では、D2C&Co.社の竹下様にD2Cのビジネスモデルやエコシステムについてお話していただき、後半はD2C分野で活躍するスタートアップを2社お招きしピッチしていただきました。
D2Cに関心のある方
D2Cへの投資をご検討されている方
D2Cビジネスに関わっている方
新規事業、オープンイノベーション等をご検討されている方
最新のサービストレンド、テクノロジートレンドに興味のある方
にぜひお読みいただきたい内容となっております!
以下、セミナーと各スタートアップにピッチをしていただいた内容をご紹介します!
■株式会社丸井グループ/D2C&Co.株式会社
<共創投資部 共創投資1担当課長 竹下 萌様>
<プロフィール>
1987年広島市生まれ。2009年丸井グループ入社。
婦人靴の販売にはじまり、ビジネスモデル変革、コーポレートファイナンス、IR、人材開発、商業不動産開発などを担当。
2020年から2年間、社員数30人・外国人比率6割のスタートアップに出向し、資金調達・IR・法務・人事労務などのバックオフィス業務をひとりで担当。
2022年4月より現職およびグループの新規事業創出会社okosにてボディポジティブ事業部を兼任。
NPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン理事。ハーバード大学で教えられている社会課題解決のメソッドを伝えるコーチとしても活動中。
・丸井グループの共創投資について
丸井グループの共創投資部には、さまざまな事業経験者が27名在籍しており、多様性を活かしながら価値創造を推進しています。メンバーには若手や女性社員も多く在籍している特徴があります。
丸井グループは小売、フィンテック一体の独自のビジネスモデルを展開しています。小売事業では関東を中心に東海・関西・九州に計22店舗を構えており、ファッションだけでなく飲食・サービスなど体験を提供する店として、場所を貸出し提供しています。フィンテック事業では、クレジットカードであるエポスカードを展開し、2つの事業を通して顧客の体験・利用と決済方法を一貫して提供するという特徴を持ちます。
そんな丸井グループは2030年に向けてサステナビリティ、ウェルビーイングに関わる以下の3つのインパクトを掲げています。
具体的な内容は以下のスライドのように定められています。
丸井グループはこのような目標を達成する上で、場所や決済方法・顧客チャネルを提供することができる一方で、コンテンツを持っていません。そこで、スタートアップと協力することで、3つの目標を達成することを目指しています。
そのため、丸井グループでは、小売事業・フィンテック事業(金融)に加えて、未来投資(共創投資+新規事業投資)を合わせた、三位一体のビジネスモデルを展開し、オープンイノベーションを強化しています。実際、2022年6月時点において、丸井グループ34社、D2C&Co.11社の計43社に出資しています。
丸井グループは、丸井グループが目指す未来を共に作ることを目的に出資をし、資金の提供だけにとどまらず、さまざまなアプローチでスタートアップと連携しています。
事業連携を行っているスタートアップとは、丸井グループに所属する事業会社の関係部門から人をアサインし、どのようにすればオープンイノベーションが実現できるかを、成果も含めてコミットします。これは「共創チーム」と呼ばれ役員直轄で活動しています。
・なぜD2Cにコミットするのか
D2C&Co.社は2020年に丸井グループの子会社として設立された、D2Cのエコシステム発展に貢献する会社です。
従来の伝統的なブランドは、消費者に製品・サービスを届けるために、広告や小売店を介していました。しかし、テクノロジーの発展によりブランドを運営する企業は消費者と直接つながることができるようになりました。
D2Cブランドには、
といった特徴があります。
丸井グループには「若い世代と関係性を築いていきたい」という会社の方向性があり、このような特徴をもつD2Cブランドに注目しています。
・百貨店型から駅ビル型へのビジネスモデルの転換
丸井グループのビジネスモデルの転換もきっかけとなり、D2Cにより注目するようになりました。
丸井グループでは、2016年ごろから売上から手数料を徴収する従来の百貨店モデルから、場所を貸し出し家賃を得るモデルへと転換しています。
従来のモデルでは、お客様に提供できるのは、物販が中心のモノを販売するブランドに限られてしまいました。しかしインターネットの発展により、モノはネットショッピングで購入することができるようになりました。
そこで、ビジネスモデルを転換し、リアル店舗ならではの、体験を提供するテナントでも出店できるようにしました。
そんな中、D2Cブランドを運営している企業はユーザーとコミュニケーションがとれるリアルな場所を求めていることが分かりました。
このように
といった背景から、丸井グループではD2Cブランドの支援に力を入れていくようになりました。
現状では体験提供型のテナント導入が34%まで拡大しており、5年後には60%以上が体験を提供する店舗へ転換していくことを目指しているそうです。
D2C&Co.では、丸井グループのアセットを活用し、D2Cの商品に限らずECや物流、決済なども含めた、D2Cエコシステムの発展に貢献することをミッションとしています。
・D2C&Co.社の事業内容
このような世界観のもとで、D2C&Co.社では以下の3つの事業を行っています。
・D2C業界の状況
D2Cそのものが最初に誕生したのはアメリカです。D2Cモデルそのものは2016年〜2017年頃に大きな注目を集めました。そして、2022年にはアメリカのD2C市場規模は成長こそ鈍化しているものの引き続き成長しています。
また、アディダスやディズニーなどの既存のブランド企業が、アプリやサブスクリプションサービスを通じてD2C領域に参入しシェアを拡大していることも、D2C市場が成長する要因となっています。
一方で、上場したDNB(デジタル ネイティブ ブランド)企業は苦戦を強いられており、2022年に入ると株価が急落傾向になったこともありました。
このような背景をきっかけにアメリカでは、
といった動きが起こっています。
そのような状況の中でも着実に成長しているD2Cブランドもあります。
・オンラインとオフラインの両立
ブランドの体験がオンラインとオフラインの両方で一貫して提供できるブランドは厳しい競争環境の中でも引き続き成長していると竹下様は言います。
セミナーでは、その事例としてAlo Yogaの事例を紹介していただきました。
Alo Yogaでは
といった特徴があり、顧客に対してオンラインとオフラインの両方で価値提供できる仕組みが構築されています。そのような仕組みで顧客と「濃密」なつながりを築いていくことがD2Cブランドにとって重要なポイントとなります。
・国内D2Cの状況
次に、国内のD2Cの状況についてご紹介していただきました。
国内の市場規模については、2019年に2兆円に到達しており、2025年には3兆円を超えると推計されています。
また、事業者数については2019年→2021年で55%伸びており、竹下様によると小さな事業者が参入し、この中には自社ブランドを展開する事業者も含まれるのではないかと推測しています。
スタートアップにフォーカスしてみると全体の4割をシード期のスタートアップが占めており、さらに2割をシリーズAのスタートアップが占めるなど、国内D2Cの市場ではシリーズA以下が約6割を占めています。
D2C企業の設立数については、D2Cが話題になった2016年~2018年頃に多くの企業が設立され、その後減少し2022年にはピーク時の1割以下となっています。D2Cは一時的なブームと思われるかもしれませんが、2016年~2018年頃に設立されたD2C企業が、2021年~2023年に資金調達を実施していることも確認できます。
竹下様はこの状況をふまえて、D2C市場の現状について
の2つが影響しているのではないかとしています。
これまではオンラインのマーケティングで成長することができましたが、法律規制によってオンライン上でのマーケティングに制限が掛かるようになり、D2C領域の環境が変化しました。
竹下様は、このような状況の中で、D2Cブランドを拡大していくためには、独自のビジネスやコミュニケーションが重要なポイントになっていくと仰っていました。
次に、各スタートアップにピッチをしていただいた内容をご紹介します!
■1社目:株式会社ライスカレー
1社目は、ライスカレー 大久保様にご登壇いただきました!
<株式会社ライスカレー 代表取締役 大久保 遼様>
・ライスカレー社の事業内容
ライスカレー社はコミュニティに関連したさまざまな事業を展開しています。
そんなライスカレー社のミッションは「誰もが、ありのままに一歩踏み出せる場所づくりを」です。そして、場所づくりの手段としてコミュニティをテーマに掲げています。
ライスカレー社にとってのコミュニティは、SNS上で共通の価値観を持って集まるなどして後天的に生まれたコミュニティです。自分の意思で参加できるコミュニティをたくさん作ることで、さまざまな人の居場所をつくることを目指しています。
コミュニティを生み出す主体はさまざまです。
これまではマスメディアに主導権があり、ウェブメディアへと移行していきました。近年ではソーシャルメディアといった個人・共通の価値観をもつコミュニティに主体が移動しました。
コマースやマーケティング業界においても個人・コミュニティが主導の社会を形成しており、場所づくりとしてのコミュニティ運営のニーズが高まっているのではないかと言います。
・コミュニティプラットフォーム
従来のD2C企業は自社のブランドを運営することが一般的ですが、ライスカレー社はそれだけではなく、マーケティングを中心にBtoBで顧客に価値提供するなど、コミュニティに関連したさまざまなサービスを総合的に提供しています。
ライスカレー社は実際にコミュニティコマースとして
を運営していますし、自社ツールとしてコミュニティデータの管理プラットフォーム「CCX cloud」も提供しています。
・コミュニティ主権のフレームワーク「FOCUSモデル」
ライスカレー社はコミュニティの定義として、独自の「FOCUSモデル」を構築しています。
役割を段階的にモデル化することで、コミュニティ構造をとらえています。
このフレームワークを活用し、中心となる価値感や、運営する人、貢献者などを可視化しながらブランドを構築しているそうです。
・バリューチェーンを統合して管理する
ライスカレー社は、toC事業とtoB事業のどちらも手掛けています。両方を手掛けることで、データ管理の実現とバリューチェーンを統合してコミュニティブランドを支えることができます。統合されたバリューチェーンを活用し、ブランドを展開することでより効率的にブランドを育てていくことができます。
今後はM&Aなどを通じてバリューチェーンを拡大し、経済圏となるコミュニティブランドをたくさん構築していきたいと、大久保様は仰っていました。また、複数の経済圏となったそれぞれのコミュニティを抱えることで、共通のインフラや、シナジーが生まれることも期待できます。
複数の中規模ブランドのサステナブルなコミュニティを創造し、ツールとして支え、新しい社会の在り方の先駆者を目指していく、と今後の目標についても語っていただきました。
■2社目:株式会社COUNTERWORKS
2社目は、COUNTERWORKS 薮本様にご登壇いただきました!
<株式会社COUNTERWORKS COO/CFO 薮本祐介様>
・COUNTERWORKS社の事業内容
COUNTERWORKS社は、「意志ある人と、自由をつくる」をビジョンに掲げています。
薮本様によると、不動産のやりとりが固定的で柔軟性が低く、難しいマーケットになっているのではないかと言います。
商業不動産全体の市場規模23兆円のうち、店舗等の賃貸事業の市場規模は10兆円ほどあります。
しかし、商いと不動産の間にはまだまだ多くの摩擦が存在します。
商業施設や商業ビル・店舗不動産の情報が出店者の元に届いておらず、円滑な取引がまだまだ実現できていないと言います。
COUNTERWORKS社は、不動産の情報が隠されている・不透明であるといった情報の非対称性の課題解決に取り組んでいます。
情報流通のよどみ・不透明性・非対称性といったところを可視化することで、借りたい人に適切な情報が届く仕組みをつくり、商業不動産全体が活性化した未来を描いています。
・貸し手の課題=空室増加への打ち手不足
小売の販売額は30年ほど横ばいの状況が続いています。一方、EC化率が上昇しており、リアル店舗での売上が停滞しています。それに伴い、既存小売事業者の平均的な収支が悪化し、商業不動産への出店意欲が低減しています。
一方でこれまでオンラインで事業を展開してきたEC事業者は、リアルな場でのユーザーとのタッチポイントを必要としています。
これまでの小売事業者によるリアル店舗のニーズが減少する一方で、店舗を必要とする新しい小売事業者は増えているという状況です。
・借り手の課題=属人的な情報流通
新しく、リアル店舗を借りたい小売事業者にとって
といった課題があります。
新しいプレイヤーは、借りたいけど必要な情報がなく借りられないといった状況にあります。
このような情報の不透明性や非対称性を解消するためにCOUNTERWORKS社では「すべての商業不動産をデジタル化し、商いの新たなインフラをつくる。」を掲げ
の2つの事業を展開しています。
・SHOPCOUNTERについて
SHOPCOUNTERは、商業用スペースを短期で借りられるスペースマッチングサービスです。
実際に場所を借りたい事業者は、SHOPCOUNTERのサイトから
の2つを入力するだけで、簡単にスペースを借りることができます。
現在、借りたい候補の登録数が25,000、貸したいオーナーの登録者数が8,500となっています。
SHOPCOUNTERは急成長しており、薮本様によるとその背景にはeコマースからリアル店舗に参入した事業者が利用するケースが多い事と、くり返しサービスを利用するユーザーが増加していることがあげられるそうです。
・SHOPCOUNTER Enterpriseについて
SHOPCOUNTER Enterpriseは、商業不動産を扱う事業者向けにSaaSで提供されており、商業不動産のオンラインリーシング・管理業務のデジタル化を実現するサービスとなっています。
SHOPCOUNTER Enterpriseには
といった機能が搭載されています。
情報の透明性を上げることで、さまざまな方が同じ条件で借りられるシステムを構築しています。
導入企業では、オンラインによる申し込み数が50倍、成長率は8倍になり、営業生産性が大幅に改善、省力運営の実現に近づいているといった成果が見られます。
今後は、商業不動産業界におけるデファクトスタンダードを目指していくと、語っていただきました。
まとめ
今回は、前半部分でD2C&Co.社の竹下様に、D2Cビジネスについてご紹介していただき、後半部分ではD2C関連のスタートアップ2社のお話をお聞きしました。
D2Cサービスが広がることで、多様な世界観のブランドが展開され、私たちの生活がより豊かになることを感じました!