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統一教会における実績とは「何人伝道したか」「いくら献金したか」である。(『カルト宗教と共に生きた30年』より)
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かなり前から報道されていた通り、韓国(京畿道加平郡)で週末(日曜日)に合同結婚式(国際合同祝福結婚式)が開催されたそうです。
日本の報道機関を排除するために欧米の報道機関も招聘しなかったのか、昨年までとは異なり、週末(日曜日)に開催された合同結婚式(国際合同祝福結婚式)は欧米では(ほぼ)報道されませんでした。(The Washington Times も報じませんでした。)
コロナ禍を経てリモート参加者が増えたことを除けば、例えば、以前の記事『合同結婚式のドキュメンタリー番組(2012年5月31日に英国で放送)Married to the Moonies(日本語字幕付)』で紹介したドキュメンタリー番組で報道された2012年3月24日に清心平和ワールドセンターで開かれた(2012年9月3日に聖和(逝去)した文鮮明教祖が出席した最後の)合同結婚式と変わりなく、今回も盛況であったようです。
さて、祝福結婚の離婚率は低い(2020年3月10日付の調査で1.51%)と教団のホームページに記されていますが、ゼロではありません。
また、一つの例外もなく全てのカップルがスムーズに結ばれるとは思えず、体験者(現役信者が暴露本を出版するはずはないので、脱会者)の著作を探してみたところ、現在は教会に足を運んでいない隅田川流氏の著作(Kindle Unlimited でも閲覧可能)が目に留まりました。
1980年代半ばに旧統一教会と出会ってから著者が歩んだ道程(後半は大幅に割愛されています)が率直に述べられていますが、後編(2)に記されているように、著者は二度空振りした後、三度目のマッチングで生涯の伴侶を得たそうです。勧誘・入教や霊感商法の実態も描かれていますので、お時間があれば、目を通してみてはいかがでしょう。
合同結婚式の話題から外れますが、前編(1)の中の次のくだりが記憶に残りました。
だからこそ、世界平和のためにお金が必要だと言われれば、喜んで献金を捧げたわけだ。いわゆる摂理献金である。摂理とは、文先生が地上天国実現のために「〇〇をしなければいけない」と指示した事を実行する事だ。
大きな大会を開いたり、世界巡回したり、合同結婚式をしたり、世界各国のVIPを伝道したり、北朝鮮や中国に工場を建てたりするなど。その都度、高額献金が求められたりするが、無理してでもやってきた。
それが今、大きな問題になっている。自己破産して生活保護を受けるようになったり、子どもの教育資金まで献金してしまって二世の将来を狂わせてしまったり。
かなりのお金が集まったにもかかわらず、有効的な使われ方をされなかったのが残念だ。我が国の政治家や官僚にも言える事だが、税金をもっと有効的に使っていれば、日本はこんなに落ちぶれなかったはず。
自分の家の家計であれば、収入に対して支出を考えて使うだろう。収入以上の贅沢をしてしまっては生活出来ない。ところが、自分のお金じゃないから「痛み」を感じない。財務省にいたっては「足りなければ増税」しか考えていない。
統一教会においても同じである。足りなくなったら「日本食口に言えば献金してくれる」としか考えていない。結局、日本食口の献金頼みの経済だった事が、現在の世論が要求している「家庭連合の解散」へと導いたと言える。
「天の摂理」の一言で、いとも簡単に献金を集める事に慣れてしまった。そのお陰で自己破産や多重債務に苦しむ食口の現状を知ろうとしなかった事が大きな問題である。
当時はアメリカにも人を送らないといけなかったので、一人でも多くの献身者が願われていた。しかも、優秀なメンバーを排出しなければならない。
優秀なメンバーとは、アベル(上司)の指示に従順に従い、労働の対価も求めず、文句も言わず、実績を出す人。統一教会における実績とは「何人伝道したか」「いくら献金したか」である。
献身者は当然お金を持っていない。それゆえ、お金を持っている人を伝道するように言われる。私はそれに対して複雑な思いだった。貧乏な人は救われないのかと。私自身、貧乏だったからだ。
アベルの答えは「救いには順番がある」と。よく言われていたのが「時の人を探せ」である。「時の人」とは、今の摂理に貢献出来る人。経済中心だったので、お金を持っている人が時の人になる。
この姿勢は今も変わっていない。本来の宗教の目的は「神のようにどんな人でも愛せる人格者になる事」のはず。どれだけ人を愛したか、どれだけ愛の実践をしたかを競い合うべきなのに、統一教会では「どれだけ人を連れてきてどれだけ献金したか」を競い合っている。
今ではこうして冷静に判断出来るが、当時はアベルの言われた通りにするのが善だと思っていた。神のために献身したのだから、「神が人とお金を求めている」と言われたら「やります」と言うしかない。
全て「神の言葉は文先生からアベルを通して私に伝えられる」という前提があったからこそ、疑う事すらしなかった。しかし今となっては、組織を信じる事が出来ない。あまりに嘘が多いからだ。
最も重視される実績評価指標(key performance indicator)が、営利企業と同様に、教団のために稼いだ金額であることは大多数の新興宗教にみられる特徴かもしれませんが、教祖夫妻やその家族の豪奢な暮らしと世界中に拡がる教団の様々な活動を支えるために、富める信者は自らのお金や土地を差し出し、貧しい信者は資産家を教団へ勧誘してきたことは疑いないようです。地獄の沙汰も金次第とは言いますが...
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(Recent Developments in the Unification Church in Korea, December 2010)
まず、祝福結婚を希望される方には、基本的に以下の項目について理解を深め、同意をいただいています。
統一原理を学ぶ
創設者ご夫妻をメシヤ・真の父母として信奉する
礼拝参加および十分の一献金(収入の十分の一を献金する)を励行する
飲酒、喫煙を行わない
婚前純潔や結婚後の貞操の重要性を理解する
続いて、以下のステップを経て祝福結婚式に臨みます。
❶父母(二世の場合)もしくはマッチングサポーターによるお相手紹介
❷当人同士の交流期間(❶、❷のステップを通して、その相手と祝福結婚に進むかどうか本人たちの意思で決定します。)
➌双方の結婚への意思確認
➍祝福結婚式への参加
※ 詳しい内容は公式ホームページをご覧ください。