デーブ・スペクター ドント マインド コントロール 短い人生 自分の意思で生きるべき【文字起こし】
日刊スポーツ新聞
1990年代(発行年月日 不明)月曜日 28頁 文化・社会
宗教
デーブ・スペクターのイノシシに抱かれたい!
ドント マインド コントロール
短い人生 自分の意思で生きるべき
ハツカネズミであろうと、ヒマワリであろうと、人間であろうと、死ぬときは死んでおしまい。細胞が腐敗して終わり。天国も地獄もない。死後の世界があると思っている人はがっかりする。何もないから。僕はすべての宗教はインチキだと思っている。
何千年前の宗教も何十年前にできた宗教も本質はオカルト、迷信、おとぎ話にすぎない。弾圧をうまく乗り越えて、いつの間にか社会に認められインチキの部分を上手に隠す。オウムは急成長したせいか、それを隠し切れなかった。今では聖書に書かれている"奇跡"のほとんどに科学的解釈が付け加えられている。科学の知識が全くゼロ時代に不思議に思われた現象を恐れ、実在もしない"神"なる者を崇拝しただけの話なのだ。今時信じる人がいるなら、ご自由で結構なんだけど、僕は見えないもののために短い人生を無駄にしたいとは思わない。
新興宗教の教祖には3種類しかいないと思う。一種の分裂症か詐欺師かそれらを両方合わせたもの。いきなり自分が「徳川家康」や「ナポレオン」と言い出したら、だれにも相手にされないのに、自分が「神」だと言う限りは何もかも許される。しかも免税だ。
今回の騒動もマインドコントロールに違いないが、不勉強なテレビ出演者は説明に困っているようだ。ロボット化された信者たちはもう自分自身の意思で動いていない。洗脳されている気の毒な信者は自分の親まで異端者と思い込ませられる。
ロシアに多くの新興宗教が入り込むのは、情報が少なく警戒心の弱い国だから。はっきり言うけど内容は何であろうとマインドコントロールを使用するカルト(狂信的集団の意)は基本的に同じ。予備知識もなく理解しようとしたり、実際に対応しようとしても難しい。アメリカで最もカルトに詳しく救出のカウンセラーとして知られるスティーブン・ハッサンの「マインド・コントロールの恐怖」(恒友出版)を読めば分かるように、心理学的なアプローチが必要であって、信者を一般の犯罪者と同じに扱っても仕方がない。
最近、カルトの元信者たちに会う機会があった。脱会してから数力月から3年ぐらいのグループだけど、だんだんノーマルな人間に戻っていく過程がはっきり見えて、自分の意思で生きるようになった元信者の姿に感動した。コーラン、聖書、経典の教えには学ぶものがいっぱいあるし、勉強するのも大賛成だけど、人間が平等に生きる社会なんだから、わけの分からない"生き神様"のために人生を無駄にすることはないと思う。
(日本語自筆=放送プロデューサー)
(おわり)
Combating Cult Mind Control by Steven Hassan
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