(那須聖『文藝春秋』報道への疑問 - 知識 1984年秋季号)【 全文 】
庶民には逆風ばかり吹き荒れる世間では「金の切れ目が縁の切れ目」となりますが、「金さえあれば飛ぶ鳥も落ちる」ので、規制が緩かった時代には、お金さえあれば、一国の首相になることも決して夢ではありませんでした。
全世界・全宇宙の帝王(?)を志向し大統領や首相にこそならなかったものの、旧統一教会の教祖は組織運営・企業経営とお金の使い方には長けていたようです。例えば、教祖の聖和(逝去)後も、旧統一教会および友好団体・関連団体は(教祖や総裁が救世主であるとは夢にも思わない)多数の著名人を札束で頬を叩きながら広告塔として動員し続けていますが
草創期から、政治家や実業家だけでなく、大勢の学者やジャーナリストも、札束の力に屈してきたようです。(現在でも(18歳以下の子女を含め)日本国内の教会員は10万人前後しかいません(票田としての寄与は僅少です)が、政治家にとって重要であったのは、教会員数や政治献金ではなく、選挙運動等に際して無償で滅私奉公してくれる労働力でした。一方で、旧統一教会の友好団体・関連団体は半世紀以上に渡り自民党および官邸に政策提言を続けてきたようです。)
先祖代々(母方の祖父は牧師)キリスト教徒であり(初代学長のお嬢さまと結婚されたこともあって)立教大学(Saint Paul's University)総長まで務められた松下正壽氏が初代会長に就かれた世界平和教授アカデミーは、上に引用した記事で舛添要一先生が説明されているような、お金に躓いた学者・識者の集いです。
世界平和教授アカデミーは、例えば、1992年にソウルで行われた国際合同結婚式に先立って、産経新聞に(いまとなっては黒歴史の一つに数えられる)7段抜きの意見広告を(世界平和教授アカデミーとは記さなかったものの)実質的に掲載しましたが
かつては雑誌「知識」(当初は季刊、後に月刊、既に廃刊)も発行していました。
尚、購読料や寄付金や講演料を受け取ってあらゆる新宗教・新興宗教をよいしょしている BiterWinter とは異なり、「知識」は旧統一教会を持ち上げることに勤しんだようです。
さて、故人を批判したくはありませんが、毎日新聞で活躍された後に米国を拠点に外交評論家として活動された那須聖(なすきよし)氏は(旧統一教会からお金を受け取ることはなかったと信じたいところですが)日本語をかなり流暢に話す教祖他に騙され(?)て、旧統一教会の友好団体・関連団体のセミナーで講師を務められたり、教会員でもないのに旧統一教会をよいしょする著作を2冊も上梓されました。
また、これらの書籍が出版されたのと同じ頃に、先ごろ発売された『旧統一教会 大江益夫・元広報部長 懺悔録』について述べた一つ前の記事
でも引用した副島手記(副島・井上手記)
に対する那須聖氏の反論(長文の記事)が(一和の高麗人参茶の広告も出稿されていた)「知識」1984年秋季号に掲載されました。
40年前のこととはいえ、著者の無知ぶり(あるいは、知っていたのに知らんぷり)には開いた口が塞がりません。そもそも、(20世紀に自称救世主を量産した)朝鮮半島に救世主が再臨・降臨されたのであれば、ローマ教皇も各国正教会の総主教もカンタベリー大主教もメガ・チャーチを率いる多数のエヴァンジェリストも韓国を訪れて救世主の前に跪いた(ユダヤ系アメリカ人は別として、アメリカの福音派キリスト教徒が(救世主が再臨するパレスチナを保持するために)イスラエルを支援し続ける理由もなくなった)はずですが、そのような気配はありません。反共・勝共の叫び声で麻痺した眼や耳で見聞きしたことを鵜吞みにされただけかもしれませんが、副島手記(副島・井上手記)に対する(少しだけ賛同できる)2~3の突っ込みを除いて、故人の業績が台無しにされているような気がします。
(那須聖『文藝春秋』報道への疑問 - 知識 1984年秋季号)【 全文 】
長文の記事ですが、お時間があれば、暑さで眠れない夜に....