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那須聖氏『文藝春秋報道への疑問』で80年代前半に統一教会広報局長や世界日報編集局長を務めた副島嘉和氏に反論ー旧統一教会をよいしょした“知識”、多数の新宗教をよいしょする“BitterWinter”

(那須聖『文藝春秋』報道への疑問 - 知識 1984年秋季号)【 全文 】

庶民には逆風ばかり吹き荒れる世間では「金の切れ目が縁の切れ目」となりますが、「金さえあれば飛ぶ鳥も落ちる」ので、規制が緩かった時代には、お金さえあれば、一国の首相になることも決して夢ではありませんでした。

全世界・全宇宙の帝王(?)を志向し大統領や首相にこそならなかったものの、旧統一教会の教祖は組織運営・企業経営とお金の使い方には長けていたようです。例えば、教祖の聖和(逝去)後も、旧統一教会および友好団体・関連団体は(教祖や総裁が救世主であるとは夢にも思わない)多数の著名人を札束で頬を叩きながら広告塔として動員し続けていますが

日曜礼拝 説教「神のかたち」(やや神憑った苦労話・自慢話)
渋谷家庭教会(松濤本部)2021年10月17日

草創期から、政治家や実業家だけでなく、大勢の学者やジャーナリストも、札束の力に屈してきたようです。(現在でも(18歳以下の子女を含め)日本国内の教会員は10万人前後しかいません(票田としての寄与は僅少です)が、政治家にとって重要であったのは、教会員数や政治献金ではなく、選挙運動等に際して無償で滅私奉公してくれる労働力でした。一方で、旧統一教会の友好団体・関連団体は半世紀以上に渡り自民党および官邸に政策提言を続けてきたようです。)

私は1967年に東京大学に入学したが、キャンパスでは体育系、文化系の各種の部やサークルが新入生の勧誘に精を出していた。この光景は、今の大学でも同じだと思うが、「原理研究会」というサークルもその一つで、これは統一教会の関連団体で、教団が提唱する「統一原理」を研究する会である。

大学には、入試に合格した学生が日本各地から入学してくる。故郷を離れ、友人もおらず孤独に悩む者も多い。そのような学生に優しく声をかけ、お茶に誘ったり、悩み事を聞いてくれたりする先輩が出現すれば、心を動かされる。こうして、原理研究会のメンバーとなり、「統一原理」の勉強を共に行っていく過程で、統一教会の信者となっていくのである。そして、いったん入信すると、もう雁字搦めに縛られて脱会できなくなってしまう。

キャンパスで、そういう目に遭った多くの学生を知っている。

原理研究会は、東大では『東大新報』という学生新聞も発行している。東大には公益財団法人東京大学新聞社が発行する『東京大学新聞』という学生新聞があるが、それに対抗する形の学生新聞である。

原理研究会は、多くの大学で、様々な名称で同じように学生新聞を出している。また、大学3、4年生、大学院生を対象に、渡航費・滞在費は無料でアメリカに招待する「指導者セミナー」というものがあり、これに参加することによって、信者となってしまうのである。そして、このセミナー参加者が、将来、官僚や教授となれば、行政や学会に信者を送り込むことになるのである。組織を牛耳る巧妙な手である。

私は、東大の研究室に残り、ヨーロッパ諸国で勉強した後に東大の助教授に就任した。すると、今度は「世界平和教授アカデミー」という団体が接近してくる。海外でシンポジウムが開催されるので、是非参加してほしい、渡航費・滞在費はすべてこのアカデミーが負担するという。高名な教授たちは、海外の学界に参加する機会も多いが、駆け出しの若い研究者には無縁な話である。そこで、この「おいしい話」に飛びつきたくなるのである。

しかし、海外渡航には教授会の許可が必要であり、その手続きをする過程で、過去に蓄積された情報から、この団体が統一教会の関連団体であることが判明するし、そのことを周りの教授たちが教えてくれるので、東大の場合は教授会に書類が出る前に、ほぼブロックされていたように記憶する。

しかし、この誘いに一度でも乗れば、後は統一教会の広告塔として利用される運命が待っているのである。

先祖代々(母方の祖父は牧師)キリスト教徒であり(初代学長のお嬢さまと結婚されたこともあって)立教大学(Saint Paul's University)総長まで務められた松下正壽氏が初代会長に就かれた世界平和教授アカデミーは、上に引用した記事で舛添要一先生が説明されているような、お金に躓いた学者・識者の集いです。

2022.8.31

立教大学チャプレン団

旧 世界基督教統一神霊協会(現 世界平和統一家庭連合)に関する「緊急メッセージ」

立教大学で学び、勤務されている
学生・教職員の皆さまへ

本年7月8日に起きた、安倍元首相に対する銃撃事件以降、旧世界基督教統一神霊協会(現:世界平和統一家庭連合。以下、「統一協会」と称す)と政界との関係性が問われる中、統一協会による高額な献金被害など、様々な問題が表面化されるにつれ、「宗教」そのものへの警戒感が高まっているように感じます。

統一協会は、文鮮明という教祖によって1954年に韓国で創立された新興宗教です。『原理講論』という教典に教義を置き、聖書を独自に解釈し、伝統的なキリスト教が保持する、キリストによる十字架による贖い、復活という救いの完成を否定し、文師こそがすべての啓示を完成する真のメシア、最後の救い主であると主張しています。

私たち立教大学チャプレン団は、立教大学が信仰的支柱とする聖公会と、この統一協会とが、信仰的にも組織的にも全く関係のないこと、そして、その実態から見て宣教協働の対象でもあり得ないことを明確に皆さんにお伝えします。どうぞ、歴史的で正統なキリスト教信仰に立つ立教大学をこれまでのように信頼し、安心して学び、働きを続けて欲しいと願います。立教大学が皆さんの「自由」を奪うことは決してありません。

また、私たちチャプレン団は、統一協会によって、家庭を破壊された人々が今も苦しんでいることに目を向けつつ、この立教という学び舎で学び、働く皆さんが、かけがえのない人生という尊い時間を奪われることがないように、そして、新たな被害者とならないように、あらためて注意を呼び掛けます。

統一協会は、現代社会の歪み、人びとの間での分断や懐疑などにより、目的を失い、生きがいを見つけられず、人生に不満を持ち、孤独で悩む人びとに、自らが統一協会であることを明らかにせずに、接近し、働き掛けて来ると考えられています。またボランティア活動や環境、社会問題に関心が高い学生ほどターゲットにされやすいとも指摘されています。少しでも「怪しい」と思ったら、速やかにチャプレンたちにご相談ください。

私たち立教大学チャプレン団は、皆さんを傷つける如何なるものからも、皆さんのことを守りたいと願っています。

2022年8月31日

チャプレンからの今週の言葉

世界平和教授アカデミーは、例えば、1992年にソウルで行われた国際合同結婚式に先立って、産経新聞に(いまとなっては黒歴史の一つに数えられる)7段抜きの意見広告を(世界平和教授アカデミーとは記さなかったものの)実質的に掲載しましたが

かつては雑誌「知識」(当初は季刊、後に月刊、既に廃刊)も発行していました。

尚、購読料や寄付金や講演料を受け取ってあらゆる新宗教・新興宗教をよいしょしている BiterWinter とは異なり、「知識」は旧統一教会を持ち上げることに勤しんだようです。

さて、故人を批判したくはありませんが、毎日新聞で活躍された後に米国を拠点に外交評論家として活動された那須聖(なすきよし)氏は(旧統一教会からお金を受け取ることはなかったと信じたいところですが)日本語をかなり流暢に話す教祖他に騙され(?)て、旧統一教会の友好団体・関連団体のセミナーで講師を務められたり、教会員でもないのに旧統一教会をよいしょする著作を2冊も上梓されました。

「救世主現る」善本社(1984年)「牢獄の救世主」善本社(1985年)
「救世主現る」善本社(1984年)「牢獄の救世主」善本社(1985年)

また、これらの書籍が出版されたのと同じ頃に、先ごろ発売された『旧統一教会 大江益夫・元広報部長 懺悔録』について述べた一つ前の記事

でも引用した副島手記(副島・井上手記)

に対する那須聖氏の反論(長文の記事)が(一和の高麗人参茶の広告も出稿されていた)「知識」1984年秋季号に掲載されました。

40年前のこととはいえ、著者の無知ぶり(あるいは、知っていたのに知らんぷり)には開いた口が塞がりません。そもそも、(20世紀に自称救世主を量産した)朝鮮半島に救世主が再臨・降臨されたのであれば、ローマ教皇も各国正教会の総主教もカンタベリー大主教もメガ・チャーチを率いる多数のエヴァンジェリストも韓国を訪れて救世主の前に跪いた(ユダヤ系アメリカ人は別として、アメリカの福音派キリスト教徒が(救世主が再臨するパレスチナを保持するために)イスラエルを支援し続ける理由もなくなった)はずですが、そのような気配はありません。反共・勝共の叫び声で麻痺した眼や耳で見聞きしたことを鵜吞みにされただけかもしれませんが、副島手記(副島・井上手記)に対する(少しだけ賛同できる)2~3の突っ込みを除いて、故人の業績が台無しにされているような気がします。

(那須聖『文藝春秋』報道への疑問 - 知識 1984年秋季号)【 全文 】

長文の記事ですが、お時間があれば、暑さで眠れない夜に....

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