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接地逆転層-寒い日の夜から朝にかけてタワーマンションの高層階のベランダの方が低層階のベランダより暖かいことも



地表に近い対流圏(大気圏の最下層)では、山に登っても、飛行機に乗っても、通常、高度が高くなる(地表から離れる)ほど気温は低下します。

※ 地面の影響がない(環境の)気温減率・気温逓減率:国際民間航空機関が定めた国際標準大気による定義では、海面から高さ 11 km までは 1,000 m 毎に 6.49 ℃(100 m 毎に 0.649 ℃)気温が下がります。

ところが、寒い冬の日の夜から朝にかけて地表の放射冷却が進むと、地表に接して温度が下がった空気が滞留し、一定の高さまでは上空の方が気温が高くなる接地逆転層が形成されます。

様々な高さに設置されている装置で長年に渡り測定を続けている東京タワーの観測値が手に入らなかったので

(残念ながら、足元(地表面)のデータはありませんが)東京スカイツリーの観測値をざっと眺めてみました。

				  スカイツリー	  スカイツリー
				325m	150m	325m	150m

					気温	気温	湿度	湿度
						
2024/12/09	 0		 3.8 	 5.0 	44.4 	47.1 
			 1		 3.4 	 4.8 	48.1 	47.0 
			 2		 3.3 	 4.7 	47.6 	46.4 
			 3		 3.0 	 4.5 	48.8 	46.8 
			 4		 3.0 	 4.3 	47.6 	47.7 
			 5		 2.9 	 4.1 	48.3 	49.1 
			 6		 2.8 	 4.0 	46.9 	47.1 
			 7		 3.3 	 3.8 	46.0 	47.8 
			 8		 5.0 	 5.0 	38.4 	43.9 
			 9		 5.9 	 6.2 	39.7 	43.6 
			10		 7.5 	 7.4 	34.4 	36.8 
			11		 8.8 	 8.9 	30.5 	31.5 
			12		 8.6 	 9.9 	30.4 	29.9 
			13		 9.5 	10.7 	27.4 	27.6 
			14		10.4 	11.2 	25.3 	24.2 
			15		 9.8 	11.3 	27.9 	26.9 
			16		 9.5 	11.0 	32.2 	31.1 
			17		 9.1 	10.5 	35.7 	34.5 
			18		 8.3 	 9.7 	37.0 	35.7 
			19		 7.5 	 9.0 	38.2 	37.3 
			20		 7.1 	 8.5 	38.3 	38.1 
			21		 6.9 	 8.2 	38.2 	39.1 
			22		 6.4 	 7.4 	41.1 	42.7 
			23		 6.6 	 7.0 	38.3 	43.8 
2024/12/10	 0		 5.8 	 6.7 	41.8 	45.9 
			 1		 5.7 	 6.6 	42.7 	45.0 
			 2		 5.3 	 6.6 	45.0 	45.0 
			 3		 4.4 	 5.4 	49.0 	50.6 
			 4		 4.2 	 5.2 	51.3 	52.9 
			 5		 3.8 	 4.9 	53.5 	54.5 
			 6		 4.7 	 4.7 	49.7 	56.1 
			 7		 5.3 	 5.1 	46.7 	53.6 
			 8		 6.9 	 6.2 	39.8 	50.9 
			 9		 7.8 	 7.1 	43.2 	48.5 
			10		 8.4 	 8.5 	40.2 	44.8 
			11		10.0 	 9.7 	34.3 	38.4 
			12		10.8 	10.8 	32.7 	36.7 
			13		12.1 	10.6 	33.4 	36.5 
			14		12.4 	12.4 	33.7 	35.4 
			15		11.1 	12.4 	32.6 	33.1 
			16		10.3 	11.3 	38.0 	37.5 
			17		 9.3 	10.8 	44.9 	45.9 
			18		 9.2 	10.6 	43.6 	48.2 
			19		 9.5 	10.7 	43.2 	43.9 
			20		 9.2 	10.2 	46.6 	42.8 
			21		 9.1 	10.0 	47.5 	49.1 
			22		 8.6 	 9.6 	56.1 	54.1 
 			23		 8.4 	 8.3 	55.9 	51.9 
2024/12/11	 0		 7.9 	 7.4 	49.7 	53.4 
			 1		 8.5 	 7.1 	47.5 	53.4 
			 2		 8.4 	 6.8 	47.9 	54.7 
			 3		 7.5 	 6.4 	45.8 	54.4 
			 4		 8.0 	 6.1 	43.5 	54.9 
			 5		 8.0 	 5.7 	42.9 	57.4 
			 6		 8.2 	 6.2 	40.7 	53.7 
			 7		 8.3 	 5.8 	40.6 	53.5 
			 8		 8.9 	 5.9 	38.0 	53.4 
			 9		 8.9 	 6.0 	38.0 	56.5 
			10		 9.9 	 7.2 	34.8 	51.5 
			11		 9.6 	 8.6 	40.2 	46.6 
			12		10.4 	10.2 	41.2 	44.6 
			13		11.8 	11.6 	37.9 	39.4 
			14		11.9 	12.1 	33.8 	35.7 
			15		10.9 	12.0 	36.3 	36.4 
			16		11.1 	11.8 	40.1 	40.2 
			17		 9.5 	10.9 	38.9 	37.4 
			18		 8.6 	10.0 	37.1 	35.4 
			19		 7.5 	 9.0 	36.3 	34.5 
			20		 6.6 	 8.1 	38.3 	36.9 
			21		 5.8 	 7.3 	40.1 	38.1 
			22		 5.0 	 6.5 	40.6 	38.7 
			23		 4.5 	 6.1 	42.3 	40.1 
2024/12/12	 0		 4.1 	 5.6 	45.3 	42.9 

超高層の物件を除けば、タワーマンションの最上階の高さはせいぜい150m程度です。東京スカイツリーの足元の気温と150mの気温を比べることができるとよいのですが、前者のデータは存在しないため、150mの気温と325mの気温の比較から接地逆転層の存在を確認することしかできませんでした。上記の事例では、12月10日の深夜に325mの気温が150mの気温を上回った後、翌日の午後1時まで逆転が続きました。このような状況では、タワーマンションの高層階の外気温が低層階の外気温を上回っていた可能性が高そうです。

尚、少し前の記事

で参照した東京23区内の測定局の中から東京スカイツリーに近い観測装置の数値も眺めてみましたが、東京スカイツリーの足元の気温として代用することはNGでした。


港区史 自然編

第Ⅱ章 港区の気候と気象
2 港区における気候・気象の特徴
ⅷ 大気汚染
1)窒素酸化物NOX(一酸化窒素NO、二酸化窒素NO2)

排出された汚染物質は、一般に大気が安定していると滞留・蓄積しやすい。夜間の放射冷却によって地表の気温が下がると上暖下冷の気層(逆転層)が形成され、このような状態が残っているときに、自動車交通量が多くなると汚染物質が高濃度になりやすい。図2-ⅷ-3には東京都常監局(立体局)の東京タワーで観測された冬季の気温鉛直分布の例を示した。夜間から朝(08時)には、高度150m付近より下層に、上暖下冷の逆転層(安定層)が形成されているが、09時には逆転層はほぼ解消している。逆転層の解消時には、次第に上下方向の空気の混合が大きくなるため、蓄積された汚染物質が上空から下降してくること(いぶし現象)によっても汚染物質濃度が高くなり易い。赤坂局や麻布局のような冬季の朝の濃度極大は一般によくみられる特徴である。夏季には逆転層が形成されにくいため、交通量の多い時間帯でも濃度があまり高くならないと考えられる。濃度の極大が遅い臨海部の芝浦局は、首都高速道路1号線、1号羽田線、11号台場線が近傍を通っている。周辺が工業地域であることや、台地部の通勤等の自動車混雑より少し遅れて、物流を担う大型車両が増加する影響が考えられる。このような状況は通年みられるが、春季や夏季は日中に南寄りの海風が強い(図2-ⅵ-2)ことから、自動車等から排出された汚染物質の滞留が妨げられて濃度が低くなり、天気が悪く海風が発達しにくい梅雨季(6、7月)にNOX濃度の極大が現れた可能性が考えられる。

図2-ⅷ-3

東京都常監局(立体局)の東京タワーで観測された冬季の気温鉛直分布の例
2003年12月6日23時~7日10時におけるいくつかの時刻を示す。
図中の数字は時刻を表す。東京都常監局の資料により作成。


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