視点の自由研究No.138「視点_あなたの仕事は時間拘束系か?成果物系か?」
独立して会社の経営に携わると「売上」ということの言葉の重みを実感しない日はないと思います。サラリーマン時代は、就業規定時間に合わせてきっちり、時には残業や、早朝出勤など、こと時間による働きに目が入っていた仕事。経営という視点に立つと、そうした労働時間ということよりも売上ということへの注視が優先されていくのは、どの経営者も思うことでしょう。今回は、そんな経営視点から見た就業時間というものを考えてみたいと思います。
「時間拘束という仕事観」
ブラック企業という言葉もすでに認知がされ、2020年代ではもはや古い感覚すら覚える言葉。いまだにニュースでは過労など就業時間などで問題になるものがあるくらい働く時間というものには、大きなウエイトがあります。
確かに世の中には時間をかける、使うことでお金になるという仕事が存在します。わかりやすいところでは、飲食、コンビニ、小売など、サービス時間そのものが生活者にとってメリットになる仕事です。
生活者にとっては、お店の営業時間は訪問するためにとても重要な情報で、その時間には必ず営業していてくれるということは安心を与えてくれます。特に病院や事故など公共としての活動は24時間体制で動いており、社会の根幹を支える仕事で、そうした仕事に従事されている方たちには尊敬しかありません。
さて、サラリーマンをしていた私も働く時間というものには、とても敏感でした。広告業もかつては立派なブラックなお仕事であった時代。若手時代には何度も徹夜仕事に出会ったものです。残業代はすでに規定のMAXまで行っていても、業務が終わらないなど、時間で処理する仕事をしていました。
サラリーマン時代は、給与制です。基本的に働く日数と時間は定められています。だからこそ「時間拘束」こそが仕事と勘違いしてしまっていたのです。
「成果物こそ売上」
さて、前述の仕事たち(公共性のあるエッセンシャルワークは除いて)は、売上をどう構築していたのか?改めて見直してみましょう。
例えば飲食。お店の営業時間は、先ほど書いた通り生活者にとっては、とても大切なことですが、経営視点で見ると全く違います。飲食はその名の通り、料理を提供することで売上を構築するサービスです。簡単に言えばラーメン一杯を1000円で提供し、営業時間内に何食売れるか?が勝負なわけです。
飲食でアルバイトすると時給いくらで、というのは当たり前の情報ですが、経営サイドからすると、そのお店で一体何杯のラーメンが売れていてくれるのか?の方が重要なのは、わかりやすいかと思います。
映像制作も全く同じで、クライアントに納品するものは映像作品。クライアントとして予算に見合って納得でき、さらにお得と感じてもらえる映像を納品するのが仕事です。そこでかかる仕事時間はクライアントには関係ありません。極端な話、効率よく働き、クオリティの高い映像ができれば、就労時間自体は長い短いは関係ないのです。
視点を見直すと実は、多くの仕事が成果物を納品、または売るというタイプの仕事がほとんどだということに気づくと思います。
「経営視点」
社是などに経営視点という言葉や、それに類する言葉を使う企業が多いのは、この売上構築の構造を社員の皆さんに理解してもらいたいからです。
一体自分たちの仕事は、どうやってお金を稼いでいるのか?
至極、簡単なことですがサラリーマン時代には肌で感じることがない感覚。もしあなたが仕事を選ぶ際には、その仕事が何を売っている商売かを見極めることは大切なことです。
きっと働く時間ではない、稼ぐという仕事としての実感が湧いてくるのではないでしょうか。「働く時間=収入」ではなく、働き方そのものを見直すきっかけになれたら嬉しいです。